【インタビュー】HYDE、『MTV Unplugged:VAMPS』を語る「不思議な世界にトリップする感覚」

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VAMPSが6月29日、映像作品『MTV Unplugged:VAMPS』をリリースする。同映像作品は1月19日、東京・品川ステラボールで公開収録された<MTV Unplugged:VAMPS>を完全パッケージ化したものだ。アンプラグド出演の意図やプロダクションについてHYDEが語ったインタビューより先ごろダイジェストを公開したが、このたびお届けするのはその完全版となる。

◆『MTV Unplugged:VAMPS』ティザー映像

実にスペシャルなライヴ映像作品だ。ストリングスのカルテットを始め、生ピアノにパーカッション、女性コーラスなど総勢12名のミュージシャンとVAMPSによる豪華なアコースティック・セッション、ヴァンパイアたちの夜会を彷彿させるゴシック&ホラーな世界観、それを具現化して妖艶かつ緻密に構築されたステージ・セットはこれまでに思い描かれてきたアンプラグド・ライヴのイメージを覆すだろう。Charaをゲストに迎え、ファンタジックなデュエットを披露した「ミルク」や、フィンランドのチェロ・ロックバンドでありVAMPSの盟友でもあるAPOCALYPTICAとの「SIN IN JUSTICE」、さらに番組では放映されなかったVAMPSの2人だけで奏でられた「GHOST」と見どころも満載。VAMPSライヴのプロデューサー的役割を担うHYDEにこのステージと今作品についてたっぷりと聞いた。

   ◆   ◆   ◆

■本気のホラーをやるのではなくて
■ちょっとかわいいところがあるほうが似合う

──そもそもアンプラグド・ライヴをやるというお話はいつ頃、浮上したのでしょうか。

HYDE:去年の11月か12月くらいだったかな、先方からオファーをいただいて。ただ、スケジュールがけっこうカツカツだったので、最初はあまり前向きではなかったんですけど、ちょうどAPOCALYPTICAが僕らのツアーのゲストアクトで来日してる時期だったしね。彼らと一緒に「SIN IN JUSTICE」っていう曲を作ったんですけどMVは撮ってなかったので、この機会に一緒に演奏して映像として残しておくのは悪くないなと。

──VAMPSはツアーの真っ最中でしたし、たしかに無謀といえば無謀なタイミングでした。

HYDE:6日間名古屋公演をやって、その翌々日でしたからね(笑)。ノドを潰したらえらいこっちゃなって。

──MCで「こういう機会をもらわなかったら、きっとやらなかった」とおっしゃってましたが、VAMPSでこうしたアンプラグドなライヴを行なうというのは、これまであまり考えていなかった?

HYDE:ちょっとしたお遊びみたいなものは今までにもやってますけど、ここまで本気でやるつもりはなかったですね。でも、やっておいたほうがバンドのスキルは上がるなとは前々から思ってたんですよ。だからチャンスさえあればっていう気持ちがなかったわけではないんですけど。

──演奏もステージ・セットも本当にすごかったです。具体的なライヴのイメージはわりとすぐにできたんですか。

HYDE:いや、最初はそういう状況だったので、やると決めてから少しずつですね。自分ならどうするかな? って、過去のいろんなアンプラグドのライヴ映像を観ていくうちに、どんどん自分の世界観出来上がってきて。例えばVAMPSはふだんからヴァンパイアの雰囲気を目指してるんだけど、さらにアコースティックのライヴでもそういったゴシックな要素を追求できるんじゃないかなと思ったんですよね、世界観として。だとしたらこれまでにない面白い映像作品になりそうだなと。そのへんからです、ときめいてきたのは(笑)。選曲も宗教的なテイストの曲というか、そういうものを選んで雰囲気作りをしていきました。

──なるほど、イメージしていたのはゴシック、そして宗教的な雰囲気……。

HYDE:あと、ホラーね。たぶん観た人が不思議な世界に入っていけそうなものを作りたいんでしょうね、僕は。

──つまり、よくあるアコースティック・ライヴにはしたくなかったと。

HYDE:そう。“作り込んでません”っていうのが、いわゆるアンプラグドじゃないですか。だからこそ逆に作り込んでみたらオリジナリティーがあって面白いだろうなと思った。

──メイキング映像(初回限定盤特典)でもステージのイメージをスタッフに伝える場面があって、そこで「怖いだけのホラーでなく、ちょっとコミカルな要素もほしい」というようなことをおっしゃっていたのですが、“コミカル”というのはどういうものなんでしょう。

HYDE:シリアスじゃないってことですね。わかりやすく言うとティム・バートン的なホラー。めちゃくちゃ本気のホラーをやるのではなくて、ちょっとかわいいところがあるほうが似合う気がしたんですよね、自分の美意識的に。あんまり行き過ぎないように、でも真面目にやるっていう感じで。

──セットの中でも特に目を惹いたのがキャンドルのタワーでした。

HYDE:もともと僕のソロイベントで“黑ミサ”っていう、ちょっと小さい規模のアコースティック・ライヴをやっていて、そのときもロウソクのオブジェを使ってるんですよ。それをもっと本気にしたヤツというか。もっと本気で悪魔を呼べるレベルのものを象徴的に使いたいなと。

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