【千歌繚乱インタビュー】SAVAGE、「バンドをやれているだけで幸せ」
12月21日に渋谷REXで開催されるBARKS主催イベント<千歌繚乱vol.19>に出演するSAVAGE。8月に行われた同イベントにも出演し、圧倒的なライブパフォーマンスを見せてくれた彼らが、BARKSにも二度目の登場となる。
今回のインタビューでは、彼らの今にフィーチャー。10月24日に発売された2ndミニアルバム『解剖フィルム』についての話から、現在開催中の<東名阪2デイズ・ツアー【双頭の蛇】>についてなど、たっぷり語ってもらった。
◆ミュージックビデオ ほか
※本記事は12月21日に渋谷REXで開催される<千歌繚乱 vol.19>において、来場者限定で配布される「千歌繚乱 ARTIST BOOK」掲載のインタビューの一部を事前に公開するもの。「千歌繚乱 ARTIST BOOK」ではメンバーへの一問一答アンケートなど、より深い内容が掲載されている。
◆ ◆ ◆
■SAVAGEの違う一面を見せたかった
――まずは、今年の6月から8月にかけておこなった全国ツアー<毒針2>の感想や手応えなどを話していただけますか。
龍華(Vo):どうだったかな? わりと最近のことだったのに、もう遠い昔のことのように感じるんですよ(笑)。<毒針2>は……SAVAGE史上最大規模のツアーで、ツアー前は本数が多いなと思っていたけど、終わったときに少なく感じました。ライブの内容も良かった気がする、あまり覚えていないけど(笑)。“うわぁっ!”みたいになった記憶がないということは、良かったんだと思います。あと、初めていくところが何ヶ所かあって、地方にはよく行っているけど、関東圏でライブをすることがあまりなかったんですよ。千葉とか、埼玉でワンマンをするのは初めてで、それが印象に残っています。普段は都内でライブをしているから関東圏の地元の人が喜んでくれて、近いからといって都内だけで済ますのは良くないなと思った。それは、日本全国にいえることですよね。地方を大きく括ってしまわずに、もうちょっと密にまわるべきだなと。そういうことに気づけたという意味でも、いいツアーだったと思います。
JUN(B):関東でいうと、猛さんの地元の柏とかはすごく良かったなという思い出がありますね。あと、埼玉では浦和ナルシスでライブをしたんですけど、撮影会の途中に地震があって避難したんですよ。そのときに、Ayutoだけ、お客さんと一緒に避難したんです(笑)。
Ayuto(Dr):ちょうど俺の撮影中だったんですよね。お客さんと近いところにいたから一緒に避難して、周りが女の子だらけで、「すみません…」みたいな(笑)。
Ayuto:前回のBARKSのインタビューでも言いましたけど、ドラムを叩くときは毎回動画を撮るようにしたんです。それでわかることがいろいろあって、すごく勉強になったというのがあって。あとは、ツアーが始まったのが6月とかなので、みんなと同じようにほぼほぼ覚えていない(笑)。鮮明な記憶があるのは、ファイナルくらいですね。9月28日に新宿LOFTでファイナルをして、すごく気持ち良くライブができて、ツアーで学んだことが活かされたことを感じたんです。だから、俺もいいツアーだったと思います。
猛(G):<毒針2>で覚えているのは、ツアー中にバンド内でプチブレーク的な感じで、バナナが流行ったんですよ(笑)。
一同:あった、あった(笑)。
猛:みんな、やたらとバナナを食べていたという(笑)。
JUN:アスリートみたいになってた。
猛:そう、なんかバナナとか、ゆで玉子とかをすごく食べていたんです。で、“Ayutoのバナナがない事件”が起こったりとか。
一同:そうそう!(笑)
猛:みんな個々にバナナを調達してくるから、楽屋にバナナが沢山あったんですよ。そうしたら、Ayutoのバナナがない日があって、「俺のバナナがねぇ!」とかいってAyutoが大騒ぎするという(笑)。
Ayuto:そういう何かを隠すいたずらは、龍華さんがよくするんですよ。だから、絶対に龍華さんだと思ってしばらく疑ったあと、自分のバッグを見たらあったんです(笑)。疑ってすみませんと思って、ちゃんと謝罪しました。
猛:子供かよ!(笑)
――皆さんの話から、バンドがいい状態でツアーをまわったことがわかります。8月に<毒針2>ツアーを終えた後は、10月24日に2ndミニアルバム『解剖フィルム』がリリースされました。
龍華:結構シングルが続いていたので、そろそろまとまったものを出そうかという話をしていて、ミニアルバムを出すことにしました。ボクらは“SAVAGEといえば、こういう感じの曲だろう”みたいなことは決めていなくて、いろんなテイストの曲をやっているんですよ。今回もそういうスタンスでいこうというのが、まずあって。それに自分らがまだやったことがないような曲調とか、今までと違う色のものを提示したいという気持ちもありました。挑戦というか、SAVAGEの違う一面を見せたかったんです。そのために、4人それぞれのまだ見えてない部分とか、出していない部分とかを“解剖”するように出していこういこうという話になって。それを踏まえてそれぞれが曲を作って、その中から厳選したものを詰め込んだのが『解剖フィルム』です。
JUN:『解剖フィルム』にはいろんな曲が入っているけど、個人的に好きなのは「メビウス」という曲です。自分で作った曲なんですけど、この曲は作ったのが4年前くらいで。久しぶりにデモを漁っていたらいい曲があるなと思って。あの頃の俺は、いいセンスをしていたなと(笑)。ただ、4~5年前の俺は洋楽のメタルコアにハマッていて、それが色濃く出ているからSAVAGEには合わないかなと思ったんですよ。そこも踏まえてリ・アレンジして持っていったら、採用になりました。
JUN:ありがとうございます。俺が作る曲は、今回の2曲目の「紅色」もそうですけど、符点8分のディレイをかけたクリーン・トーンのギターを使うことが多くて。「メビウス」も使っていて、ちょっと多いなと思ったんです。それで、鍵盤にしようと思って、ピアノに替えました。その結果だいぶエモくなったなと思って、気に入っています。
――独自のテイストになっていますよね。それに、他曲とはテイストが少し異なるメタリックなドラムにも耳を惹かれました。
Ayuto:JUNの曲には、そういうテイストが求められることが多いんです。自分の引き出しにないフレーズの宝庫みたいなところがあって、「メビウス」はデモを聴いたときに、これ叩けるのかなと思いました。全然叩いたことがないフレーズばかりだったから。それを覚える過程がすごく楽しかったし、勉強になりましたね。それに、展開が激しくて、ドラムもどんどん変わっていくんですよ。そこも含めて、「メビウス」のドラムはすごく叩き甲斐があります。ドラムの話になってしまったけど、俺も『解剖フィルム』で印象が強い曲の話をしてもいいですか?
――ぜひ、お願いします。
Ayuto: 1曲あげるとしたら、自分が書いた「裏切りの錯乱バニー」です。この曲は2番のサビくらいまでパッとできたんですけど、そこから先が思いつかなくなったんです。それで、ちょっと置いてからまた作り始めたらどんどんアイディアが出てきて、それを“パーン!”といろんなところに散りばめたら錯乱しているような曲になった。それに、龍華さんが「裏切りの錯乱バニー」という歌詞をつけてくれたので、“よしっ!”と思いました(笑)。
猛:この曲は、弾いている人間も錯乱しているしな(笑)。JUNがこの間のスタジオで、「全然覚えられない、やべぇ」とか言ってて。
JUN:そう(笑)。いつもだったらそんなことはまずないのに、この曲は珍しく覚えられない。
Ayuto:普通な感じは嫌だなと思って、展開も変わった感じにしたから。みんな構成を覚えるのが結構大変だと思います。
――たしかに、演奏するのは大変な気がします。トリッキーなオケに加えて、歌もシャウトあり、リーディングあり、でもサビはエモーショナルという多重人格者的なアプローチになっていますね。
龍華:Ayutoとはもう付き合いも長いので、彼の好みはわかるんですよ。それを踏まえつつアプローチしたら、こういう歌になりました。この曲は、歌もめちゃくちゃ難しいです。拍が取れない部分とかがあって、すごい変拍子だと思ったら変拍子じゃない…みたいな。そういうところでちょっと苦戦したけど、気持ち悪い部分とか、錯乱している部分とかは僕も好きな分野なので、すぐに対応できました。
猛:龍華らしさが出ていると思う。私の中で印象が強い曲は……『解剖フィルム』の曲作りについて話すと、曲作りの期間がワンマンツアーとぶつかっていたんですよ。ワンマンをやっていると、ライブでこういう曲がほしいなと思うんですよね。それを考えながら曲を作った結果、今回はいつもより沢山曲ができたんです。10曲くらい作って、気持ち的にはアルバム全部自分の曲でいきたい…みたいな(笑)。『解剖フィルム』に入っていないけど、ファイナルで無料配布した「Dear」という曲もあったし。その中から何曲か入れる形になったので、龍華も言ったように厳選されたという印象がありますね。特に気に入っているのはミュージックビデオも作った「失格ストロベリー」です。私の得意分野という感じの曲で、激しくて暗いけど、サビはキャッチーということを意識して作りました。
――2番のサビのあとにメロディアスなパートがきて、リスナーの感情をさらにひと押しする構成も光っています。そういえばSAVAGEの楽曲は、最後に展開する曲が多くないですか?
猛:そうですね。大サビみたいな展開をつけるのが好きなんです。
Ayuto:それを最後に持ってくることが、たしかに多いよね。
猛:ただ、大サビのサイズは結構考えます。長過ぎると、もったりしてしまうじゃないですか。だから、ちょっと“おっ?”と思わせる程度で終わらせる。それは、常に意識しています。
龍華:平坦な曲はつまらないし、長く感じる曲も嫌なんですよ。だから、そこはしっかり見極めるようにしています。俺も『解剖フィルム』の曲は全部気に入っているけど、デモを聴いて真っ先にこれは絶対にやりたいと言ったのは「オーバーキル」でした。うちは激しい曲が多いけど、ここまで激しいのは最近やってないなというのがあって。それに、ギターのフレーズが好きだし、激しいけどサビはキャッチーで、すごくいいなと思ったんです。なので、デモを聴いてすぐに「これは確定で」と言いました。
猛:反応がすごく速かった。「オーバーキル」はギターを弾くのが結構大変なんですよ、自分で考えたんですけど(笑)。この曲は本当に激しくて、ライブでも盛り上がると思う。なので、ライブを楽しみにしていてほしいです。
――「オーバーキル」のハードコアっぽい激しさも本当にカッコいいです。個人的にはアルバムの最後にエモーショナル&メロディアスな「鍵」を持ってきているのもいいなと思いました。
猛:「鍵」も、ライブにほしい要素ということをイメージして作りました。私ら自身も、いい形でアルバムを締められたんじゃないかなと思っています。この曲はアウトロの長さを、みんなで熟考しました。もうちょっと短くてもいいんじゃないかという意見もあったけど、自分的にはこれくらい余韻があったほうが曲の印象が強まるだろうというのがあって。それで、今の尺でいくことにしたんです。
Ayuto:最後は、もうドラムソロになってるよね(笑)。猛に「長くない? いいの?」聞いたら、「これでいい」と言っていて。最後に向かって盛り上がっていく感じをイメージして叩いたら、ああいうドラムになりました。
猛:JUNと私はシンプルだけど、Ayutoだけいろいろやっているという(笑)。
◆インタビュー(2)へ
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