最先端の舞台芸術が満載! トニー賞の魅力をミュージカル界のプリンス・井上芳雄が紹介
▲井上芳雄
アカデミー賞、グラミー賞と並んで世界のエンターテインメント業界が注目する演劇/ミュージカル界の最高賞「トニー賞」授賞式が、6月11日(日本時間)にアメリカで開催される。日本では現地の模様をWOWOWが独占生中継。今年は、ミュージカル界の“プリンス”井上芳雄と、乃木坂46の生田絵梨花がWOWOWスタジオ・ナビゲーターとして登場し、独自の視点からトニー賞の熱気を伝えていく。
このたびWOWOWでのを記念して、井上芳雄へのスペシャルインタビューが実現。「ミュージカル界一のおしゃべり上手」を自称する彼が、トニー賞の魅力や番組への意気込みを語ってくれた。
僕はミュージカル界一のおしゃべり上手(自称)
――「生中継!第72回トニー賞授賞式」でWOWOWスタジオ・ナビゲーターを務める心境を教えてください。
すごくありがたいというか、嬉しいお話でしたね。WOWOWさんが生中継する「トニー賞授賞式」には、第68回目からスペシャルサポーターという形で関わっていました。スタッフの皆さんが、より面白い番組を作るためにいろいろと試行錯誤を繰り返してきた歴史を知っているので、今回ナビゲーターに抜擢してくれたことは感慨深いものがあります。僕はいずれ、日本版トニー賞をやりたいと考えているんですよ。今回の生中継番組のスタジオ・ナビゲーターになれたのは、その第一歩と言えるかもしれませんね。
▲「第71回トニー賞授賞式より」
写真:AP/アフロ
――過去のWOWOW「トニー賞授賞式」生中継で印象に残っていることはありますか?
一番最初に番組CMに使っていただいたことですね。すごく凝った作りの映像で、WOWOWの「本気でトニー賞をやるぞ!」という意気込みを強く感じました。実際、反響もかなり大きかったです。それからずっと関わらせていただいていますが、僕も毎回いろいろアイデアを出したりしているんですよ。去年は番組の合間に最新作の歌を歌ったりもしましたし。トニー賞はエンターテインメント界最高の祭典なので、日本で伝える僕らも常にその楽しさが伝わるように努力しています。
――今回は放送に向けてどんな準備をしていますか?
今、かなり気合いを入れて資料を読み込んでいます。やはり生中継だと台本通りにはいかなくて、過去の放送でも「30秒余ったので、ナビゲーターさんつないでください」みたいなことが結構あったんです。予想外のことが起こった時のためにも、トニー賞に関することをしっかりと頭に入れて、僕が番組をリードしたいと思っています。でもね、実はそんなに心配はしていません。最近は司会のお仕事をすることもあるんですが、実は司会業が一番自分に向いてるんじゃないかと感じているんです(笑)。なんせ、僕はミュージカル界一のおしゃべり上手を自称していますから。
ポップスもラップもミュージカルになる
――ご一緒にスタジオ・ナビゲーターを務める生田絵梨花さんの印象を教えてください。
まだそれほど親しいわけではないんですが、何回かお話させていただいた感じではとても頭のいい方だと思いました。生田さんは乃木坂46と並行して、ミュージカル女優としても活動されていますよね。アイドルの方がミュージカルに出演することは今までもあったけど、もともとミュージカルが好きで、しかも音大で音楽の基礎もしっかり勉強したという生田さんのような人は、すごく新しい存在だと思います。それに彼女のような人がこの番組に出てくれることで、演劇やミュージカルのファン以外の人がトニー賞に目を向けるきっかけにもなる。そもそも演劇やミュージカルは楽しいものなので、僕らも楽しそうに番組をやりたいです。
▲生田絵梨花
――番組では今年もスタジオパフォーマンスが予定されているようですね。
今年は映画「グレイテスト・ショーマン」の「THE GREATEST SHOW」を歌う予定です。この曲はすごく難易度が高いんですよ。先日、とある日本のテレビ番組でも歌ったんですが、まあ難しい。でも世の中には、アカデミー賞は知っていてもトニー賞は知らないという人がとても多い。「グレイテスト・ショーマン」は舞台原作ではないけれど、大ヒットしたミュージカル映画の曲なので、ミュージカルの間口を日本で広げるという意味で、歌う意義の大きい曲だと思っています。ミュージカルというとクラシカルな曲のイメージが強いと思いますが、実はどんな曲でもミュージカルになるんです。
――たしかに近年のミュージカルにはポップスも多いですよね。
そうですね。去年トニー賞を受賞した「ディア・エヴァン・ハンセン」の曲なんて、ヒットチャートに入っていてもなんの違和感もないですよ。一昨年のトニー賞を総なめした「ハミルトン」に至ってはラップまで取り入れていますからね。ミュージカルからヒット曲は生まれないと言われてきたんですが、近年は映画のヒットもあってその流れも変わってきているように思います。
映画「ラ・ラ・ランド」や「アナ雪」を面白いと思った人なら楽しめる
――では「トニー賞」の魅力を教えてください。
グラミー賞、アカデミー賞と並ぶ、演劇/ミュージカルにおける最大の賞です。演劇に携わっている人間にとっては憧れの舞台と言えます。「トニー賞」の授賞式ではパフォーマンスもあるんですよ。この舞台で演じられることは、俳優にとって最高のステータスなんです。そこに懸ける俳優たちのエネルギーも必見ですね。それに、みんなこの賞のために何年も準備して作品を作っている。この授賞式に最先端の舞台芸術やエンターテインメントが詰まっていると言っても過言ではない。日本ではまだ舞台を観に行く習慣がないという人も多いとは思いますが、「グレイテスト・ショーマン」「ラ・ラ・ランド」「アナと雪の女王」といった映画を面白いと思った人であれば、確実に興味を持ってもらえると思います。
――井上さんはディズニーの大ファンだそうですね? ミュージカル版の「アナ雪」はミュージカル部門の作品賞にもノミネートされています。
実は、まだ舞台版「アナ雪」を観てないんですよ。これからニューヨークに行って実際に観る予定です。おっしゃる通り僕はディズニーが大好きなので、すごく楽しみにしています。アニメ原作の作品を舞台化すると、よく新曲が書き下ろされるんですよ。しかも、それが良い曲であることが多くて。今回も資料を見る限りでは、曲数が映画版の倍ある。そこは個人的にすごく注目しています。「アナ雪」で作詞・作曲を務めるロバート・ロペスとクリスティン・アンダーソン=ロペス夫妻は、現在のブロードウェイを代表する音楽家ですし。あと、ディズニーは舞台装置にもすごくお金をかけているので、そのあたりも楽しみですね。
――今回のノミネート作品の中で演じてみたいものはありますか?
リバイバル・ミュージカル作品賞にノミネートされている「マイ・フェア・レディ」のヘンリー・ヒギンズ教授の役は一度やってみたいですね。非常にクラシカルな名作をどうやって現代的にアレンジしているのか、そういったところを考えるのは面白いと思います。
賞レースをリアルタイムで体感できる楽しみ
――当日楽しみにしていることは?
「トニー賞」には賞レースという側面もあると思うんです。「誰が賞を獲るのか?」というドラマをリアルタイムで感じられるのは楽しみですね。あと、実は授賞式の雰囲気って司会者によって全然違ってくるんです。すごくうまい人もいれば、ドキマギ感が伝わってくる人もいる。今年はジョシュ・グローバンとサラ・バレリスですけど、僕の経験からいって2人でやるときは危ない(笑)。自信がある人は1人でやりますからね、ヒュー・ジャックマンみたいに。今回の2人はもともとコンビでやっているわけじゃないからギクシャクしちゃうかも。そのあたりのハラハラ感も観ていて楽しいと思いますよ。
――最後に、作品賞はどの作品が獲ると思いますか?
予想は難しいところですが、僕は「迷子の警察音楽隊」じゃないかと思っています。映画原作で、エジプトの警察音楽隊がイスラエルに行くという、いろんな価値観が入り混じった作品です。しかも、それをアメリカのブロードウェイでやっているというのも面白いですよね。もちろん「スポンジ・ボブ/スクエアパンツ」「ミーン・ガールズ」も面白いとは思うけど、どちらかというとエンターテインメント路線だと思う。エンタメ系は本っ当に飛び抜けて出来がよくないと作品賞を獲るのは難しいと思うんですよ。その意味でも「迷子の警察音楽隊」が有力かな、と。
トニー賞直前SP in NY
出演:井上芳雄 生田絵梨花 坂本昌行 他
◆http://www.wowow.co.jp/stage/tony/
生中継!第72回トニー賞授賞式
司会:サラ・バレリス、ジョシュ・グローバン
WOWOWスタジオ・ナビゲーター:井上芳雄、生田絵梨花 スペシャル・ゲスト:坂本昌行
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