スタインバーグから楽譜作成ソフト「Dorico」登場、楽譜を効率よく快適に作成・美しく印刷、Cubaseのオーディオエンジン&音源搭載で高音質再生も
Steinberg Media Technologies GmbH(以下スタインバーグ)から、楽譜作成ソフトウェア「Dorico」(ドリコ)が登場した。スタインバーグ初となる本格的な楽譜作成ソフトウェアであり、FinaleやSibelius、Notionといったライバルのユーザーを取り込むべく、クロスグレード版も用意。Mac OS X 10.11、macOS Sierra とWindows 10(いずれも64ビット)に対応。通常版、クロスグレード通常版、アカデミック版、クロスグレードアカデミック版のラインナップで、ヤマハミュージックジャパンより11月下旬に発売される。
「Dorico」は、直感的なワークフローと美しい印刷により、作曲・編曲・演奏に集中することができる、本格的な楽譜作成ソフトウェア。シンプルで無駄のないユーザーインターフェース、ショートカットキーによる入力と編集、強力なページレイアウト機能、複数の楽曲・楽章を一元管理できる「フロー」により、効率よく快適に楽譜を作成可能。また、スタインバーグの音楽制作用DAWソフトウェア「Cubase」や「Nuendo」と同じオーディオエンジン、「HALion Sonic SE」「HALion Symphonic Orchestra」搭載による1,500以上の音色、30種類のエフェクトプラグインを搭載しているので、高品質・高音質で再生できるのもポイントだ。
単一ディスプレイのノートパソコンで快適かつ効率的に使用できるように設計されており、ソナタ、交響曲、歌集、ミュージカル、オペラなど、複数の楽章で構成される音楽をカンタンかつシンプルに編集可能。各プロジェクトファイルには、「フロー」と呼ばれる独立した楽譜を必要なだけ含めることができる。各フローは、記譜、配置、および処理を個別に行えるため、複雑な楽譜でも安心して作成できるほか、複数のフローを使用した楽器パートの作成もカンタンだ。
大規模なオーケストラ楽譜をスムーズに作成できる基本性能を備えるのも安心な点。64ビットコンピューターを想定して構築されており、高性能 CPU のマルチコアを活かした完全なマルチスレッド化により、使用するシステムの処理能力をフルに活用可能。プロジェクトが大きくなっても、すばやく入力が可能、パフォーマンスが低下することはない。
インターフェースには「設定」「記譜」「浄書」「再生」「印刷」の5つのモードを用意。ウィンドウの左右と下部には折りたたみ式パネルがあり、ディスプレイ上に大きく楽譜を表示したい時は、1クリック、またはキーボードショートカットでパネルを非表示にできる。ウィンドウ設定はプロジェクトごとに記憶され、作業を再開するたびに復元される。記譜は、単一のキーでデュレーション、臨時記号、アーティキュレーション、および音符のピッチを設定可能。キーボードショートカットを使用することで、ほとんどすべての記譜をコンピューターのキーボードだけで入力できるのも見逃せない。
中心となる自動浄書エンジンは、世界で最も要求の厳しい楽譜出版社と仕事をしている経験豊富な浄書家の監修の元に開発されており、少ない手間で、優雅で美しい楽譜を作成可能。デフォルトの Bravura フォントの各記号の緻密なデザインから、各記譜要素の正確な配置規則まで、楽譜の外観のすみずみに細心の注意を払っている。
▲明瞭さや読みやすさを損なうことなく、常に美しい一貫性とバランスで音符間隔が設定され、ページ上の間隔が縦方向にも横方向にも美しく配置されるように、組段内の譜表間の距離とページ内の組段間の距離が自動的に調整される。
また、独自のページレイアウト機能により、楽譜、テキスト、およびグラフィック用のフレームを、あらゆる種類のプロジェクトに合わせて好きなように配置で可能。フレームのプリセット配置をマスターページとして定義しておけば、複数のプロジェクトに繰り返し適用でき、ページサイズが異なる場合でも動的かつ自動的に調整される。
オーディオエンジンはCubase/Nuendoと同じ。「VST 3」準拠のすべてのバーチャルインストゥルメントとエフェクトをサポートしており、楽譜に記された演奏技法をバーチャルインストゥルメントの再生に簡単にマッピングできる「VST Expression 2」と、ノートごとにエクスプレッションコントロールを行なえる「VST Note Expression」もサポートする。楽譜の確認や音楽制作に使用できる「HALion Sonic SE 2」のサウンドを1,300以上含むほか、「HALion Symphonic Orchestra」ライブラリーも付属。弦楽器、木管楽器、金管楽器、打楽器と数十種類の演奏技法を含む 100以上のパッチとコンビネーションを用意する。また、ハイエンドなコンプレッサーやブリックウォールリミッター、チャンネルストリップエフェクト、ギターアンプモデリング、「REVerence」コンボリューションリバーブプロセッサーなどを含むエフェクトプラグインが25種類以上付属する。
▲再生モードでは、ピアノロールとオートメーションレーンを使用して、楽曲のMIDI演奏を編集可能。
印刷モードでプロジェクトをすばやく簡単に印刷できるほか、楽譜を PDF、SVG、TIFF形式で書き出し可能。印刷会社や出版社に渡す楽譜の作成のためにモノクロPDF作成にも対応する。また、Cubaseや他のDAWや楽譜作成プログラムから書き出したMusicXMLファイルやMIDIファイルの読み込みも可能。MusicXMLファイルを書き出すこともできるため、「Dorico」で開始したプロジェクトを他のアプリケーションで活用することも可能だ。
製品情報
価格:オープン
発売日:2016年11月下旬
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