【ライブレポート】RED WARRIORS、初の主催フェス「ロックンロールは愛だと思ってます」
10月28日と29日、大宮ソニックシティ大ホールで、RED WARRIORSによる初の主催フェス<RED ROCKS>を観た。それはデビューから37年を経て、日本のロック史に大きな足跡を残す彼らが、再び時代を動かすロックンロール・リバイバルの祭典だ。80年代、90年代からサヴァイヴするタフなロッカーと、2010年代以降に登場した新世代が熱演を繰り広げた、フェスの全貌についてはまた他で語るとして、ここでは10月28日、初日のヘッドライナーを務めたRED WARRIORSのステージについて報告しよう。
◆ライブ写真
RED WARRIORSがライブパフォーマンスをおこなうのは、およそ1年8か月振り、中野サンプラザでのデビュー35周年記念ライブ以来のことだ。午後6時半、久々の再会を待ちわびるオーディエンスが大歓声と拍手で迎える中、ギターを腰だめに構えた木暮“shake”武彦の右手が一閃、パーティーの始まりを告げる「Casino Drive」のイントロが高らかに鳴り響く。黒いコートに真っ赤なロングスカーフのダイアモンド☆ユカイがステージに踊り込み、マイクスタンドを蹴り上げる。シルバーグレーのロングヘアーをなびかせて、小川清史がぶっとい低音を叩き出す。そして「FOOLISH GAMBLER」の、オーディエンスを巻き込んだコール&レスポンスへ──。そうだ、そうそう、これだよこれ。まばゆい光と爆音と興奮の中で、音楽は一瞬で時を超える、これがRED WARRIORSのロックンロール・マジック。
「我がふるさと大宮、<RED ROCKS>へようこそ! GLIM SPANKY、THE PRIVATES、斉藤和義、最高だったぜ。最後にRED WARRIORSの楽曲を心おきなく聴いてもらいたい。ロックンロール!」
今日の出演者に感謝を伝えながら、最後は俺たちが全部持っていくぜという気迫と自信を隠さないユカイ。清史の弾く4ビートのリズムがご機嫌な「OLD FASHIONED AVENUE」ではブルースハープを吹きまくり、アコースティックギターを爪弾きながら「イマジン」の一節を口ずさみ、ジョン・レノンに捧げた「JOHN」をとびきり優しく熱い思いを込めて歌い上げる。「JOHN」で聴けるシャケのメロディアスなスライドギターは、まるでジョージ・ハリスンだ。ロックンロールの歴史への憧れとリスペクトが、「たかがロックンロール」を「されどロックンロール」に変える。ユカイがマイクを客席に向け、シンガロングをうながす。ショーマン、アクター、ロックスター、時に道化も演じられるユカイの人間的魅力は、年を経てさらに増したようだ。それにしても3人とも、本当に穏やかな優しい表情になったものだと思う。
ストライプのジャケットと黒ハットで決めたユカイが、フレディ・マーキュリーばりの「デーオ!」でオーディエンスを盛り上げ、サイケデリック調のパワーポップ「欲望のドア」から、10分近くに及ぶ激シブのスローブルース「MR.WOMAN」へなだれ込む。ここがこの日のセットリストのディープな最深部だ。頼れるサポート二人、三国義貴のキーボードが妖しいムードを煽り、西川貴博のドラムが繊細なリズムをキープする。ユカイが歌い、語り、吠え、シャケのギターがうなりをあげる。年輪を重ねてコクと旨味を増した、本物のブルースの味。今どきのフェスへ行っても、この味が出せるバンドにはお目にかかれやしない。
「イエー、サイコー、ロックンロール、ショック・ミー!」簡潔極まりない曲紹介からの「SHOCK ME」は、70年代のフェイセズやストーンズに通じるロックロールの美学が詰まった結晶のような1曲。ユカイとシャケがワンマイクでコーラスを分け合う。シャケがソロを弾きながらステージを練り歩く。ユカイがスカーフで清史の首を絞めてはしゃいでる。一気にテンポを上げて「WILD CHERRY」へ、今度はソリッドでメロディックな80年代ビートロックの香り。ふと周りを見るとみんな歌ってる。腕を振り上げ踊ってる。
そして誰もが待ってたこの曲、「バラとワイン」だ。シケた暮らしを今は忘れて、大した事もしてやれないけど、おまえがすべてさ──とびきりキャッチーなメロディとシンプルなロックンロールに乗せた、飾らないラブソングは時を超える。今の若者にだって必ず届くはずだ。客席から投げ込まれるバラの花束が、どんなにお金をかけたセットよりもステージを美しく見せてくれる。
「ロックンロールは愛だと思ってます。あの頃はわけもわからないでこの曲を歌ってたけど、愛を込めて歌います」
ロックンロールの魅力に取り付かれた男の、闘いと希望のアンセム「ROYAL STRAIGHT FLUSH R&R」が爆音で鳴り響く。この曲を歌う前のユカイのMCが良かった。目の前のものをなぎ倒して進むことがロックだと思ってやってきた。自分のことだけを考えて生きて来た。でも今は、みんなと分かち合い、みんなのために何かを残したい──。歌うだけでは飽き足らず、ユカイが客席の横まで走り出て、元気いっぱいに側転を決める。衰えを知らないエネルギー、溢れんばかりのエンターテインメント性、みずみずしいロックンロール・スピリット。70分のステージをフルスロットルで駆け抜けて笑顔で手を振る、ユカイ、シャケ、清史の強靭な心身には恐れ入る。これなら大丈夫、40周年、45周年、50周年だってやってくれるだろう。
アンコールでは今日の出演者を呼び込み、「雨上がりの夜空に」の豪華セッションで楽しませてくれた。世代を超えるマイクリレーとギターバトル、華やかなフィナーレがRED WARRIORSの初めてのフェスの成功を祝福する。ゲストとサポートを送り出したあと、3人だけでスタンディング・オベーションに応えたのも良かった。明日の2日目も間違いなく最高のショーになるだろう。みんなと分かち合い、みんなのために何かを残したい。愛あるフェス<RED ROCKS>がこれからも続いてゆくことを願って、ノー・サレンダー、キープ・オン・ロックンロール。
取材・文◎宮本英夫
写真◎三浦麻旅子
セットリスト
2.FOOLISH GAMBLER
3.OLD FASHIONED AVENUE
4.JOHN
5.欲望のドア
6.MR.WOMAN
7.SHOCK ME
8.WILD CHERRY
9.バラとワイン
10.ROYAL STRAIGHT FLUSH R&R
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