HIRO [La’cryma Christi]増殖、全曲ヴォーカル収録のアルバムに“10編の愛”

La’cryma ChristiのギタリストHIROが8月15日、2ndソロアルバム『Midnight Sun』をリリースすることは既報のとおり。2017年のソロデビュー作『Gale』から約1年4ヵ月、全曲ギター・インストゥルメンタルだった前作から一転し、『Midnight Sun』は収録全10曲で自身のヴォーカルを披露する。同アルバムの収録詳細およびトレーラー映像が公開となった。

◆HIRO [La’cryma Christi] 画像

アルバムはドラマチックな「白夜」で幕を開ける。妖しくセクシーな声、自らに語りかけるようなヴォーカルから、瞬く間にHIROワールドの深みへ。続くハードドライヴする「我」、愛がほとばしる「残り香」など、彼ならではのセンチメンタルなメロディーを堪能できる仕上がりだ。

全10曲の中で特筆すべきは「鏡の中の君」「反逆のセレナーデ」「緑の秋」「祈り」にある。これらは、1970年代にかぐや姫と風といった2つの伝説的グループで活躍したレジェンド、伊勢正三の作詞によるものだ。同氏は日本を代表するスタンダードナンバー「なごり雪」や、50歳以上70歳未満の日本人なら全員が知っているであろう「22才の別れ」の作詞作曲者でもある。伊勢が綴る情景にHIROがメロディーを重ね、伊勢が描く愛の形をHIROが歌う。世代的に交わるはずのない2人の融合が生んだリリック＆サウンドが実に味わい深い。

もちろんHIRO自身による歌詞も収録。「白夜」と「Under the midnight sun」がそれであり、La’cryma ChristiではTAKA(Vo)との共作で「Your song」「SCREAMING」などの作詞に携わっていたが、単独での作詞はこれが初となる。ギターテクニックとアレンジの才能は折り紙つきだが、作詞の才能も開花した楽曲群にご注目を。

全10編からなるアルバムを貫くテーマは“Show, don't sing！”。歌うのではなく情景を見せなさい！という意を持つこの言葉には、歌で情景を見せることができれば情景の裏に潜む感情も見せることができるという意志が表れている。逢瀬、情事、純愛、惜別…。10編の愛の軌跡は切なく悲しく恋しすぎる。

『Midnight Sun』を語るうえで欠かせないファクターがアートワークだ。ジャケットの表と裏は“増殖するHIRO”。前作『Gale』の美しいワンショット写真と比べるまでもなく、100人を超えるHIROによる異形の響き。インナーを開くと、その響きはさらに強く、さらに鋭い。果たしてシュールなギャグか、シリアスなメッセージか、それは実際に手にしてからのお楽しみ。

HIROは8月26日に、2ndソロライブ＜Under the midnight sun＞を渋谷クラブクアトロにて開催することも決定している。2部構成で行われるその第2部には田澤孝介(Rayflower)がゲスト参加し、La’cryma Christiの名曲の数々を披露することも発表となった。