【インタビュー】ココロオークション、「曲に置いて行かれないよう、魂を磨いていきたい」
ココロオークションにとって、ひとつの分岐点となるメジャー2ndミニアルバム『CINEMA』が1月11日にドロップされた。“夏”をイメージした楽曲が多かった彼らが初めて“冬”をテーマに制作した今作は、まさに冬にぴったりのバラードや疾走感溢れるパンキッシュなナンバーまで、全5曲は全く異なるアレンジが施され、まずその多彩さに驚くだろう。だが共通しているのが、そのどれもがエバーグリーンな輝きを放っていることだ。リスナーの人生の指針になり得る哲学や、誰にでも身に覚えがある情景描写が綴られた言葉は、バンド史上最大の強度を誇る。なぜ彼らの音楽は、より普遍的なものへとステップアップを果たしたのか。ライター山口哲生氏が、メンバー全員に訊いた。
◆ミニアルバム『CINEMA』ジャケット画像
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■ 言葉がサウンドを超え始めた
▲ミニアルバム『CINEMA』 |
粟子真行(Vo&Gt):今回、「歌詞がいいね」って言ってくださることが多くて。実は今までそこを言われたことってあまりなかったんです。「癒された」とか「いい曲ですね」って言ってもらうことは多かったんですけど。
──粟子さんとしても、いい歌詞が書けた感覚はありました?
粟子:作った時点では半信半疑だったんですよ。「これはいいはずだ」と思って出したんですけど、実際に演奏して、お客さんが喜んでくれる姿を初めて見たときに、いいものが書けたんだなっていう実感が湧きました。
大野裕司(Ba):僕が基本的にアレンジを全部しているんで、いつもはそっちに耳が行っちゃいがちなんですけど、今回の曲は歌詞が前に出たかなと思いますね。演奏しているときも、歌詞が聴こえれば大丈夫、逆に歌詞は絶対に届けないとダメって思うようになりましたし。
──今回は特に歌詞を大事にされたとか?
大野:そこは結成当時から大事にしているんですけど、やっと前に出たっていう感じです。それまではアレンジとかと同率やったけど、そこに勝ったっていう感じですね。
粟子:あぁ。言葉がサウンドを超え始めた感覚はありますね。
テンメイ(Gt):お客さんの一曲一曲に対する“好き度合い”が深まってる気がするんですよ。曲を深く聴いているっていうことは、やっぱり歌詞が届いているからなのかなって。あとは、例えば「スノーデイ」は冬の曲なんですけど、歌詞で描いている情景が僕らだけじゃなくてお客さんにも見えているっていうことを、演奏してて感じますね。
──それこそ、どの曲も情景が見えるから『CINEMA』というタイトルにしたのかなと思ったんですが、この言葉はどこから来たんですか?
粟子:実は、リード曲の「星座線」の仮タイトルが「CINEMA」だったんですよ。その「CINEMA」を中心に他の曲を揃えていったので、作品全体が自然と「CINEMA」という言葉に引っ張られていく感じになったんです。で、この曲順で聴いたときに、これはもうこの一曲が「CINEMA」というよりかは、5曲揃ったこの作品の名前が『CINEMA』のほうがしっくりくるんじゃないかって。
──そういうことだったんですね。井川さんは印象に残っているリアクションというと?
井川 聡(Dr):年末のフェスで『CINEMA』の曲を何曲かやったんですけど、みなさんすぐに手をあげてくれたりと反応もよくて。引き込むちからのある曲になったんじゃないかなと思います。
──アレンジとしては、ライブで引き込めるもの、巻き込めるものをというのは考えてました?
大野:前作の『CANVAS』と、今作の『CINEMA』で、考え方が結構変わったんですよ。元々、“曲の耐久力”をあげたいっていうのをずっと思ってたんですね。テレビで流れても、ライブハウスで聴いても、フェスで聴いても「良い」と思えるもの。そういう曲には“耐久力”があると思うんですけど、じゃあ、そのためにはどうしたらいいんだろうというところで、曲を壮大な感じにすればいいんじゃないか?って思ってたのが、『CANVAS』期だったんです。だけど、実際に何千人規模のフェスでライブを観たときに、壮大じゃなくてソリッドなもの──言ったら、スリーピースのバンドで、歌とギターがドーン!と聴こえるぐらいでも、全然耐久力あるやんと思って。そういう、壮大だからいいってもんじゃないっていう体験を経て、今回は肉感的というか、血が通っている感じをキーワードにしてアレンジしてました。
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