【インタビュー】Cloque.、人生最後のバンドとして
村松利彦(Vo&G)、古田秀人(Ba&Cho)、吉見裕太郎(Dr&Cho)によるスリーピースバンド・Cloque.。瑞々しくてエモーショナルなバンドサウンドと、心を揺さぶるグッドメロディを武器に、ライブハウスシーンで着実に活動を続けてきた彼らは、2019年4月にメジャーデビュー。このたび、1stフルアルバム『ネイキッドブルー』をリリースした。
BARKS初登場となる今回のインタビューでは、バンド結成当時のことや、最新作『ネイキッドブルー』について、そしてバンドのソングライターであり、「みんな幸せになればいいなって思い始めた」と語る村松の胸中や、そこから生まれた曲達に込めた想いなど、3人に幅広く話を訊いた。
◆ ◆ ◆
■最初から決まっていた感じ
──メジャーデビューしてからの1年間は、バンドにとってどんな時間だったと思いますか?
村松利彦(Vo&G/以下、村松):想像していたメジャーデビューとは違ったというか。自分らがずっとやってきたことをそのまま広げてもらう努力を周りがしてくれて、のびのびとやらせてもらっていたので、変わらずに音楽ができました。より楽しくなった感じですね。もっと限られるのかなと思っていたんですけど、もっと自由だったなっていう1年でした。
──改めて自分達はどういうバンドなんだろうと思ったり、感じたりしたことはありました?
古田秀人(Ba&Cho/以下、古田):改めてライブハウスバンドだなっていうのは感じましたね。やっぱり熱い感じが好きで。手拍子とかそういうのもいいんですけど、汗をかいて、一緒に歌っているほうが向いているなと。
村松:まあ、そういうのが好きっていうのはあるよね。
古田:そういうことも、メジャーに行くことによって制限されるというか。ライブも選んでいかなきゃいけないのかなとか思っていたんですけど、それも自由にやらせてもらえていたので、余計に感じられたところもあると思います。
▲古田秀人(Ba&Cho)
──そもそもCloque.を始めるときに、ライブハウスでがっちりやっていこうというお話はされていたんですか?
村松:しました。ドラムの吉見と僕は、月に10本とか当たり前にやって、ツアーも回るバンドをやっていて。でも、秀人のバンドはそこまでライブ活動をしないバンドだったので、初めてスタジオに入ったときに「月に10本ぐらいライブできますか?」って。
古田:(バイトの)面接みたいな(笑)。
村松:そうそう(笑)。そしたら「そういうバンドが好きだったからやりたい」って。
古田:それまではそもそもバンド自体が続かなくて、いくつか作っては終わって……っていうのを繰り返していた時期に2人(村松と吉見)がバンドをやることが決まっていて。トシくん(村松)とは前のバンドで関わりがあって、曲もいいのは知っていたから、(ベースが)いないんだったらと思って連絡して、そのままスタジオに入って……っていう感じでしたね。
村松:だから、ライブを大事にしようっていうのは、好きだから勝手に決まっていたぐらいの感覚でしたね。言葉で確認することはそこまでなかったけど、そういうバンドが3人各々好きだから、そこは何も言わなくても最初から決まっていた感じでした。
──バンドとしては、村松さんと吉見さんが意気投合したところから始まったそうですが。
村松:僕が2人(古田と吉見)と知り合いで、一緒に対バンをやっていたんですけど、吉見のバンドと自分のバンドが1ヶ月違いぐらいで終わって、僕が誘いました。ドラムがいいのはわかっていたし、それまで自分がやっていたバンドのドラマーとは違うタイプだったので、この人と一緒にやったらどういう感じになるんだろうっていう興味もあったし、ほぼ一択に近かったですね。で、飲みに行こうって誘って。吉見はお酒飲めないんですけど(笑)。
吉見裕太郎(Dr&Cho/以下、吉見):俺もトシくんはどうするんだろうな?って思っていて。前のバンドで対バンしたときに、いいなと思っていたボーカルの1人だったんで、即決でした。ライブを観ていて普通に歌がうまいし、俺がもう25歳ぐらいのときだったんで、どうせやるならいいボーカルとやりたいっていうのもあったんで。
▲吉見裕太郎(Dr&Cho)
──結成するときに、こういう音楽をやろうみたいなお話はされたんですか?
村松:それもあまりなかったですね。好きな方向が一緒だったのか、そもそも自分の書く曲が前のバンドと近かった感じもあったし、3人で最初にスタジオに入るときは自分の前のバンドのコピーを3人でやっていたので。だから、だいたいこんな感じっていうのは、言わずもがな決まっていた感じはありましたね。
──Cloque.の曲は、純粋にメロディのいいものが多いですけど、村松さんとしてはどんな音楽をやりたいと思いながら曲を作っていたんですか?
村松:僕は欲張りなので(笑)、“歌もいいし、ライブ感もある”みたいな感じのものがいいなと思ってましたね。あと、J-POPもずっと好きで聴いてきたりもしたので、なんていうか、“これは無理だよね?”って言われることまでやれるようなバンドになりたいなと思って、曲は作ってました。
──「これは無理だよね?」と思うことというと、たとえばどんなことですか?
村松:なんていうか、昔は結構マジメに曲を書きがちだったんですよ。でも、今は楽しんで曲を書けるというか。歌詞の選び方とかも、昔ならこの言葉は絶対に使わなかっただろうなというものも使っていたりしていて。他人から見ると変わらない部分もあるかもしれないけど、昔は絶対に嫌だった言葉も今なら使えるし、歌ってみるっていう。そういうチャレンジはしています。
──「昔は結構マジメ」の「マジメ」の部分って、どんなものだったりするんですか?
村松:比喩的な表現をしないっていう感じでしたね。自分が歌う歌だから自分の歌でありたいという気持ちが強くて、何かに置き換えるような表現はあまりしてなくて。でも逆に、最近はそういう言葉をよく使うようになって、いろんな人に届けられるような歌が増えてきたなと思います。
──「いろんな人に届けられるような歌」というのは、昔からそういう歌が歌いたかったんですか? それとも活動していく中でそう思うようになりました?
村松:そこは昔からあったんでしょうけど、なんていうか、昔のほうがもっと尖っていたわけではないけど(笑)、届く人に届けばいいなっていう感覚でしたね。でも、今はもっと、それこそ欲張りになっているので、届く人だけじゃなくて、初めて会った人にも何かを持って帰ってもらえるような曲にはしたいなと思って書いてます。
──なぜまたそう思うようになったんでしょうね。
村松:大人になったって言うとアレですが(笑)。昔はまだちょっと反骨精神みたいなものもあったので、大人になりたくない気持ちを持ちつつ歌っていたところがあったけど、逆に今は大人になりたいというか。かっこいい大人になれるんだったら、全然大人でいいじゃんと思うようになったんです。考え方が少し広くなって、いろんな見方ができるようになったかなと思います。
▲Cloque./『ネイキッドブルー』
──そういった中でリリースされる『ネイキッドブルー』ですが、タイトルはどういうところから出てきたんですか?
村松:去年「モノクローム」っていうデジタルシングルを出したんですけど、その曲のテーマは“自分の人生の主人公は自分”っていうものだったんですよ。で、アルバムを作ろうっていう話になったときに、そのテーマで1枚CDを作りたいなっていうのが、自分の中にあって。『ネイキッドブルー』は、直訳すると“むき出しの青”っていう意味ですけど、ちょっと気分の落ち込む日や泣いてしまう日があってもいいし、笑ったりふざけたりする日があってもいいし、いろんな自分をむき出しのまま、ありのまま大事にできたらいいなと思って、このタイトルにしました。
──2017年に『この蒼い日々を』というミニアルバムを発表されていましたけど、村松さんが曲を作られる上で“蒼”や“ブルー”というのは大事なものでもあるんですか?
村松:大事かもしれないです。僕は青さとか青春を歌うことが多いんですけど、自分のキャラクター的には黄色とかのテンションではあるんですよ。どっちかというと明るいほうなので(笑)。でも、そういう反面、人間って裏側には絶対に暗い部分や青い部分があると思うし、そこがあるからこそ黄色がより目立つ。だから、そういう裏側というのは自分の中では大事なものかもしれないなと思って、逆に表に出すようにしてますね。
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