【ライブレポート】ゴールデンボンバー、こだわり抜いた究極のエンターテインメントショー
ゴールデンボンバーによる全国ツアー<ゴールデンボンバー全国ツアー2018「ロボヒップ」>のファイナル公演が7月18日、埼玉・さいたまスーパーアリーナにて行なわれた。ライブは、樽美酒研二(Doramu)にそっくりな、人工知能を搭載したロボット「ロボヒップ」をメインにしたストーリーを軸に展開。開演から終演までに起こった、そのすべてが衝撃的だった。
まずは、大まかなストーリーから説明したい。
◆ライブ画像(全15枚)
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ある日、樽美酒の前に現れたロボヒップ。メンバーとしてテレビに出演したり、鬼龍院翔(Vo-karu)、喜矢武豊(Gita-)、歌広場淳(Be-su)からの信頼を得ていたりと、ゴールデンボンバーにすっかりなじみ、樽美酒はロボヒップにどんどん仕事を奪われて自身を失っていった。ロボヒップは、樽美酒にはできない楽曲制作もこなし鬼龍院のポイントを稼ぐ。「あいつがいなければ…!」樽美酒はロボヒップの破壊を決意した。
アップデートを終えてシャットダウンしているはずのロボヒップを破壊するため、事務所を訪れた樽美酒は、とんでもないものを目撃してしまう。それは、ゴールデンボンバーが頭を抱えていた、チケットを転売している犯人がロボヒップだったという事実だ。さらに、掲示板に樽美酒の悪口を書き込むなど、悪意ある行動をとっていたことも判明する。
ロボヒップに襲いかかった樽美酒は返り討ちにあってしまう。ロボヒップは樽美酒を縄で縛ってライブ会場に向かい「樽美酒さんは今日休みたいそうなので私が出ます」と嘘をつき、ステージに立つことになったのだった。
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ここまでがオープニング映像として一気に上映され、映像と現実が同期。映像のライブスタートにあわせてさいたまスーパーアリーナでの実際のライブもスタートした。
1曲目は鬼龍院、喜矢武、歌広場、ロボヒップの4人による「つよいぞ!ロボヒップ」。本ツアーのための新曲だ。樽美酒が縄を解いて走って会場に到着するというシーンがあったのだが、この日初めてツアーに参加した観客は、樽美酒が一人二役をこなしていて、一度ステージ袖にハケた「ロボヒップ」が着替えて「樽美酒」になって出てくると思ったのではないだろうか。
予想は軽く裏切られる。次の瞬間、樽美酒とロボヒップが同時にステージに立っていた。目を疑うという言葉がピッタリだった。樽美酒と身体つきが似ている男性がロボヒップ役を演じていたのである。そのまま樽美酒が残り、ロボヒップはステージ袖に消えて2曲目へ。ここまでが、開演から約20分間ほどの出来事。ゴールデンボンバーはあっという間に観客の心を奪い、そのストーリーのなかに招き入れていた。
全編を通して、数えきれないほどの演出が組み込まれていたこのライブだが、彼らのMCや行動のすべてが伏線となっているため、流れはとてもスムーズで違和感は無い。
たとえば、樽美酒がスポーツバラエティ番組『SASUKE』に出演した話をすれば、ステージの上手と下手にこっそりと設置されていた障害物・サーモンラダー(バーにぶら下がり、それを上に押し上げて、突起に引っ掛けてのぼっていく)に挑戦する。喜矢武が、ドラマ『コウノドリ』にまた出演したいと言ったあとには、綾野剛演じる同ドラマの主役・鴻鳥サクラに扮して赤ちゃんの人形を抱いて現れる。ファイナル公演に1万5千人を集客したものの、チケットがソールドアウトしなかったことについて鬼龍院が「売り切りたかったな〜」と言えば、“ウリ”を切る抜刀パフォーマンスを見せる。歌広場はクイズ番組への出演が増えてきたが「ステージで見せられる特技が欲しいね」と鬼龍院に言われると、埼玉県のご当地クイズが始まる、といった具合に。
今回のツアーについて「すげー力注いだ」「こんなツアーをまたやることになったら、よいしょって腰を上げるのがすげー大変です」と言っていた鬼龍院。こだわりが見られたのは派手な演出だけではない。
“石炭”をボリボリと食べ始めた喜矢武が、ダンボール製の機関車になって登場したシーン(ライブを観ていない人には意味不明だと思うが、このままのことが起こった)は大きな見せ場のひとつだった。先頭が喜矢武、後ろに樽美酒、歌広場、鬼龍院が乗ってアリーナをまわり観客に手を振る。
もちろん、機関車には驚いた。しかしそれ以上に感心したのは、ステージ中央のモニターに、喜矢武目線のカメラの映像も映し出されていたことだ。そのカメラが捉えるのは、機関車を誘導するスタッフやメンバーに笑顔を向ける観客の姿で、その間メンバーは一切モニターに映らない。しばらくモニターを占拠していたガタガタと揺れる不思議な映像はとにかくシュールで、わざわざカメラを1台用意したのかと思うと笑えてくる。
また、「やさしくしてね」では樽美酒、歌広場、喜矢武の3人がカメラの近くに、鬼龍院がカメラから離れた場所に立って歌う場面があった。3人がコーラスする部分では、3人にカメラのピントがあたり鬼龍院がボヤける。入れ替わりで鬼龍院が歌うと鬼龍院にピントがあたり3人がボヤける。カメラ自体は動かさずに、モニターでの見せ方も楽しませるという演出は素晴らしかった。細部まで練りに練られた彼らのステージは、観る者を魅了してやまない。
さて、ここでメインのストーリーの話に戻りたいと思う。樽美酒とロボヒップが結局どうなったのか、だ。
本編2曲目以降は樽美酒がステージに出ていたが、アンコールで再登場したのは、鬼龍院、喜矢武、歌広場、ロボヒップ(樽美酒はロボヒップに下剤を飲ませられトイレへ)。アンコール1曲目「かっこいいな英語って」で、前述のご当地クイズが行なわれ、全問不正解だった歌広場の顔にロボヒップのお尻が押し付けられるという罰ゲームがあった。歌広場は「温もりのないお尻じゃ、いいリアクションができない!」と言い始め、喜矢武と鬼龍院もロボヒップのお尻に顔を埋めたことで、ようやく樽美酒の素晴らしさに気づくという流れになり、そこに樽美酒が参上。
ここから、映像演出へと切り替わる。
◆ ◆ ◆
「これ以上悪さをしないよう、スクラップにしてやる!」樽美酒は反撃に出るが、ロボヒップは強い。ロボヒップは樽美酒を始末するために彼の身体をがっしりと掴んだまま、さいたまスーパーアリーナの天井をぶち抜いて空へと飛び出していった。
大気圏まで飛んでいこうとするロボヒップ、絶体絶命の樽美酒。ところが、ここで予想外のアクシデントが発生、ロボヒップは自身がコンピュータウイルスに感染していることに気づいた。ロボヒップは毎日パソコンを通じてアップデートをして常に最新の状態を保ち活動していたのだが、鬼龍院がそのパソコンを使って動画を違法ダウンロードしていたことを思い出す。ロボヒップはエラーを起こして爆発。樽美酒も死んでしまった……と思われたが、スカイツリーの“でっぱり”につかまって一命をとりとめたのだった。
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波乱を乗り越え絆が深まったメンバーは、改めて本当のゴールデンボンバーとして「イヤホン」を披露。宙に放たれた瞬間の金テープは大きく弧を描き、アリーナにかかった虹にも見えた。彼らのツアー完遂を祝っているようで、とても美しかった。
エンドロールのあとにもう一本映像が流れ、9月1日にニューシングル「タツオ…嫁を俺にくれ」をリリースすることが告知された。樽美酒が作詞・作曲し、歌唱まで担当する「タツオ…嫁を俺にくれ」はゴールデンボンバーの楽曲のアレンジとギターを担当する「タツオさん」とその奥さんについての曲だという。早速、観客の前で披露され、歌い終わったあとの樽美酒は照れくさそうに笑顔を浮かべる。オープニング映像で、作曲ができないことを鬼龍院に揶揄されていたシーンがあったが、その伏線までもが回収された。
ちなみにオープニング映像には、動画を違法ダウンロードする鬼龍院と、事務所の部屋の“でっぱり”で筋トレをする樽美酒の姿も映っていた。大量に盛り込まれたネタの一つひとつが繋がって線になり、極上のエンターテインメントへと昇華した3時間。彼らのスタイルは独特であるため、とっつきにくい人もいるかもしれないが一度その目で観てほしい。“おもしろい”だけではない、衝撃と感動のステージが待っている。
取材・文◎高橋ひとみ(BARKS)
撮影◎菅沼剛弘
セットリスト
2.やんややんやNight 〜踊ろよ埼玉〜
3.抱きしめてシュヴァルツ
4.お前を-KOROSU-
5.海山川川
6.やさしくしてね
7.燃やして!マイゴッド
8.いつもと同じ夜
9.スイートマイルーム
10.ドンマイ
11.#CDが売れないこんな世の中じゃ(偽)
12.アモーレ
13.あの日君を傷つけたのは
14.毒グモ女(萌え燃え編)
15.†ザ・V系っぽい曲†
16.女々しくて
17.かっこいいな英語って
18.イヤホン
19.タツオ⋯嫁を俺にくれ(新曲)
20.ultra PHANTOM
New Single「タツオ⋯嫁を俺にくれ」
▲通常盤
2018年9月1日(土)発売
■超豪華盤(CD+写真集+DVD)
¥5,500(税込)EAZZ-5001
樽美酒研二ファースト写真集「Je t’aime~永遠に~」(オールフランスロケ)付属
■通常盤(CDのみ)
¥1,080(税込)EAZZ-5002
[CD]
1. タツオ⋯嫁を俺にくれ
2. 近所の奥さんを支配する
(M1〜M2 オリジナル・カラオケも収録)
▲最新アーティスト写真
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