【インタビュー】Petit Brabancon、高松浩史(THE NOVEMBERS)が語るyukihiroとのリズムセクション「新しい面が引き出された」
DIR EN GREYの京、L’Arc-en-Cielのyukihiro、MUCCのミヤ、Tokyo Shoegazerのantz、そしてTHE NOVEMBERSの高松浩史。五者五様の突出した個性が放たれるPetit Brabanconというサウンドは、異端にして極端、ラウドでヘヴィ、先鋭的で暴力的だ。エクストリームなサウンドを追求するあまり既成概念や予定調和を木っ端微塵に吹き飛ばしながら、感性を研ぎ澄ましていくようで痛快ですらある。音壁のようなサウンドを根底から引き締め、グルーヴを増幅させるボトム役を務めるのが高松浩史だ。
◆Petit Brabancon (プチ・ブラバンソン) 画像 / 動画
京、yukihiro、ミヤに続く、パーソナルインタビュー第四弾は高松浩史。THE NOVEMBERS、浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLSのベーシストであり、Lillies and Remains、BAROQUEの圭、健康のサポートベースを務めるなど、あらゆるジャンルの名高いアーティストから引く手数多という状況は、そのサウンド&プレイに対する信頼度の高さの表れだ。重低音にハリがあって、決してバンドの中に埋もれることのない高松浩史のベースサウンドがPetit Brabanconで描く究極とは?
Petit Brabancon参加の経緯、各メンバーの印象、L’Arc-en-Cielをフェイバリットアーティストに挙げる高松浩史がyukihiroと作り上げるリズムセクションについてなど、じっくりと訊いたインタビューをお届けしたい。なお、先ごろ開催された<JACK IN THE BOX 2021>にて自身初ステージを披露したPetit Brabanconの日本武道館ライヴ写真も併せて掲載する。
◆ ◆ ◆
■初めて5弦ベースを使ったんです
■僕にとってすごく極端なバンド
──Petit Brabanconに参加したきっかけはyukihiroさんの推薦だったとお聞きしてます。
高松:はい。ある日突然、yukihiroさんのマネージャーさんに呼び出されまして、「こういうバンドがあって。ベースやってみませんか?」みたいな感じだったので、もう、その場で「やります」と。
──即答で。
高松:そうですね。断る理由が全くないですし。
▲高松浩史 (B)/<JACK IN THE BOX 2021>12.27@日本武道館
──ですよね。その顔触れがyukihiroさん、京さん、ミヤさん、antzさんという個性派揃いのメンバーで、そういう中で自分に声が掛かった理由はなんだと考えましたか?
高松:えぇぇ…なんででしょうね。詳しくはお聞きしてないですけど、yukihiroさんがちょっと推してくれたみたいなところもあるみたいで。それで皆さんが“良いじゃん”と思ってくれたんじゃないかな。そう思ってるんですけど、僕は。
──じゃあ、声が掛かった時に、自分には何ができると考えました?
高松:んー……(沈黙)、なんですかね、難しいですね。その辺はあまり意識せずに、自分らしく……できたら良いのかなと思ってはいるんですけど。
──ふむ。例えばアーティストとしての京さんにはどういう印象を持ってました?
高松:僕は小学生とか中学生の最初のあたりからL'Arc-en-CielやDIR EN GREYをずっと聴いていて。大事な思春期を一緒に過ごしてもらったので。だからもうほんとに、本物の京さんだ!っていう感じはしましたね。皆さんそうなんですけど、特に京さんはその存在感というかキャラクターがやっぱりすごくて。京さんが歌ったらそれでOKみたいな部分もあったりしたので。身近にお近づきになってわかった凄みみたいなものは、やっぱりありましたね。
──それまで交流とかあったんですか?
高松:2回くらいイベントでご一緒したことがあって。挨拶程度でしたけどね。そのときはやっぱりずっと聴いてきたアーティストの方なので、そういう意味ではちょっと…なんていうんですか、神様じゃないですけど、お話をして良いのかなみたいな、そういうのはありまして。yukihiroさんに対しても、もちろんそうなんですけど。
▲京 (Vo)/<JACK IN THE BOX 2021>12.27@日本武道館
──ミヤさんはどうですか?
高松:昔、イベントとかでお見かけする機会はあったりしましたけど、ご挨拶したことはなくて。MUCCってめちゃくちゃ積極的に活動されてらっしゃるじゃないですか。第一線でガンガンやられてる、すごいギタリストだなっていう印象はずっとありました。
──antzさんはacid androidのライヴでご覧になってました?
高松:antzさんはCQというバンドをやられていた時にTHE NOVEMBERSで対バンしたことがあります。でもantzさん時代のacid androidは、実は観たことがなくて。
──そういうメンバーとやることになって。実際に会ってお話したのっていつ頃ですか?
高松:いつ頃だろう…たぶん2年くらい前、2019年だった気がします。僕が参加した時はまだantzさんが決まっていなくて、僕は4人目のメンバーだったんですよ。お誘いいただいて、そのすぐ後に他の御三方とお会いする機会がありました。
──どんな話を?
高松:バンドのコンセプトというか、こういう感じの音楽をやりたいんだ、みたいな話を。「とにかく極端なもの」という事をおっしゃられていた気がしますね。「中途半端ではない」というか。「どこまでも尖りきったバンドにしたい」みたいな。このメンバーならそういうことができるんじゃないかなっていう、ワクワクした感じはありました。
──極端な音楽といってもいろんな種類があると思うんですよ。THE NOVEMBERSもある意味で極端な音楽ではあると思うんですけど……。
高松:はい(笑)。
──Petit Brabanconの極端さっていうのは、どういうもんだと考えました?
高松:うーん…なんですかね……(考え込む)、やっぱりこう…極端にラウドじゃないですか、このバンドって。言い方は悪いですけど、暴力的な感じがあって。そもそもPetit Brabanconでは5弦ベースを使っているんですけど、僕はこのバンドで初めて5弦ベースを使ったんです。メンバーの皆さんのリクエストで。ギターがかなりダウンチューニングなので、普通の4弦だと音域的にマッチしないから。
──感覚的にもかなり違うんじゃないですか?
高松:違いますね。あとは音作りが全然4弦とは違うので、難しかったです。そういう意味でも僕にとってすごく極端なバンドだなという感じはありましたね。
──じゃあ、高松さんにとってPetit Brabanconで演奏することはチャレンジであると。
高松:そうですね! 僕がまだやったことのない事とか、見たことのない世界に連れて行ってもらったというか。
──いいですね。ミヤさんの作ってきたデモを聴いてどう感じました?
高松:僕が参加させていただいた段階で5曲くらいあって。もう京さんの仮歌が入っていたんですけど…その状態で、すでにカッコいいバンドになるなという確信がありましたね。
──そのデモにはガイドになるようなベースラインは入っているわけですよね?
高松:はい。それを元に僕自身である程度固めていって、レコーディングの時はyukihiroさんにディレクションというか、プロデューサーみたいな感じで入っていただいて。その後で録ったものを皆さんに提出して、直すところがあれば、その都度アドバイスをいただくという感じでした。
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