【対談】デストロイはるきち(ミソッカス)×稲村太佑(アルカラ)、「人間味出していってなんぼ」
■自分自身の受け止め方によって人の言葉の意味は変わる――稲村太佑
――最初は1ステージからスタートしたミソフェスも、年を重ねるごとに大きくなっている印象があります。
はるきち:3年目から規模的にはステイですね。1日で5ステージ、これくらいの規模がちょうどいい。最初は野外でやるか、とかも考えたんですけど名古屋は野外のイベントが多いので最近はあまりやりたいと思わなくなりました。「大きくするだけなのもちょっとな」と思ったので、僕らなりの規模感で僕らなりの色を出していきたい。だからこのまま中身をどんどん濃くしていこうと思っています。
稲村:チェーン展開するよりも、ちょっと街はずれやけど老舗としてやっていきたいということやな。
はるきち:…ちょっと違う気がしますけど(笑)。
稲村:おい! せっかくひとがいい掛け算してやったと思ったのに! マイナスの掛け算になってもうた!(笑) でもな、マイナスとマイナスを掛けるとプラスになんねん。マイナスのオーラのひとは、マイナスのオーラのひととおったほうがエネルギー出るねん。
はるきち:ほぉー…。太佑さんも僕もマイナスってことですか?
稲村:待て!(笑) プラスの人はプラスの人と仕事したほうがええねん。でもマイナスとプラスを掛けたらマイナスになるし、マイナスのほうがはびこりやすいねん。例えば、歩きながら煙草を吸ってる人を見ると「かっこ悪い」とか思うやん。思わへん?
はるきち:思います。
稲村:その人が煙草をポイ捨てしたらいらつくやん。俺はそういう自分も違うと思うねん。それを拾って掃除するかというとそうでもないのに、「ポイ捨てなんてしよって、地獄に落ちろ!」と思う。俺の心も汚れてんねん。これはプラスとマイナスの掛け算やねん。
――哲学的な話になってきました。
はるきち:僕はたぶんマイナスな人間だと思います。
稲村:いや、はるきちはマイナスじゃないよ。俺はマイナスのひとと一緒におったらあかんくなんねん。はるきちにはそれを感じないから、はるきちは限りなくゼロに近いプラスやと思うわ。0.00000001くらいの(笑)。それでもマイナスには絶対ならへん。
はるきち:なるほど。ちょっとどんどん抽象的な話になってきましたけど(笑)。
――いまのお話も含め、ネコフェス然りアルカラの音楽も然り、稲村さんのやってらっしゃることはすべてつながっているなと思います。
はるきち:うん、太佑さんの人間の根っこから全部生まれてると思う。自然だから、見ていて気持ちがいい。僕はたまに違う畑からアイディアを引っ張ってくることがあるんですが、そういうときに太佑さんから「お前最近あかんで」と言われたりするんですよ。ね!
稲村:言わない言わない、迷走も経験やから。だっせ~なあと思うこともあるけど(笑)。
はるきち:太佑さんはこう言ってますけど、いっぺんめっちゃ言われたときあったんですよ。
稲村:あったかなあ。
はるきち:2年くらい前にアルカラのCLUB ROCK'N'ROLLのライブに僕らが呼んでもらったときですね。太佑さんから僕のところに電話が来て「出てくれへん?」と言われて。あのときの僕はちょうど、本当にいろんなところからいろいろ引っ張ってきて、ぐっちゃぐちゃになってたんです。その電話で太佑さんが「お前最近あかんぞ、ぐっちゃぐちゃやぞ。これでそのライブもあかんかったらもう終わりやからな」と。どうやら太佑さんは盛岡のライブの打ち上げ中だったみたいですごく酔っぱらっていて(笑)、どこまで本気だったかわからないんですけど、僕は「あ、これはヤバい!」とその言葉を受け止めて。当日のライブはすごくいいライブができたようで、太佑さんが「うん、思ったより良かった」と言ってくれたんです。それ以降僕もちょっと自然になった感じがあって。勝手に感謝してます。
稲村:それはもう、はるきちの感受性やろ。俺の言ってるわけわからんことを「俺のために言ってくれてる」と感じられるか、「は? 何言うてるんですか?」と思うか。自分自身の受け止め方によって人の言葉の意味は変わるから、はるきち次第でしょ。
はるきち:ああ、なるほど。
稲村:たとえば「お前鼻くそついてるで」と言われても、自分ではわからんやん。誰かがいるから自分というものは見えるわけや。誰かがいてくれるから「ああ、自分の髪型はダサいんやな…」とか「前歯折れてたんやな」とか気付く…あ、前歯はさすがに自分で気付くか(笑)。相手がいるからこその自分なんだよね、とうちの母が言うてました。
――(笑)。さきほどおっしゃっていた、ブッキングマネージャーとして若いバンドにアドバイスをするときに「自分もできてないとな」と思うというお話と通ずる部分もあるような。
稲村:そうなんですよね~。むっちゃ熱いこと言うてるんですけど、内心「うわー、俺これ全然できてへんわ!」と思うんですよね(笑)。
はるきち:はははは!
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