【速レポ】＜SATANIC CARNIVAL＞SHADOWS、観客とひとつに。「叫べ！ぶつかれ！歌え！飛ばせ！」

「回れ回れ！」とHiro（Vo）が観客に合図しながら、モッシュサークルを作らせ、SHADOWSは爆音を鳴らし始める。Takahiro（G, Vo）とKazuki（G, Vo）がスクリームを加える「Fail」「So What」「Senses」を一気にたたみかけると、早速、観客がダイブする。

◆ライブ写真

そんな序盤の盛り上がりを、さらに大きなものにしたのが、「踊れ！揺らせ！」とHiroが煽りながら、地響きのような爆音の演奏を貫くグルーブの心地よさが観客の気持ちを掴んだ「BEK」と、その直後のMCだ。


「マーチ（物販）でTシャツをパクられたSHADOWS です（笑）」（Kazuki）

「Tシャツをかっぱらうぐらい俺らのことを好きなのはうれしいけど、ハンガーだけは返して。＜SATANIC CARNIVAL＞、マジ、ヤバいです。とっぽい奴が紛れこんでます（笑）」（Hiro）

「万引きしているところを見つけたらボコボコにするけど、そこまでやられると、俺らも清々しい（というのは、あくまでも言葉の綾なので、念のため）。＜SATANIC CARNIVAL＞、マジで帰ってきたって思います。（コロナ禍の間）がんばってきたってみんな言ってるけど、やめられなくて、続けてきたら帰ってきちゃったってことでしょ。（同じ時間にSATAN STAGEで演奏している）SiMを見に行かないなんて、バカじゃねえの。知ってるんだな、おまえら。SiMはいろいろなところで見られるって。おまえら最高だよ！」（Kazuki）

Ｔシャツを万引きされたことを笑い飛ばしながら、自分達の演奏を見るために集まった観客を称えたメンバーの言葉が、観客とバンドの気持ちを一つにしたことは言うまでもない。




そんな交歓を交えたからこそ、ハードコアを根っこに持つ爆音の演奏で圧倒するだけにとどまらない、SHADOWのキャッチーな魅力を物語るメロディックパンク調の「Into The Line」、そして、そこから「おまえらと作り上げるこの空間、本当に最高です！」（Hiro）と繋げたアンセミックな爆音のロックナンバー「My Direction」もその効果を存分に発揮する。

「思いっきり叫べ！　思いっきりぶつかれ！　好きなように歌ってくれ！」と叫んだHiroと掛け合うように観客がシンガロングする。そして、リフレインを重ねながら、その一体感をさらに高めていった「Progress」から繋げた哀愁のメロディックパンクナンバー「Chain Reaction」では、Kazukiが奏でたイントロのコードストロークに合わせ、観客が“Oh oh oh”とシンガロングの声を上げる。


「わからない奴は、（周りに）つられて歌え！　飛ばせ！　思いっきり飛ばせ！　もっと！」一際大きなものになった観客のシンガロングの声が響きわたるその空間を、最高と言わずに何と言おう。

「来年、＜SATANIC CARNIVAL＞に戻ってられるように1年間、がんばって生きていこうと思います！」（Hiro）


最後にメロディックハードコア調の「Cold Heart」を観客にぶつけ、ダメ押しでジャンプさせると、TakahiroとKazukiは、まるで自分達の爪痕を残そうとするように曲の余韻の中、渾身の力でギターをかき鳴らしたのだった。

取材・文◎山口智男
撮影◎岸田哲平