【インタビュー】DIR EN GREYの京、L'Arc-en-Cielのyukihiro、MUCCのミヤを擁する5ピースバンドPetit Brabancon始動、京が語る「トゲトゲしているもの、ぬるくないもの」
今を遡る約4年前、DIR EN GREYの京という異才、L'Arc-en-Cielのyukihiroという奇才、このふたりが才能を重ね合わせるべく幕を開けたプロジェクトがPetit Brabancon (プチ・ブラバンソン)だ。2021年12月、そこに加わったMUCCのミヤ、元acid androidのantz、THE NOVEMBERSの高松浩史という5人が作り出したサウンドは、すでに'20年代を象徴するような先鋭的プログレッシヴニューロックであり、もはやモンスターバンドならではの風格が漂っている。
◆Petit Brabancon (プチ・ブラバンソン) 画像 / 動画
Petit Brabancon初作品となるダブルAサイドシングル「刻 / 渇き」が12月24日に配信リリースされる。ラウドロックという言葉では一括りにできないサウンドスタイルは、メタル、パンク、オルタナティヴといった5人の個性を自由にかき混ぜ、奇妙で危ういバランスで成り立ったもの。歌詩は鋭い。善悪、喜怒哀楽、愛といった普遍的な感情が様々な視点からエクストリームな言葉で綴られた。ラウドでノイジーでポップ。5人が「刻 / 渇き」に詰め込んだセンスは時代の最先端そのものだ。
Petit Brabancon初となるインタビューでは、プロジェクトの始まり、yukihiroと京の関係性、楽曲制作や5人のサウンドメイクと歌詞、そしてヴィジョンについて、発起人とも言える京にじっくりと語ってもらった。なお、この作品リリースに続いて、12月27日、日本武道館で開催される<DANGER CRUE 40th Anniversary JACK IN THE BOX 2021>が彼らの初ステージとなる。
◆ ◆ ◆
■新しいバンドをやるなら
■やっぱ一番にyukihiroさんと
──Petit Brabanconの結成は、4〜5年前に京さんからyukihiroさんに声を掛けたことがきっかけらしいですね。
京:はい。僕自身、ZI:KILLのときからyukihiroさんがすごい好きで、ドラマーとして一番好きじゃないのかなというぐらい。DIR EN GREYのライブをyukihiroさんが観に来てくれたりもしていたので、何回か話したこともあったんです。それで、新しいバンドをやるならやっぱ一番にyukihiroさんとやりたいと。
──こういう音楽をやりたいからyukihiroさんがいいというよりは、yukihiroさんとやりたいという気持ちのほうが先にあったという感じなんですかね。
京:両方ですね。こういう音楽もやりたいし、yukihiroさんともやりたいし、もし話が合えばって感じで、話しに行きました。
──その時点でDIR EN GREYとsukekiyoと、2つバンドをやられていたわけですよね。また新たなバンドをやりたいと思った理由は何ですか?
京:昔からバンドをあと3つ4つぐらいはやりたいなっていうのは、ずっとあったんです。僕的に時間も余裕があったし、それに……後悔したくなかったんですよね。いろんな人といろんなことをやってみたいっていう思いが強くあって。DIR EN GREYはほぼ同年代だし、sukekiyoは全員後輩で、先輩とやってみたいっていうのもありました。いろんな人とやると作れる音楽とかイメージも全然違ってきたりするから、そういうものができる時にやっておきたいっていうのが、すごい強かったですね。だからタイミングを待っていたって感じです。
──yukihiroさんのプレイや音楽のどういうところに惹かれたんですか?
京:ストイックなところですね。インタビューとかあまり読まないんですけど、DIE IN CRIESとかZI:KILLの時とか、個人的に話させてもらった時とかに、なんかめちゃくちゃストイックな人だなって。
──確かに余計なことを言わない人って感じはありますよね。
京:そうですね。淡々とドラムをずっと叩いているみたいな。すごい好きでしたね、昔から。
──実際にyukihiroさんに声を掛けて、お会いになってみてどういう反応でした?
京:イメージ通りの人だなって思いましたね。
──わりとすぐ一緒にやろうという話になったわけですか?
京:だったと思うんですけどね。
──その時点で、yukihiroさんとやるんだったらこういう音楽がいいとか、そういうヴィジョンみたいなものはあったんですか?
京:yukihiroさんとやるからにはこういうものがやりたいという考えがあったので話をして、「僕もそういう音楽が好きだよ」っていう感じだったんで、「ああ、ぜひじゃあ、やりましょう」って感じの流れですかね。
──それはどういう音楽ですか。
京:そうだな……sukekiyoとかDIR EN GREYもそうなんですけど、いろんな要素が入ってて、なおかつ偏った音楽をちょとやりたいなっていうのがあったんですよね。でもメンバーが違えば自ずと違う、DIR EN GREYともsukekiyoとも違う音が絶対できてくるから、あとはもうメンバー次第かなって感じで思ってましたね。
──ユニットじゃなくて、バンドという形がやっぱりベストだなって思われたわけですか?
京:そうですね。ユニットってあんまり興味ないんですよね。一緒のメンバーで作っていくほうが僕は好きなので、うん。
──まずはお二人で意気投合して、三人目のメンバーとしてミヤさんが決まったんですね。
京:ミヤくんとはそれ以前にも何回か話したことがあって、普通に遊んだりもしてて。音楽も面白いし、すごいしっかりしているなぁっていうのが印象にあったので。他にもいろいろやってるじゃないですか。DJみたいなことやったり、なんかこう、すごいパワフルで。そういう部分で声をかけてみたいなっていうのがありましたけどね。
──ミヤさんが加わったことで、やりたい音楽がより定まってきたとか、そういうのはあるわけですか。
京:僕が曲を作れないんで、ミヤくんが作ってきて、具体的にはなってきましたかね。
──今回は3曲(ダブルAサイドシングル「刻 / 渇き」収録曲)だけ聴かせてもらったんですが、ぱっと思ったのが、'90年代のニューメタルというか。要するにヘヴィメタルとオルタナティヴの中間にあるようなバンド、たとえばデフトーンズとかKORNとか、アリス・イン・チェインズとか、あそこら辺の線に近いのかなって思ったんですけど。
京:そうですね。その辺はみんな好きですね。
──その辺が3人の共通項としてあった?
京:まあ、うん。まあまあ、わかりやすく言えばそうですね。
──京さんがこのバンドでやりたいと思っていた音楽性でもある。
京:まあ、そうっすね。以前ミヤくんと喋っていて、「yukihiroさんがヘヴィな曲を叩いているのをすごい見たいよね」みたいな話はしてたんです。あとはやっていくうちにどんどん変わってくるし、メンバーの音とかも加わってくることで、このバンドにしか出せないサウンドって勝手にできてくるだろうなっていうのがあったんで。
──antzさんと高松さんは、yukihiroさんが推薦したってことをお聞きしたんですけど、その二人はどうですか。プレイとか聴いてて。
京:いや、おもしろいっすね。今までとは違う、全然。音自体が違うし、フレーズとかも違う。すごく面白いです。
──今回(ダブルAサイド デジタルシングル「刻/ 渇き」収録曲)は3曲ともミヤさんの曲なんですが、曲を作ってもらう時に注文みたいなものは出したんですか?
京:いや、特に出してないですね。なんかこう、トゲトゲしているものっていうか、ぬるくないものならいいなというか。
──なるほど。3つ目のバンドだし、もう少しリラックスした感じでやるのかなと思っていたら、全然そうじゃないですよね。
京:はい。
──すごいテンション高いし、ダークだし、ヘヴィだし。やっぱりこれは京さんが逃れられないものっていう感じなんですかね。
京:そうっすね。あんまりその道から外れるものは、そんな好きじゃない。
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