【インタビュー】10-FEET、新曲「シエラのように」をTAKUMAが語る「僕が今聴いたら、一番元気が出る、支えられる曲」
10-FEETが10月14日、1年3ヵ月ぶり19枚目のシングル「シエラのように」をリリースする。“シエラ”は“山脈”を意味するスペイン語であり、TAKUMA (Vo, G)は、「自分が一番しんどい時や寂しい時に聴きたい唄、音楽、を作れたと思います。なので明るい事だけを唄ってません。でも暗い所から明るい所に向かって行く人の姿を描いた唄です」と同曲について語っている。山脈のような雄大さも豊かな起伏も描かれた新曲が、10-FEETの変わらぬ本質と新たな一面を映し出した仕上がりだ。同シングルには表題曲ほか「彗星」「あなたは今どこで誰ですか?」の全3曲を収録。生産限定盤付属DVDには<京都大作戦2019〜倍返しです!喰らいな祭〜>よりDAY1とDAY2の模様がダイジェストで収録されることも明かとなっている。
◆10-FEET 画像 / 動画
BARKSでは3週にわたって10-FEETパーソナルインタビューを展開中だ。第一週のNAOKI (B, Vo)、第二週のKOUICHI (Dr, Cho)に続く、ラストはTAKUMA (Vo, G)。1日に1曲、とにかく曲を作っていたという時期がコンポーザーとしての幅を広げ、アコースティックによる弾き語りをはじめとする活動が意識の変化をもたらした。新たな発見も成長も詰め込まれた新曲が、「ほんまにええ曲ができたと思っています」と自身も語る「シエラのように」だ。
有観客イベント<OSAKA MUSIC DAYS!!!>や、オンラインハイブリッドフェス<THE SOLAR BUDOKAN>への出演など、現在10-FEETはライブ活動をスタートしている。バンドの現在、シングル「シエラのように」制作過程と込められた想い、そして開催が発表されている全国ツアー<10-FEET “シエラのように” TOUR 2020-2021>について訊いたパーソナルロングインタビューの最終章、TAKUMA編をお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■10-FEETを意識せずに曲を作ることで
■変化が生まれ、引き出しもすごく増えた
──8月上旬に大阪城ホールで開催された<OSAKA MUSIC DAYS!!!>に出演しました。10-FEETとしては約半年ぶりの有観客ライブでしたが、どんな思いでステージに立ち、また終えたときの気持ちは?
TAKUMA:お客さんがとにかく素晴らしくて、凄くて、感動しました。感染対策で、ジェスチャーと拍手だけのリアクションに限られていたんですよ。どんだけ演奏しても、MCで何を言っても、客席から起こるのは拍手のみ。
──笑いもダメだったんですか?
TAKUMA:笑うことがダメだとは書いてませんでしたけど、対策のために声を出すのは控えましょうってことで、みんななるべく我慢していたと思うんです。生理現象に近いから、笑っちゃってることもありましたけどね(笑)。ただ、みんなで何とかしましょうって、徹底してやっていたことに感動しました。その範囲で最大限に拍手したり、その場でジャンプしたり、応えてくれたり、楽しんでくれたりしたという、その姿。声や歓声は出せないものの、ものすごく気持ちが伝わってきて感動したんです。
▲TAKUMA (Vo, G) |
TAKUMA:やっぱりライブってすごくいいなって。感染対策をしながらでも、みんなも僕らも主催者もライブをやりたいと思ったから、あの場があった。そういう思いがあった上で成り立ったイベントで、ほんまにライブはいいな、音楽は凄いなって思いましたね。もちろんライブを早くやりたいっていう意欲にも、そのままつながっていると思います。
──10月からのツアー<10-FEET “シエラのように” TOUR 2020-2021>のスケジュールも発表されました。1日2回公演で、1ステージが30〜45分ぐらいという新しいスタイルでのツアーになります。そこに向けての具体的なアイデアも、すでに頭の中を駆け巡っていますか?
TAKUMA:頭で考えるというよりは、メンバー全員でリハーサルに入って演奏しながら、自然と湧いてくる気持ちに沿って作っていくのがいいなと思っているので。どんなライブ内容にしようかってことは、その都度って感じになると思いますね。
──ツアーも、ステージの回数を重ねるごとに変化が起こっていくわけですね。でも10-FEETがロングツアーのスケジュールを発表してくれると、ライブ好きとしてはスイッチが入りますよ。次への第一歩を踏み出すときが来たなって。
TAKUMA:そう思ってくれると嬉しいですね。
▲「シエラのように」通常盤ジャケット |
TAKUMA:そうですね。8thアルバム『Fin』(2017年11月発表)ぐらいかな、10-FEETというものをテーマに曲作りしながら、“もっと作曲力やいろんな経験値を増やさんと、ええ曲ができていかへんな”と思ったことがあって。1日に1曲、どんな曲でもどれだけヘボくても、たとえ10-FEETではできそうもない異質な曲でもええから、とにかく作ろうってやってた時期があったんです。そのときにワーッとけっこういろんな曲もできて。採用された曲と、10-FEETでやらなかった曲もあったんですよ。最近、10-FEETを意識せずに曲を作ることを、よりやるようにもなって。というのも弾き語りライブとかを一人でやったり、アコースティック用に10-FEETとは違ういろんなミュージシャンとやってみたりして……。
──その活動自体、ずいぶん前から考えていたことでもあったんですか?
TAKUMA:昔から弾き語りはちょいちょいやっていたんですけど、ちょいちょいでも、やるたびに声が掛かる機会が増えて。それで2年ぐらい前かな、一人での弾き語りじゃなくて、仲間を入れてやってみようってメンバーを集めてアコースティックライブをやってみたんです。そうしたら、またさらに呼んでもらえるようになったんですよ。そのころに弾き語り用の曲を作ったり。つまり10-FEETじゃないところに向けて曲を作るようになった。その過程では、これは10-FEETでもできるなとか、10-FEETっぽいなって曲もできていったんですよ。だからアコースティックでライブをやるようになったのは、すごくいいことだと思いましたね。弾き語り用の曲を作れたことによって、10-FEETで曲を作るときの変化も生まれたというか、すごくいろいろ増えたと思うんです。
──自分自身の引き出しとか、新たな着眼点とか?
TAKUMA:そうです。10-FEETを意識せずに、10-FEETの曲を作ったり。また、弾き語りを意識しながら作ったら、それが10-FEETに似合う曲だったりすることもあって。だから10-FEETを考えずに作るってことが、最近、自分の中でとてもいい働きをしているなっていう。
──話を聞いているだけでも、創作意欲がすごく活性化された感じしますから。
TAKUMA:実際、10-FEETで曲を作ろうとなったとき、とても活きているのが自分でも分かるんですよ。前だったらこういう考え方はできへんし、せえへんかったけど、こういう曲も10-FEETで全然イケるやんって。そういう感覚も増えたし。もちろん10-FEETでもいろんな曲をやってきたからということも、すごく大きいんですけど。あと弾き語りをやればやるほど、10-FEETに対する向き合い方も心もリフレッシュする。前は思い浮かばへんかったアイデアが浮かぶようにもなったんです。その逆もしかりで、10-FEETをやればやるほど、アコースティックでこんなことやったらおもしろいかもって考えも出てくるようになった。アコースティックのほうでも、たまにエレキギターでやってみたりとかしていて、要するに別バンドみたいな感じですよね。この前、ライブをやってみたら、またそこでも全然違った感覚が芽生えて。コロナ禍になって、悪いことだけでもなかったかなと思える数少ないことのひとつでしたね、アコースティックギターで歌うことが増えたのは。気づきと発見と、10-FEETのTAKUMAとしての成長にもなったと思うんです。
◆インタビュー【2】へ
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