【ラストライブ直前対談:3】ベビレ林×堀江晶太「何も取り繕う必要はない。めちゃくちゃでいい。ベビレらしく」

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■「夜明けBrand New Days」=ベイビーレイズ、ベイビーレイズJAPANだなと私は思っています。(林愛夏)

——では、堀江さんのなかで特に思い入れがある曲をあげるとしたら?

堀江:どうしようかな……「ボクラノリアル」(※4thシングル「ベイビーアンビシャス!」収録)。ベビレっていいなと心から確信した曲だったんで。ステージを見て。思い入れもひとしお強いですね。自分の満足値でいうと、力不足で理想のところまで届かなくて、すごい悔しい曲なんです。でもその不完全で歪なところ、野生的なんだけどもどかさしさをもってるところが当時のもがいてるベビレにハマってたと個人的には思ってて。そこも含めて好きですね。

林:そういうのを聞くと、歌い方も変わります。

堀江:ここまでの話はしてないもんね。

林:はい。りおトンがこの曲特に好きなんです。

堀江:ほんと?

林:りおトンは元々ボカロを聴いてて、メンバーのなかでは最初から堀江さんのことを知ってて大尊敬してたんですよ。

堀江:でも初めの1年は口も聞いてもらえなかったけどね(笑)。

林:いまはお話できることがすごい嬉しいみたいで。ベビレはみんな堀江さんのこと尊敬してますよ。私は王様だと思ってますから。

堀江:やりずら(笑)。でもリコピン(大矢梨華子)には「話してると意外と普通の人ですね」っていわれたけど。

——(笑)。そうして、ベイビーレイズJAPANに改名してからの堀江さんといえば、「夜明けBrand New Days」(※9thシングル「栄光サンライズ」収録)。いまや彼女たちのアンセムと化した楽曲です。

林:この曲=ベイビーレイズ、ベイビーレイズJAPANだなと私は思っています。これは1番の歌詞は武道館の前に書かれて。

堀江:武道館の前の合同リハのとき。1番まで歌詞書いたら眠くてやめちゃったんだけど。ベビレのリハって、死ぬほどしんどいんです。俺らはバックバンドだからじっとしてればいいんだけど、彼女たちが全力でやるから、なんか知んないけどこっちも全員めちゃくちゃ暴れちゃって。ヘトヘトになるんです。

林:すいません(苦笑)。

堀江:それで、武道館が終わって。そのあと2番の歌詞を書いたんです。

——バックバンドで彼女たちをサポートするようになって以降、歌詞もよりリアルになっていった気がするんですが。

堀江:だと思います。どっちの歌詞も演奏してるときに閃いたから。個人的にもこの曲は思い入れが凄まじくありまして。作家としていままで7年ぐらいいろんな仕事してきましたけど。自分は、ベビレのラストライブが終わったら、自分のなかの作曲家人生の1部が終わると思ってるんですね。その1部のなかで、総合的なものを含めて一番の自分のなかでの“最高傑作”。それぐらい手応えを感じたのが「夜明け〜」ですね。だから僕の作家人生においても大事な1曲となりました。

——「僕らはここにいる」(※最新アルバム『THE BRJ』収録)も大切なナンバーになりましたよね。

林:5周年という節目に出すミニアルバムで、武道館も経て、それ以降も日本一のアイドルを目指すといい続けて走ってはきたものの、そのエネルギーが続くときと「このままでいいのかな?」と不安になるときが各々あったとき。いまの素直な気持ちを歌いたいなということになって、堀江さんに個人面談をして頂いたんですね。

堀江:そうね。あのとき俺は30分ぐらいで終わる予定だったのに、一人1時間以上しゃべってくれたのには驚いた。

林:堀江さんにはなんでも言えるから話が長くなるんです。いままで楽曲提供して下さった歌が、私たちの心そのものだから、私たちのことをすべて分かってくれてる、すごい!  っていう存在。神様だから(笑)、なんでも話せるし。話したら分かってくれると思えるんですよ。みんな。

堀江:なるほど。そこでヒアリングした話を持ち帰って作った曲ですね。「僕らはここにいる」は。1週間ぐらい、そこでメモしたものをプリントアウトして自分の部屋に貼り付けて。それを見ながら作りました。

——ヒアリングでは、主にどんな話をメンバーに聞いたんですか?

堀江:なんで今もベビレをやっているのかということですね。数字的なことだけでいえば、ピークを過ぎたあともこうして何年もうまくいっているとは言えない状況のなかであがいてきて。メンバーによっては20歳も過ぎて、大事な時間をベビレに費やしている。その理由をみんなに聞いて、それを主軸に曲を作りたいなと思ったんですよ。あと、そのときはベビレが解散するという話はまったく出てなかったんだけど。

林:ええ。そうですね。

堀江:でも一生続けられるものではない、もしかしたらそういう瞬間があと少しで来るのかもしれないということも、なんとなく考えてて。

林:へー。

堀江:あと、自分の状況としてもこの先ベビレの曲をオファーされたとき、それに応えていけるのかという段階だったから。もしかしたら俺がベビレに曲を作れるのはこれが最後かもしれないという個人的な状況も含め、ラスト曲になってもいいものを作ろう、解散シングルになっても後悔しない曲を今のうちに作っちゃおうと思ったのが「僕らはここにいる」。

——うぉー! そうだったんですね。

堀江:この歌は自分がレコーディングディレクターをやらせてもらったんですけど。

林:そうなんです。この曲だけは。

堀江:そのときにメンバーによっては、これは解散シングルというつもりで歌ってという話もして。ベビレが仮に終わったとしても、その後メンバー自身、活動が終わった後も各々のストーリーがあるだろうから。そういうときになっても通用する曲を彼女たちにあげたいなと思って書きました。

——この曲の裏には、メンバーの将来に対して、堀江さんのそんなメッセージも込められてたんですね。

堀江:そういうところもありますね。もしこの先に解散があるとしたら、いまここのステージから彼女たちはいなくなるけど、思い出っていう意味ではずっと彼女たちはここにいるし。だけど、彼女たちは彼女たちでこの先、ここじゃない各々の新しいステージにずっといる。これを聴いた人たちも、このステージだけが人生じゃないから、その後も違うステージを見て欲しいし。それをちゃんと曲にすべきだなと5人の話を聞いて思ったから書いたんですね。だから、この曲はラストライブをもってようやく完成する。個人的にはそう思ってますね。

——林さんはこの曲をもらったとき、どうだったんですか?

林:最初、私は解散とかはまったくよぎりませんでした。逆に、ここにいる理由とともにこれからも続ける理由を歌ってる曲だから、歌えば歌うほど“絶対に続けてやるんだ”という気持ちが止まらなくなったんですよ。だから、実際今後ベビレがどうなるか分からないという話し合いが続いてた頃は「僕らはここにいる」を歌うのが苦しくて仕方なかったんです。

堀江:あー、そうなんだ。

林:歌うとファンの人に嘘ついてる気持ちになっちゃってすごい申し訳なくて。うわー泣きそう…(涙目)。でも、4月の野音のときに、たとえみんなの前にいなくても、あなたのここ(胸)にいたいという思いで歌おうと思って、胸に手を当てて「あなたのここにいます」といってこの曲を歌ったんですね。そのときに、やっといま堀江さんが話してくれたことが私は理解できたんだろうなと思いました。

堀江:曲はそれぞれどんな解釈があってもいいと思うんだ。例えば“僕らは誓った”という冒頭は、なんで誓ったのに解散するんだよという人もいると思う。でも、自分としては、たとえ解散ということになったとしても彼女たちならその最後まで全力でやりきると誓ってくれるだろうという気持ちで、あそこは書いたんだよね。

林:ああー。そんな曲を頂けて本当によかったです。堀江さんがこんな曲を最後に作っておいてくれたことが、奇跡だなと今日お話を聞いてて思いました。さすが、王様。


——それでは、まもなくやってくるラストライブ。こちらはどんなものにしたいですか?

林:もう最後だから、堀江さんが出てくれなかったらどうしようと思ってたんですけど。最後一緒にいてもらえるのでよかったです。

堀江:前の日にライブ入ってたから危なかったんだよね。

林:ライブはどうなっちゃうかはやってみないと分からないんで、時の流れに身を任せて、表現するだけなのかなって思ってます。あとは、横で他のメンバーが歌ったり踊ってるのを見るのが好きなので、とことん見て、悔いのないように楽しみたいなと思いますね。

堀江:俺らバックバンドはいつもステージ上の熱気と観てるオーディエンスの熱気を受けて、勝手にああなってるだけなので。そこはいつものようにやるだけ。あと、個人的に思うことは、変にそつなく上手に終わるライブじゃなきゃいいなと思ってます。自分もそうだけど、虎ガーさんは解散を発表して以降、このラストライブをチケットを買って観に行こうと決めた以上、絶対腹括ってる訳ですよ。好きな子たちの解散が発表されて、1回はズドーンと落ち込んで。それでもラストを観に行こうと。終わっちゃう姿を観る現場なんて一番辛いわけですよ。だからこそ、観ると決めた以上は、どうなってもいいっていうぐらい腹を括ってるツワモノしか来ないと思うから。そういう人しか来ないんで。そこはお客さんのことを信じて。

林:はい。

堀江:だから、何も取り繕う必要はないと思うよ。めちゃくちゃでいいと思う。ベビレらしく。

林:わかりました。

■対談を終えて

林:お仕事でご一緒することは多くても、ベビレについて真剣に対談するのは初めてだったので、こういう機会を最後に頂き、ありがとうございました。本当に最初から最後のライブまで見守って頂けて私たちは幸せだなと思うとともに、最後のライブで堀江さんに感謝の気持ちを伝えたいです。このライブが終わったあとも頑張るんで、曲を書いて欲しいです。今後も私は堀江さんの曲が歌いたいです。

取材・文◎東條祥恵

   ◆   ◆   ◆

■勝手に“タイガーソウルフード”の巻 ~メンバーをおでんの具に例えるなら?~

堀江:(林愛夏をおでんの具に例えると)昆布巻ですね。昆布っていうと噛めば噛むほど味が出るというイメージなんでしょうけど、昆布巻って具のなかで一番噛むのに時間がかかるじゃないですか? しぶとくて手強いという意味で。愛夏っちゃんはメンバーのなかでぶっちぎりで頑固。それが、グループのアーティスト性の底上げにつながってると思います。

——ちなみに林さんが好きなおでんの具は?

林:私が好きなおでんの具ははんぺんと餅巾着です(笑)。

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■<ベイビーレイズJAPAN LAST LIVE「全虎が啼いた!伝説の最高雷舞(クライマックス)」>

2018年9月24日(月・祝) 山梨・山中湖交流プラザ きらら
(〒401-0502 山梨県南都留郡山中湖村平野479-2)
12:00開場/13:00開演/18:00終演予定

■チケット料金
通常:5,000円(税込)
駐車券:1,500円(税込)
※チケット一般発売中! ※シャトルバスの販売もございます

■<ベイビーレイズJAPAN「伝説の前夜祭」>

2018年9月23日(日) 山梨・山中湖交流プラザ きらら 特設ステージ
(〒401-0502 山梨県南都留郡山中湖村平野479-2)
16:30開場/17:30開演/19:00終演予定

■チケット料金
通常:3,500円(税込)
駐車券:1,500円(税込)
※チケット一般発売中!

■配信限定ベストアルバム『BABYRAIDS JAPAN 2012/05/06-2018/09/24』

ベイビーレイズJAPAN初のコンプリートベストアルバム!
ベビレの歴史を彩る全70曲”ベビレ伝説の最高曲集(グレイトソングス)”
配信限定でリリース決定
2018年9月17日(月)配信スタート

◆【ラストライブ直前対談:1】ベビレ高見&渡邊×鶴「いつも楽しく終わってるので、笑って終われるといいね」
◆【ラストライブ直前対談:2】ベビレ傳谷&大矢×クアイフ「感情のままに、その時間を素直な気持ちで」

◆ベイビーレイズJAPAN LAST LIVE特設サイト
◆ベイビーレイズJAPANオフィシャルサイト

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