【インタビュー】ココロオークション、「曲に置いて行かれないよう、魂を磨いていきたい」

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■ “ラブソング”を理解して、僕も書いてみようと思えた

──前作からそういう意識の変化があったんですね。

粟子:意識の変化という点で言えば、今回ラブソングを歌うようになったんですよ。それまでは苦手というか、あまり聴いてこなかったんですけど、それは僕がラブソングを表面的にしか捉えてなかったからなんです。でも、これは名曲だなと思う曲って、実はどれも大切な人を思い浮かべながら、その人への一途な想いを込めているものであって。それってラブソングじゃないのかな?って理解が深まったときに、僕も書いてみようと思えた。今までは、それこそ壮大で抽象的な歌詞でしたけど、身近にある言葉で表現できるようになったかなと思ってます。

──粟子さんがラブソングを書いてきて、ちょっと驚いたりしました?

大野:そうですね。仮歌詞が3曲ぐらい来たときに、「今回ラブラブやん」って。

粟子:確かにな(笑)。

テンメイ:使っている単語がだいぶ変わりましたからね。「星座線」も「スノーデイ」も、今までだったら絶対に使わなかった言葉から始まりますし。

大野:でも、世の中の歌の8割、9割はラブソングだっていうのは、僕もずっと思っていたので、それをココロオークションでやるということをリアルに考えられるようになったのは前進だと思います。

──井川さん、今、大野さんの話を聞きながら、すごくうなづいてましたけど。

井川:僕、ずっとラブソングがやりたかったんですよ。

粟子:そうなんや!?

井川:今までは人の背中を押す曲をやってましたけど、やっぱり恋愛って強い感情じゃないですか。大野くんも言ってたけど、ラブソングって実際すごく多いし、みんなに共感されやすいところも多いと思ってたんで、いっぺんやってみたかったんですよ。

──念願が叶いましたね。楽曲制作の流れとしては、粟子さんが曲を持ってきて、大野さんを中心にアレンジしていく形ですか?

粟子:そうなんですけど、今回は作業をだいぶ分担したんですよ。

大野:弾き語りの状態で持ってきたものから作っていくのが昔からのやり方だったんですけど、今回は先にトラックだけ全部作って、そこにメロディーと歌詞をつけてくださいって渡した曲が多くて。

──ちなみにどの曲ですか?

大野:完全にトラック先行だったのは「M.A.P.」「ジグソーピース」「地球の歩き方」ですね。あと、「スノーデイ」は弾き語りのものを崩して、それをまた組み立て直した感じです。で、それを渡して、メロディーと歌詞に時間をかけて作ってもらっている間に、僕らは僕らでアレンジとか、それを表現するための練習に時間をかけるっていう。

──そういった新しい作業から曲調に幅が生まれたんですね。

粟子:でも、最初はとまどいましたけどね(笑)。作った時点で半信半疑だったのは、今までとは違う作り方をしたからなんですよ。でも、今まではコードとメロディーと歌詞を僕が一緒に作っていたので、自然と手癖みたいなものが出ていたんですけど、そういう得意技が使えない分、新しい自分の引き出しをたくさん開けたなと思います。

──どの曲もアレンジが凝っているなと思ったんですが、みなさんのルーツミュージックってどの辺りなんですか?

粟子:僕は諸説あるんですよ。TUBE説と、Being系説と、ゆず説があって。TUBE説は小学校のときに車の中でTUBEがよく流れていたからで、Being系説はFIELD OF VIEWとかZARDが好きだったんですけど、今になって調べると、僕は織田哲郎さんのメロディーが好きだったっていうことがわかったっていう。そこから中学生になり、音楽に興味を持ち始めたときに知ったのがゆずで。家の倉庫に眠っていた、昔おじさんが使っていたアコースティックギターを見つけ、弦を張り、チューニングをし、見よう見まねで音楽を始めたのがゆずだったんです。だからまぁ、ルーツはいま挙げた全部です(笑)。

──バンドの音楽性とリンクしてますね。フェイバリットだと何になります?

粟子:そのあとにエレキに興味を持ち始めたのが175Rとかが出てきた頃だったんですけど、BUMP OF CHICKENがかっこよくて。洋楽のエッセンスがすごく濃い気がしたんですよね。そこからOasis、Arctic Monkeys、ColdplayなどのUKロックを聴き始めて。ちょっとテンションコードが多くて、浮遊感があってディレイがかかっているキラキラした音楽が好きで、今もよく聴いてます。

大野:僕も諸説あるんですけど、バンドっていうものを知るキッカケになったのがTHE BLUE HEARTSで、実際に音楽をするキッカケになったのはゆずですね。最近アレンジの参考にしたり、影響を受けたりしてるのは、洋楽の女性シンガーソングライターが多いです。バンドって、やっぱりどうしてもバンドの音がするけど、今は僕の中でバンドの音ってそんなに興味がないんですよ。あと、日本のシンガーソングライターは弾き語りっぽい形でおさめるけど、向こうの人たちの場合だと、有名な人にトラックを作ってもらったりして、制限がないじゃないですか。急に「は?」って思ったりする曲を出したりもするし。テイラー・スウィフトとかそうですけど。バラエティが無限大なんで、そういうところがええなって思います。

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