【インタビュー】La'cryma ChristiのKOJI & HIRO ＜最終回＞「俺はギターを弾き続けていたい」

La'cryma ChristiのギタリストKOJIとHIROが初のジョイントライヴ＜KOJI & HIRO Joint Live＞を開催中だ。同公演は6月17日の表参道GROUNDを皮切りに、下北沢GARDEN、高田馬場CLUB PHASE、大阪ESAKA MUSE、名古屋ell. FITS ALLと東名阪全5会場で行われるもの。その前半戦2公演が終了し、残すは大阪での＜Act3＞、名古屋での＜Act4＞、東京･高田馬場での＜追加公演＞のみとなった。後半戦を目前に控え、KOJIとHIROによるジョイントライヴ中間報告を全4回の連載インタビューでお届けしたい。その最終回は後半戦への意気込みと今後について。

◆ラクリマ・クリスティー＜KOJI & HIRO Joint Live＞ 画像

La'cryma Christiは2017年、デビュー20周年を迎える。4月29日の＜HIRO 1st Solo Live「Gale」〜the Beginning 〜＞は、HIROの記念すべき初ソロ公演だったことに加え、La'cryma Christi楽器隊の4人が集結したメモリアルなものでもあった。このインタビューのラストではボーカルTAKAや再結成についても触れられているが、2人による発言はあくまでも自然体。気負うことなく、自身の道を歩き続ける覚悟と希望に溢れていて、実に力強い。

　　　◆　　　◆　　　◆

■毎回、お花も出してくれるし
■アルバムも聴いてくれたみたいで

──ジョイントライブ後半戦の＜Act3＞と＜Act4＞、そして東京での追加公演が迫っていますね。

KOJI：僕の心配性がそろそろ顔を出しそうで……。

HIRO：マメやからね、いろいろやってくれる分、心配することも増えるよね。俺は、ま、何とかなるやろ的なところもけっこうあるけど（笑）。

KOJI：そこは真反対かも（笑）。今回、ジョイントライブをやるにあたり、2人とも一番心配したのがギターの音色のチェンジで。ステージ袖にいるスタッフにエフェクターを切り換えてもらうこともあるけど、いつものスタッフじゃないと、曲を知らないから、切り換えるタイミングを間違う可能性が高いですよね。というか、その曲を理解していないと、エフェクターの切り換えは不可能。だったら、音色のチェンジをすべてプログラムしよう、と。

HIRO：それをすべてKOJIが担当してくれた。

KOJI：ジョイントライブはこれっきりじゃないと思っているから。将来また一緒にやることもあるだろうから、それも含め、ここはシステムを構築しておこうと。

HIRO：マメやね。

KOJI：で、システムを構築したはいいけど、間違った情報を入力したら、ライブ中に修正できないから……。責任がのしかかってきて、もう心配で心配で。実際、リハではOKだったのに、次にパソコンを立ち上げたら、何故かOK前のデータに戻っていたとか、得体の知れないトラブルもあったりして。本番前もそのことが気になって気になって。でも、そういう心配の種を自ら撒くのが好きなんですよ（笑）。

HIRO：自分のだけならまだしも、今回は俺の面倒までみてくれて。だから、KOJIはギターを弾く以外の仕事もかなり多い。

KOJI：好きなんですよ。HIROさんの曲のデータをもらって、自分でプログラミングして、それが思い通りに動いたときは凄く嬉しい。ギターを弾く以外の仕事も多いけど、その分、ギターを弾く以外の幸せも多いです。

HIRO：尊敬するよ。

KOJI：2人でアコギを演奏するとき、「1曲ずつメインボーカルを替わろう」と言われても、それは僕には無理だから。ジョイントライブをやりながら、得意不得意のバランスも取れているんだな、と発見しました。

──まずは7月20日の高田馬場CLUB PHASEでの追加公演ですね。

KOJI：前日あたり、システムがちゃんと動くかどうか、またきっと心配になってますね。でも、本番でプログラム通りに動いたらテンションMAX（笑）。

──ジョイントライブのアンコールのラストは、お2人がLa'cryma Christiの曲を演奏し、お客さんが歌う、不思議な温かさに包まれますね。

KOJI：4月29日のHIROさんの1stソロライブにゲストで呼んでもらって、La'cryma Christiの曲を演奏したじゃないですか。リハーサルの段階では、TAKAさんがいない分、メロディをきっちりギターで弾く予定だったんです。でも、本番当日、「「THE SCENT」はお客さんに歌ってもらったほうがいいのかな」とHIROさんから提案があって。自分も同じ思いだったので、急きょ、2人の役割を変更しました。で、実際にやってみたら、お客さんが凄く楽しそうだったし、聴こえてきた合唱が気持ちよかった。ジョイントライブでもまたみんなの声を聞きたいと思ったので、締めでLa'cryma Christiの曲をやることにしたんですね。

HIRO：ステージから見えるお客さんの表情も凄く楽しそうなので、こっちも思わず笑顔になります。

KOJI：俺、歌詞を案外覚えているほうだと、自分では思っていたけど、ああいう場所で歌っていると、ときどきわからなくなりますね。ステージから見ていると、お客さんも同じで、ときどき歌詞を忘れている人がいて。たまたまそういうときに目が合うと、お客さんがアワアワしていて（笑）。そういう瞬間も、ジョイントライブならではです。TAKAさんがいればね、ちゃんと歌ってくれるから。

──TAKAさんも参加すればよかったのに。

HIRO：“できるメンバーでできるだけのことをやろう”──これが基本だから。そのときそこにいるメンバーでできる限りLa'cryma Christiの曲を伝えることができたら、と思っています。ま、今回はギタリスト2人のジョイントなので、「来る？」とも「出る？」ともTAKAを誘わなかったけど（笑）。

KOJI：もし来てくれたら、歌ってもらう気満々でした。

HIRO：でも、ちょいちょい気にしてくれているみたいで、ライブが終わると、ちょいちょいメールが来ます（笑）。

KOJI：毎回、お花も出してくれるし。

HIRO：アルバムも聴いてくれたみたいで。

KOJI：12年前、La'cryma Christiを脱退した直後だったけど、あのときも、TAKAさんは僕のソロアルバムを聴いてくれて。ラジオ番組のゲストに呼んでくれて。ああいう冷静に物事を見ている人の声は凄く参考になります。今年、20周年だけど、集まれるときに集まればいいと、HIROさんとも話しています。

HIRO：20周年に全員のスケジュールが合わなかったからって特別残念がることもないのかな、と。「40歳になるまでにはソロアルバム」と同じで、またここで何か発言してしまうと、ファンを待たせることになるので、再結成云々については、あえて言いません（笑）。

KOJI：いつになるか、あるかないかもわらないけど、もしも再結成があったときのため、俺はギターを弾き続けていたいですね。

取材・文◎藤井徹貫
撮影◎Mikio Ariga