安斉かれん、「バーチャルとリアル」「共感と孤独」の境界線

ポスト

5月1日、令和を迎えたその日に配信シングル『世界の全て敵に感じて孤独さえ愛していた』でデビューした安斉かれん。

◆ライブ画像

さる歌姫を彷彿とさせる楽曲やビジュアルイメージで話題を集めるも、メディアへの露出はなく、初ライブとなった<第14回渋谷音楽祭2019~Shibuya Music Scramble~>でも鏡越しという意表を突いた演出で登場するなど、バーチャルな存在なのでは?という説も囁かれているミステリアスな女性シンガーだ。


そして12月25日のクリスマス。新木場スタジオコーストで行われた、東京ガールズコレクションがプロデュースする<TGC teen 2019 Winter>のオープニングアクトのひとりとして、彼女が再び公の場に登場した。イベントコンセプトが「“令和teen”のためのガールズフェスタ」ということで、まさに新世代、最先端の流行に敏感な観客が集まった会場。そこに、暗転とともにステージへ巨大なボックス型の機材が運び込まれる。シークレットの出演だったため観客たちは何が始まるのかと不思議そうな表情。そして突如ライブが始まると、なんとその中に安斉かれんの姿があったのだ。


ボックスの中の安斉かれんはフードをかぶったスタイルから、一瞬でビンクのトップスに黒のミニスカート、ロングブーツという“ポスギャル”ファッションに変身し、スタートしたのは3rdシングル「人生は戦場だ」。のびやかな高音ボーカルを響かせる等身大の彼女を映し出しつつ、エレクトロポップなサウンドに合わせて3D合成でさまざまなエフェクトがかけられ、サイバーで幻想的な世界観が繰り広げられる。まるでVR映像を覗き込んでいるような立体感で、でも目の前に存在しているような、不思議な感覚。ボックスの中にいるのか、はたまたこれはただの映像なのかと、観客も驚きながら食い入るように見つめていた。


こちらに手を振るでもなく、どこか無機質で物憂げな表情がより異次元感を際立たせるのだが、“人生は戦場だ そう感じることもある”“「愛」なんて知らない、「笑う」のも痛い/そう、本当は強くないよ”と、歌詞に刻まれたメッセージは今を生きる切実なリアルに満ちている。そのアンバランスさがおもしろい。

続いて披露したのは「誰かの来世の夢でもいい」。ピアノの音色がどこか懐かしいラブバラードが、カラフルなライティングで彩られていく。その中で時折挟まれるダークな演出も、安斉かれんの二面性を強調していて印象深い。彼女はやはり物憂げな表情のまま2曲を歌いきったあと、不思議な余韻を残して光の中にふわりと消えていった。

バーチャルとリアルの境界線が曖昧になり、さまざまなツールを介した共感と孤独が背中合わせに存在する現代。実在するのかしないのか、つかみ所のない安斉かれんは、まさにそんな時代を象徴する存在と言える。来る2020年、まだまだ未知数の彼女の可能性がどう開花していくかが楽しみだ。

取材・文◎後藤寛子
写真◎(C) TGC teen 2019 Winter



■安斉かれん デビュー三部作
DEBUT SINGLE 「世界の全て敵に感じて孤独さえ愛していた」
https://avex.lnk.to/kalenanzai_sekai

2nd SINGLE 「誰かの来世の夢でもいい」
​https://avex.lnk.to/anzaikaren_darekano

3rd SINGLE「人生は戦場だ」
https://avex.lnk.to/anzaikaren_jinsei

◆安斉かれん オフィシャルサイト
この記事をポスト

この記事の関連情報