【インタビュー】Petit Brabancon、antz (東京酒吐座)が語る途方もないポテンシャル「これがすべてって感じでは全然ない」

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2021年12月、突如として始動発表したPetit Brabanconは、12月24日に初音源「刻 / 渇き」を配信シングルとしてリリース。12月27日に日本武道館で開催された<JACK IN THE BOX 2021>で初ステージを披露し、yukihiroミヤ高松浩史、antzといった5人の才能の融合が、轟音と爆発を伴った先鋭的なサウンドを生み落としたことを証明した。そして、2022年1月14日にCLUB CITTA’で開催されるプレミアムな単独初ライヴ、9月より全5公演の規模で行われるツアー< Tour 2022「Resonance of the corpse」>にて、その全貌がますます明らかにされていくはずだ。

◆Petit Brabancon (プチ・ブラバンソン) 画像 / 動画

Petit Brabanconパーソナルインタビューの第五弾はantz。ツインギターの一翼として、コンポーザーのひとりとして、アンプリファイアの役割を果たすがごとくバンドに広がりとパワーを与えたのが、同プロジェクトへ最後に参加したantzだ。攻撃的で刺激的、空間をねじ曲げる浮遊感──acid android、東京酒吐座という経歴に裏打ちされた技量の高さを持つギタリストがPetit Brabanconで見せるまた別の顔とは?

yukihiroとの再会、ミヤとのツインギター構築法、各メンバーのサウンド的な方向性、そしてantzが感じるPetit Brabanconの無限の可能性について語ってもらったインタビューをお届けしたい。なお、先ごろ日本武道館で開催された<JACK IN THE BOX 2021>のライヴ写真も併せて掲載する。

   ◆   ◆   ◆

■yukihiroさんとはacid androidをやってたので
■求められることはなんとなく想像がつきました

──antzさんがPetit Brabanconに参加したのはyukihiroさんの推薦もあったとお聞きしました。

antz:そうですね。acid androidを10年くらいやらせていただいていて。2012年くらいに参加しなくなって。そこから結構、間があったと思うんですけども。自分が今やっている東京酒吐座のササブチ(Dr)君がL'Arc-en-Cielのライヴでyukihiroさんとお話する機会があって、自分の事を話に出してくれたみたいなんです。後日ササブチ君から「yukihiroさんに連絡取ってみたら」と言ってもらって。久々にyukihiroさんとお会いして、その時は近況を話すような感じで終わったんですけど。その後、電話が掛かってきて、「新しいバンド、やりたいんだけど、どうかな?」ということで。メンツをちょっと聞いてかなり驚いて。それが2019年ぐらいですね。

──京さんとかミヤさん、高松さんは?

antz:京さんは全然面識なかったですね。ミヤさんはacid androidと同じ事務所だったので、対バンとかもして。東京酒吐座の2ndアルバム(『turnaround』2013年発表)収録の自分が作った曲のミックスをミヤさんがやってくれたりとか。知り合いのライヴに行ったら偶然会ったりとか。高松君はCQっていうバンドでTHE NOVEMBERSと対バンしましたけど、その時、話は全然してないですね。


▲antz (G)/<JACK IN THE BOX 2021>12.27@日本武道館

──yukihiroさんから声が掛かった時に、antzさんに対してどういうプレイを期待しているとか、どういう役割を期待しているみたいな話はあったんですか?

antz:いや、そこまでの具体的な話は……「やりたいのはヘヴィな音楽」っていう風には聞きました。yukihiroさんとはずっとacid androidをやってたので、どういうことが求められるかっていうのはなんとなく想像がつきましたけど。

──なるほど。京さんとは全然面識はなかったということですが、DIR EN GREYとかsukekiyoで彼がやってきたことに対してどういう印象を持たれてました?

antz:もうブチ抜けてるって感じです。それほど熱心にDIR EN GREYを聴いてたっていう感じではないんですけど、メインストリームですごくヘヴィなことをやってる。すごい事やってる人達だなっていう感じですね。

──ああいうヘヴィなロックは、そもそもお好きだったんですか?

antz:ヘヴィメタルよりも、ヘルメットとか、1990年代オルタナとか、2000年代のラウドロックとか、ニューメタルって言われるものですね。ああいうサウンドは刺さってましたね。

──そこらへんの匂いはPetit Brabanconにもありますよね。

antz:そうですね、自分が普通に好きだったので。どストライクでした。

──そうやってメンバーになる事が決まって、どういう感じで話が進んでいったんですか?

antz:電話をいただいた時に、「やります」って話をしたら、すぐに5曲くらい送られてきまして。

──いきなり!

antz:そうですね(笑)。“あ、もう歌も入ってるし、ここまでできてるんだ”って。カッコよかったですね。その中の一曲が「渇き」なんですけど、もう“キター!”っていう感じでしたね。


▲ミヤ (G)/<JACK IN THE BOX 2021>12.27@日本武道館

──ミヤさんっていうギタリストがいるのに、もう一人antzさんが呼ばれたということは、ツインギターでガッツリやりたいっていう事だと思うんですけど、そこで自分は何ができると考えましたか?

antz:そのあたりのバランスは今も探ってるところなんです。ミヤさん一人でできちゃうので、バッキングとかそういう部分に関しては別のアプローチでできるだろうな、っていう風には思いましたね。

──ミヤさん、あるいはMUCCの音楽に対しては、どういう印象を持たれてました?

antz:近いというか……自分はそういう方向には進まなかったですけど、自分がやりたかった方向的な部分をちゃんとメジャーなところで上手く消化しつつ、それでいてヘヴィで、すごく上手くバランスを取ってやってるなぁっていう。

──ギタリストとしてのタイプは、ミヤさんとantzさんでどう違うんでしょうか。

antz:まず、ギターを構える位置が違いますね(笑)。ミヤさんは高い位置で弾くけど、自分は結構低い位置なので。たぶんプレイの幅も違いますし。あと、ミヤさんはずっと7弦ギターでやってきてるけど、自分は7弦は弾いてこなかったので、そういうところでも違いますね。自分は6弦にこだわりがあったんですけど、ちょっと前に7弦ギターを買いました。Petit Brabanconのサウンド的な事もあってですけど、ミヤさんと同じ目線で楽曲が表現できるし、普通に7弦のほうが音の幅が広がるので。

──そこら辺はミヤさんとの間できっちり打ち合わせをして。

antz:自分は、いきなりコミュニケーションを取れるタイプの人間じゃなくて、口に出して“ああしよう、こうしよう”ってあんまり言えないので、暗黙のまま読み解くみたいな感じでした。自分がイメージしたらそれを表現して反応を待つ、っていう感じをやってきたかな。だからメンバーのBARKSインタビューを読んで、そういう事を考えてるんだなって。すごく参考になりました(笑)。



──ライヴのリハーサルで、初めてバンド全員で音を合わせたと思うんですが、どんな感じでした?

antz:変な違和感みたいなものもなく、結構自然にやれた印象ですね。ただ、俺の音がデカかったみたいで「音、デカかったです(笑)」ってミヤさんに言われて(笑)。でも、それも音を合わせてみてわかる事っていうか。言葉で語らなくても音を合わせた時になんかこう、しっくりくるものっていうのはあったので。それで十分かなっていうか。

──なるほど。

antz:普通はバンド仲間でスタジオにのらりくらり入って、1曲できました、2曲できました、じゃあライヴやってみるか、アルバム作るか、みたいな感じがよくある流れだと思うんですけど。今回は本当にそういうのはなくて。サウンドが外側から構築されて、芯までビシッとできたあとに、ライヴをやるっていう感じなので。でも向かうべきものが明確にあるから、アルバム制作とか作曲の作業の中で、それぞれが試行錯誤して構築したぶん、悩まずにリハできるっていう感覚はあったかもしれないですね。

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