【インタビュー】“現在”を表現した、VALSHEからの『PRESENT』
2020年9月にデビュー10周年イヤーを迎えるVALSHEが4thアルバム『PRESENT』を4月1日にリリースする。通算100曲目の節目にリリースされたシングル「「SYM-BOLIC XXX」」と「紅蓮」をふくむ今作は昨年2019年の夏に全国12箇所を廻ったアコースティックツアーを通じてVALSHEがオーディエンスと近い距離で触れあった体験をフィードバックさせた内容となった。アルバムのタイトルはダブルミーニングとなっていて“贈り物”という意味とVALSHEの“今現在”という意味がこめられている。
10周年イヤーの序章にアニヴァーサリー的なアルバムを作らなかった理由とは? そして、ファンと過ごしたかけがえのない時間の中でVALSHEが掴みとった確信とは? 書き下ろしの新曲について、その背景になった出来事についても語ってもらったロングインタビューで現在の心境が明かされる。
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■“記念アルバム”でいいのかな?
──アルバム『PRESENT』はどんな姿勢で取り組んだ作品ですか?
VALSHE:基本姿勢としてアニヴァーサリーにはこだわらなかったんです。昨年、ちょうど100曲目に当たるシングル「「SYM-BOLIC XXX」」をリリースした後、アコースティックツアーに臨んだんですが、ツアーを経て13thシングル「紅蓮」をリリースしたときには「次に提示するのは“記念アルバム”でいいのかな?」って自分の中でずっとひっかかりがあったんですよね。と同時に「アコースティックツアーで得た答えを作品で提示できないだろうか?」って。結果、昨年、自分がやってきたことを反映させるアニヴァーサリーとは別もののアルバムを作ることに着地したんです。
──アコースティックツアーで得たものというのは?
VALSHE:細かく言えばたくさんあるんですが、大きなところで言うと“目線の違い”ですね。これまで「自分自身はこういうふうに考えているけど、あなたはどう思いますか?」とか、「あなたはこう思っているんじゃないか?」っていう視線で歌詞を書いてきたんです。アコースティックツアーでは会場でアンケートを募ったり、ツアーと並行してイベントをやらせていただいたのでリアルタイムでお客さんの言葉をじかに聞く機会があって。そういう中で「同じ目線でものごとを見られてるんだな」っていう手応えがあったんです。“自分”、“あなた”ではなく“僕たちは”という目線で歌詞を書く準備ができたことは経験値としてすごく大きかったですね。いろいろな楽曲に得たものが落とし込まれています。
──具体的にどんなところで共鳴したんでしょうか?
VALSHE:歌詞にも反映させているんですが、一緒だなと思ったのは自分に対して自信がないというか、自分を褒めてあげられない人がたくさんいるんです。「でも、他の人のことはすごく褒めるんだよな」と自分は感じて共感する部分がたくさんあったんです。とはいえ、多くの人がいまの状況に絶望しているわけでもなく、ふさぎこんでいるわけでもなく、少なくともライブ会場に来ていて楽しい時間を共有している。「もうちょっと深く知りたいな」と思っていたときにいろんな言葉や手紙を読むことによって「こういう考えを持って来てくれてるんだな」って2ヶ月弱のツアー中、ひとつひとつスッキリしていく感じがたくさんあったんです。
──VALSHEさんにとって大きな体験ですね。
VALSHE:すごく大きかったですね。
──アルバムはイントロダクションのSE「You can never cross the sea just by staring at the water surface」から始まって「海賊讃歌」に移行します。その流れにはストーリー性が感じられましたが、どんなふうに組み立てていったんですか?
VALSHE:アルバムにはシングル「「SYM-BOLIC XXX」」と「紅蓮」も入っているんですが、「現在のVALSHEの最大値を見せたいよね」という共通認識のもと、サウンドの方向性や歌詞に新たな目線をしっかり出せるようなアルバムにしたいと思って取り組んだんです。「海賊讃歌」に関してはVALSHEのFC(「OVER THE HORIZON」)が船を想起させるような仕様になっていることもあって作った曲ですね。海を想起させる曲は以前にも作ったことがありますが、現在のVALSHEをテーマにした上での楽曲になっています。
──SEと「海賊讃歌」の音には繋がりが感じられますね。
VALSHE:そうですね。両方とも曲はサウンドプロデューサーのShun Satoさんが手がけているんですけど、ステージングも想定した上でいちばん最後に作ったのがSEのトラックなのでケルティックな音楽の要素を取り入れた「海賊讃歌」に意図して繋がるようにしています。
──VALSHEさんはつねにファンタジーとリアルのバランスを意識して歌詞を書かれていますが、お話を聞いていると“海賊”にはファンの方たちも含まれているのかなと感じました。
VALSHE:おっしゃる通りです。ざっくり言うならファンも含めたチームVALSHEの家訓みたいなイメージで作ってますね(笑)。身近な制作陣にも言えることだし、応援してくれる人たちも全員、船に乗っている人は家訓にしてくださいっていう。各自がひとつの大きな目的や夢のために同じ船に乗り合わせている。自分にとってのチームVALSHEはそういうイメージなんです。
──今作のVALSHEさんのボーカルは伸び伸びしていてエネルギッシュです。なにか吹っ切れた心境と関係しているのかと思いました。
VALSHE:そうだと思います。
──「海賊讃歌」がワイルドで男性的なボーカルならVALSHEさんと長年のつきあいのdorikoさんが作詞を手がけた「アルビレオ」は女性的な響きがあり、VALSHEさんの性別を超えたボーカリゼーションが楽しめます。
VALSHE:アルバムだからこそボーカルワークもいろんなことに挑戦できるんですよね。「アルビレオ」はいいスパイスになってくれそうだったので編曲をiroha(sasaki)さんにお願いしたんです。
──ネットで大人気の曲「炉心融解」でおなじみのiroha(sasaki)さんとはもともと交流があったんですか?
VALSHE:直接的にはなかったんですが、昔からiroha(sasaki)さんのサウンドはよく聴いていたんですね。「アルビレオ」を最終的にどういう立ち位置にしてどういうサウンドにしたらいいか相談したときに電脳系の方向に持っていきたいと思っていたこともあって「iroha(sasaki)さんいいんじゃない?」っていう提案をディレクターからもらってお話をして編曲していただきました。“アルビレオ”は“二つ星”という意味なんですが、dorikoさんに話を聞いて紐解いていったら、ぴったり重なっている星じゃないらしいんですよ。お互い依存しあっている関係ではないということをテーマにしていると聞いて、シンガーとしてこの曲を表現する上で「二つ星ならボーカルをダブル(同じメロディを重ねて録音する手法)にしよう」って提案させてもらいました。サビの部分でメインの歌を2本録って歌詞とシンクロできたら面白くなると思って遊ばせてもらった曲ですね。
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