【ライブレポート】戦国時代、 国内初陣のO-EAST 「拙者とか言うと思った?(笑)」

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2017年元旦に名乗りをあげた4人組バンド「戦国時代-The age of civil wars-」が、同年の年末となった12月26日(火)に TSUTAYA O-EASTでの国内初ライブ<戦国時代—The age of civil wars— 東京冬の陣 2017 戦慄のBattlefield>を開催した。

◆戦国時代 ライブ写真

4人の武将に扮したメンバーに元JURASSICのYU+KIことNao-A(Vo)、元SIAM SHADEのKAZUMAことKz(G)、VAMPSやGACKT、布袋寅泰などのサポートベーシストを担当していたJu-kenことDate(B)、元SIAM SHADEのメンバーであり、現在はBULL ZEICHEN88の一員としても名を馳せている淳士ことS.N.D(Dr)らを擁する戦国時代。夏には国内に先立ちロンドン開催<HYPER JAPAN>で初ライブを踏んでいた彼らは、11月に1stアルバム『初陣-First battle-』を発売して国内初陣に臨んだ。


無数の軍旗がたなびくステージ。巨大なスクリーンに映し出されたイラスト姿のMANZOUが語った、「4人の初陣が素晴らしいものになることをみなさん見届けてください、いざ出陣!!」の声。煽るその声を受け、爆裂する炎の映像と荘厳な音に乗せ4人が姿を現した。S.N.Dのドラムセットはお城の土台の上に聳え立っている。なんて、らしい演出だ。

ライブは物語を描くように進行してゆく。戦いの先鋒をきったのは、激しく荒れ狂う歌と演奏を突きつけた「戦友」。無数の炎を背景に投じ、轟く調べの上で、勇壮に歌うNao-A。KzがNao-Aの歌へ巧みに寄り添えば、身体を揺さぶるS.N.DとDateの演奏に魂が打ち震え、Kzの攻めるギターに気持ちが熱く昂ってゆく。「舞い上がれ赤き血を」、その言葉へ想いを重ねるように、フロアーに集った戦士たちも拳を振り上げ、共に熱狂の戦いへ踏み出していった。

観客たちを煽るNao-A、掲げた意志を示すように、彼らはバンド名を冠した「戦国時代 -The age of civil wars-」を叩きつけた。背景に映る五重塔は、彼らの陣地。まさに守るべき地を背負いながら、4人は未開の地へ魂を燃えたぎらせ突き進んでゆく。観客も身体を揺さぶらずにはいられない。「揺らせー!!」という煽りから重厚な音の翼をはかめかせ、彼らは「常翔」で飛び立った。

「やっと逢えたね、拙者とか言うと思った?(笑)。今日は一緒に命を燃やしてくれますか、もっと上げていこうぜ!!」(Nao-A)


新しい始まりを告げる春の季節へ誘うように流れた「SAKURA」。でも、連れ出したのが戦国時代-The age of civil wars-だもの。桜(魂)の色がショッキングなほど艶やかな、燃えたぎる血潮を胸に抱かせる楽曲だ。背景には同曲のMVを投影。KzとDateが寄り添い演奏すれば、Nao-Aは伸びのある歌声をテンション高く力強く響かせてゆく。華やかな演奏へ、大砲のように轟く音を次々と叩きつけ援護するS.N.D。華やかさの中に燃え盛る炎の幻影を見ながら、誰もが熱狂に溺れていた。

軽快に音が滑り出し、「freewheeling〜自由闊達〜」がオーディエンスを空駆ける青の世界へ導いてゆく。背景には伊達の兜を投影。跳ねた演奏とはいえ、一音一音が重厚なのがこのバンドらしさだ。力強いNao-Aの歌声を縁取るように支えてゆくKz。2人の重なりあう歌声に、奮い立つものを感じずにいられなかった。 

羽ばたいた気持ちをゆったり旋回するように舞い踊らせたのが、「Lonely」だ。雄大な演奏とNao-Aの懐深い歌声に触れていると、4人と一緒に大空をランデブーしてゆく気分になれる。そして今にも感情壊れそうなNao-Aの歌声へ、そっとKzが哀切な歌声とギターの音色を塗り重ねてゆく「夢の果て」。壮大さとともに、胸の奥底へ哀しい衝動を落とし込んでゆく。戦国時代-The age of civil wars-が描く瞼潤す物語が、ジワジワと込み上げる痛い衝動を与えてくれた。

ループマシーンを駆使し、次々と音を重ねながら楽曲を作りあげるKz。ワイルドでダーティなギターの音色が次々と重なり、気持ちを熱くさせるロックなグルーヴを描き出してゆく。その音の絵の上で、Kzは高揚抱くギターソロを奏でていった。

突きつけるS.N.Dのドラムビートを合図に、彼らはふたたび挑みかかるよう、勇壮にスタジアムロックナンバー「道化師」を朗々と歌い奏でだした。彼らは音楽というドラマを映し出してゆく。そこには常に魂を揺さぶる「挑む」熱気が満ちている。その刺激に触発されたら、拳を振り上げずにいられなくなる。

「新曲です。ぶっ飛ばしていこうかー!!」とNao-Aが会心の声をあげ、戦いの真っ只中へ駆けだすように流れたのが「戦場」だ。背景には、戦いの地と無数の軍旗はためく映像が映し出されていた。勇壮さの中、どこか優しさを持って歌が響くのも、彼ら自身が守るべき大切な人たちの想いを背負い、音楽シーンという戦場へ戦いを挑んでゆくから。この歌は、戦国時代-The age of civil wars-が未来へ突き進むための宣言歌でもある。



メロディを響かせながらも重く唸るDateのベースに、タイトな音を轟かすS.N.Dのドラム。リズム隊のセッション演奏は、手数勝負のバトルと言うよりは、重厚な音の中、どれだけ滾る感情を導き出せるかの戦いだ。つねに戦いへ挑む姿勢を音を通し描いてゆく。

ここから戦国時代-The age of civil wars-流ダンスロックナンバーの登場だ。エフェクト系の映像を背に響かせた「Dancing Samurai Soul」の演奏とNao-Aの振る扇子の動きに合わせ、場内でも無数の扇子が舞い踊ってゆく。その演奏は、無意識のうちに身体を上へ上へと弾ませた

またも魂へ熱した血を注ぐように、感情を力強く突き動かす演奏が響きだした。「戯言」で巧みに個性を混ぜ合わせ、騒ぎたい衝動を煽る4人。さらに「Monster」では黒い感情を剥き出しに襲いかかる。終始闇を抱く演奏を叩きつけながらも、サビで見えた光には感動と興奮が湧き上がる。


戦いも終盤戦へ。戦国時代-The age of civil wars-の真っ赤なロゴを背にぶつけたのが、嵐のごとく荒れ狂う音の旋風を巻き起こす「Wheter true or false」だ。熱い手拍子とともに熱狂はフロアー中へ広がってゆく。Nao-Aがタオルを手に頭上高く振りまわすと同時に、演奏は「愛染明王」へ。背景には直江兜が映し出されている。疾走するビートナンバーの上で、誰もが無邪気な戦士となり、刀の変わりにタオルを振りまわし、気持ちを一つに重ねあう戦いを繰り広げていた。

反目することが戦いではない。戦国時代-The age of civil wars-は求め合う気持ちを一つに溶け合わせるため、互いを鼓舞しようとライブという戦いを挑んでゆく。まるでこうやって最高の熱狂で抱き合うことこそ興奮と恍惚だとでも言うように。

アンコール前、ふたたびスクリーンにMANZOUが登場。何故、戦国時代-The age of civil wars-が誕生したのかをMANZOUは語ってくれた。MVを背景に映し出した「狂歌乱舞」より、戦国時代-The age of civil wars-はふたたび戦場へ。轟く雅ロックナンバーの上で、Nao-Aが歌をぶつけてゆく。

「これからもみんなの背中を押していけるように。また絶対に帰ってくるから待っててください。またみんなに逢えることを信じてこの曲を贈ります」──Nao-A

最後に、ここまでの戦いをすべて昇華するような、心地好くも解放感にあふれた「輪廻の華」を4人はプレゼントしてくれた。マイクを突きつけ呼びかけるNao-Aへ、会場中の人たちが拳で声を返してゆく姿が印象的だった。

彼らは来年からも音楽の地で戦いの歴史を刻み続ける。今からでも遅くはない。次の動きが発表になったとき、ぜひ一緒にこの戦いへ参加し、共に心を重ね合わせ一つに溶け合おうではないか。

PHOTO:遠藤真樹
TEXT:長澤智典
編集:BARKS編集部


■セットリスト<戦国時代―The age of civil wars― 東京冬の陣 2017 戦慄のBattlefield>

2017年12月26日(火)TSUTAYA O-EAST
-セットリスト-
『戦友』
『戦国時代 The age of civil wars-』
『常翔』
『SAKURA』
『freewheeling〜自由闊達〜』
『Lonely』
『夢の果て』
〜Guitar Solo~
『道化師』
『戦場』
『いざ参れ』
〜Ba&Dr Solo~
『Dancing Samurai Soul』
『戯言』
『Monster』
『Wheter true or false」』
『愛染明王』
-ENCORE-
『狂歌乱舞』
『輪廻の華』

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