【インタビュー】映画『Over The L'Arc-en-Ciel』監督が語る「普通のバンドじゃない」

ポスト

■彼らは偉大な存在であり、ミステリアスでありながら
■素になった時は人間的である、ところをどう伝えるか2年間孤独と戦った

──4人のメンバーそれぞれについては、どんな印象を持っていますか?

Ray:みんな、見たまま、あのままですよね。tetsuyaさんはリーダーですし、自分では語らないけれど、その重さをずっと抱えてきているから、常にいろんなことを考えているんじゃないかと思いますね。本当に聡明な人で、しかも細かなところまで見えている。彼の頭の中のハードディスクはずっと回り続けているんじゃないかな。「大きく見えることが何でもなくて、小さく見えることが実は大きいことがしょっちゅうあるから」っていうtetsuyaさんの言葉がこの映画を作る上でも大きなヒントを与えてくれました。

──hydeさんの印象は?

Ray:hydeさんはドシッとした人。スマートなんだけど、ここぞっていうところで、物事の本質を捉えて、的確に判断を下していく。最後のハワイでも「これは撮ったほうがいいよ」って言ってくれて、その場で最も適していることを判断出来る人なんだなと思いました。俯瞰からも近くからも見ることができる。

──kenさんは?

Ray:kenさんはともかくハッピーな人で、まわりも楽しい雰囲気にしてくれる。大人になっても子供の心を失ってないですね。だから下ネタ話が大好きなんですよ(笑)。

──yukihiroさんの印象はどうですか?

Ray:yukihiroさんは見たとおり、ストイックな人ですよね。でも気難しいとか、固いというのではなくて、くだけたところ、緩やかさ、柔らかさも持っている。なにかプロアスリートに近いものがあると感じました。

──撮影は2月から半年。その後、2年間に及ぶ編集作業が続いたわけですが、かなり濃密な時間だったのではないですか?

Ray:編集も含めて、僕の人生の2年間はこの作品に捧げたようなものですから、自分にとっても大きな作品になりました。“ドキュメンタリーというのは企画に当てはめることではなくて、目の前で起きていることの中にあるストーリーを引き出すものなんだ”と書かれていた書籍があって、まさにそうだなと。見ながらどんどんストーリーが出来上がっていく怖さと楽しさを感じていました。

──長期間のツアーで、しかも4人いるから、膨大な量の映像があったのではないかと思うのですが、編集方針は?

Ray:300時間くらいかなと思っていたんだけど、ちゃんと計算したら、600時間くらいありました(笑)。ともかく素材がストーリーを語ってくれるのを待って、ひたすら映像を見続けて。些細なことでも実は他のことと繋がっていたりするので、パズルを組み立てるように編集していきました。セッションでさらっと言ってることが実は他のことと連動していたりする。ストレートに答えてないことでも行動や発言の中に答えがあったりする。時系列順に並べてナレーションを付けていけば、足りてないところを補えるから、形にはなるけれど、そういうものではない。普通にやりたくないじゃないですか。

──はい。

Ray:普通のバンドじゃないし。彼らは偉大な存在であり、ミステリアスでありながら、素になった時は人間的であるところをどう伝えるかが難しくて、2年間孤独に戦ったんですが、少しずつ見えてきて、形になっていった。完全に内面の扉を開けたとは思っていないけれど、少しはそれぞれの内面の世界を見せてくれたのかなって思ってます。

──Rayさん自身の今後については?

Ray:自分が5年先10年先、どうなるかわからない状態でずっとやってきているんですよ。そこは今も変わらない。この作品を制作する中で楽しいことも苦しいこともいっぱいあったんだけど、やって良かったと思うし、この作品を作ったことで、自分も変わったと思います。年齢の近い4人のメンバーと接することで影響も受けたし、自分の人生感も変わってきた。つくづく彼らはプロフェッショナルなミュージシャンだなと思います。今回経験したことを活かしていけたらいいですね。

──今後のL'Arc-en-Cielに期待することはありますか?

Ray:L'Arc-en-Cielは若いころよりも更にかっこよさが増していると思うんですよ。プロスポーツ選手と一緒で、最初は勢いはあるけれど、余分な部分もあったのがだんだん削ぎ落とされてきて、よりプロフェッショナルになってきている。こんなバンド、世界中探してもいないと思うので、この先の彼らを見てみたいですね。

──最後にこの映画を観る人に言葉をいただけますか?

Ray:L'Arc-en-Cielの人生の中の一瞬のスナップショットがこれですっていう映画になっていると思います。彼らのファンの人が観た時に、いろいろと感じてくれる映画であると同時に、彼らの音楽をそんなに聴いてないという人が観た時にも、彼らをリスペクト出来る映画になってくれたらいいなあと思っています。観る人がそれぞれに何かを感じてくれたらうれしいです。

取材/文◎長谷川誠


■ドキュメンタリー映画『Over The L'Arc~en~Ciel』
2014年12月5日(金)~8日間限定公開
監督:Ray Yoshimoto 出演/音楽:L’Arc-en-Ciel
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン 制作:ライブ・ビューイング・ジャパン/Day-O Productions
2014年/日本/ビスタサイズ/5.1ch/カラー/デジタル
(C) 2014 MAVERICK DC
【スケルトン仕様前売鑑賞券概要】
11月8日(土)より上映劇場にて発売
※詳細は公式サイト参照:http://www.larcenciel-film.com/
※豪華チケットは一部お取扱いのない劇場もございます。
発売価格:¥10,000(tax in)
※数量限定
※4枚綴り
●4枚の透明のフィルムに、メンバーそれぞれのソロカットが入り、4枚を重ねるとライヴステージが完成!
・1枚目:hyde/2枚目:ken/3枚目:tetsuya/4枚目:yukihiro
背景である台紙には、音楽の聖地 ニューヨーク マディソン スクエア ガーデンのライヴステージが描かれている。購入者には、チケットがぴったり収まる特製チケットホルダーがついてくる。
※ストラップの文字色は赤、白選べます。
【映画STORY】
香港、バンコク、上海、台北、ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール、ジャカルタ、ソウル、横浜、大阪、東京、ホノルル──。2012年3月3日から5月31日まで行われた、世界14都市、17公演行われた初の大規模ワールドツアーに密着。総動員数45万人。バンド結成20周年を迎えたL’Arc-en-Cielが、日本のロックバンドでは前代未聞の大規模な海外ツアーに挑戦。迫力のライヴ映像に加え、これまでほとんど公にされることのなかったバックステージやオフステージの姿まで記録した貴重映像満載の一本だ。メンバー4人が見せる等身大の柔らかな表情。ニューヨークで生まれた新しい伝説――世界中のトップ ミュージシャンがめざす音楽の殿堂、マディソン スクエア ガーデンでの日本人史上初の単独公演という快挙の舞台裏。そして虹のかかる美しい土地で見せた涙の理由とは…!?

◆『Over The L'Arc-en-Ciel』BARKS内特集ページ
◆『Over The L'Arc-en-Ciel』オフィシャルサイト
◆L'Arc~en~Ciel オフィシャルサイト
◆L'Arc~en~Ciel レーベルサイト

◆インタビュー(2)へ戻る
◆インタビュー(1)へ戻る
この記事をポスト

この記事の関連情報