【ライブレポート】OLDCODEX、ピンチをチャンスに変えた武道館2年目。「たまにはそんな夜もいいんじゃない?」

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2月10日、11日に日本武道館にてOLDCODEXのワンマンライヴ<OLDCODEX“Veni Vidi”in BUDOKAN 2016>が開催された。

◆OLDCODEX 画像(Photo by NORIKAZU TATSUKAWA, TAKAHIRO SAKATA)

OLDCODEXが初の日本武道館ライヴを成功させたのは、ちょうど1年前のことだ。2回目となる今回は2デイズワンマン。これまでスタンディングのライブハウスにこだわってきた彼らが昨年、このステージに立ったのは周囲からの熱い要望もあってのことだったが、今年はタイトル(“Veni Vidi”)に古代ローマの将軍が戦いに勝利した時に言った言葉の一部を引用したようにOLDCODEXが100パーセント自らの意志で武道館に挑んだライヴだった。その初日、2月10日の模様をお伝えしよう。

2階席のてっぺんまで人で埋めつくされた武道館。そのステージには古びた工場のようなセットが組み立てられていた。トタンを使ったバックには“Veni Vidi”の文字がペイントされ、巨大な排気口からは煙が吹き出し、左右にはキャンバス。YORKE.のセンスがあちこちから感じられるOLDCODEXらしいワクワクする遊び場である。



割れんばかりの歓声の中、暗いステージにサポートメンバーが姿を表し、YORKE.が登場。ライヴは意表を突く形で幕を開けた。最新シングル「Aching Horns」に収録されている「Reminder」が鳴らされ、ステージ下手のYORKE.が立った場所が徐々にせり上がっていく。驚きの声が上がり、1階席を超える高さで止まったリフターの上で客席に背中を向ける格好からキャンバスにピンクの絵の具で“Veni”の文字をペイントしていくYORKE.。やがて上手のリフターへと移動し、“Vidi”の文字をペイントした後、柵に足をかけて煽って大歓声。そこにTa_2が姿をあらわし、激しく展開していくサウンドの中、強烈なシャウトを叩きつけた。

太くうねるグルーヴの「Get Up To Go」ではTa_2のヴォーカルと演奏が地を這うように暴れまわる。1年前の日本武道館と違うのはOLDCODEXが完全に腹を据え、地に足をつけてステージに立っていることだ。その気迫と戦闘モードに圧倒されそうになりつつ、ステージがスモークに包まれ、警告音が響く中、「physical」へと。Ta_2とYORKE.のヴォーカルが絡みあうアグレッシヴなステージングに会場と客席の距離は前半から吹き飛んだ。



「こんばんは、OLDCODEXです。<“Veni Vidi” in BUDOKAN 2016>にようこそ! このタイトルには本当は3つまで言葉があって、今日はあえて2つまでにしてます。どこかの将軍の言葉です。それをもって勝利宣言をしたっていうのは有名な話。今日は“Veni Vidi”、そしてもう1つはきっとみんなが想像している通りの言葉だと思います。それをどうするかって言ったら──ここに集まったオマエたちは楽しむことの天才なんだろ? オマエたち、俺たちに対して声を飛ばさなきゃおかしいよな!? どれだけ叫べるんだ!? どれだけ騒げるんだ!? どれだけ歌えるんだ!? 敵はいつも自分自身だ! 勝ちに行くぞ!」── Ta_2

Ta_2が全身で叫び、それに応えるように客席もありったけの声を飛ばす。少し前に左腕(肘)を骨折するというアクシデントに見舞われたTa_2だが、そんな負荷を抱えていることは微塵も感じさせない。昨年、TVアニメ『GOD EATER』のOPテーマに起用された「Feed A」では衝動を突きつけ、Ta_2とYORKE.がセンターでヘドバン。イントロのギターリフに歓声が上がったエッジーで疾走感たっぷりのロックンロール「Seek your turn」もより太くラウドにヴァージョンアップしている。ライヴはメロディックなアッパーチューン「Landscape」で初めて手放しの開放感に包まれた。客席のコールは爆発的パワー。YORKE.はキャンパスに明るい黄色を乗せていった。

「今日は武道館っていうこんなデカいフィールドまで来てくれてどうもありがとう。今日、武道館でライヴができることがすげえ楽しくて。なぜかっていうと俺が3週間ぐらい前に骨折ってさ。肘頭(ちゅうとう)っていうところをポッキリいって、人生初めての入院ってヤツと人生初めての手術、人生初めての全身麻酔っていうヤツを経験して、これはいいネタができたなって。肘のところに8の字にワイヤーが入ってて、ホントはがっつり曲げたいんだけど、これ以上、曲がらないんですね。でも、気にしないで。気持ち的には元気だから」── Ta_2

Ta_2が骨折のことに触れ、モニターにレントゲン写真を映しだそうと思っていたら、スタッフに全力で止められたことを明かすと、笑いが溢れ、「見たい~!」という声も。2階席を見上げ、暴れて落ちないようにと注意を促し、「肘折ると痛てえからな」とジョークを飛ばした。
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