【月刊BARKS 藤井丈司連載対談『「これからの音楽」の「中の人」たち』】第1回 椎名もた編Vol.4「プロデュース」
音楽プロデューサー、藤井丈司による連載対談。第1回目となる10月は10月9日に2ndアルバムをリリースした椎名もた君との対談を全8回に渡ってお送りします。では椎名もた君との対談Vol.4をお届けしましょう。
◆【月刊BARKS 藤井丈司連載対談『「これからの音楽」の「中の人」たち』】第1回 椎名もた編Vol.3「すべてが14才で始まる」
Vol.4「プロデュース」
藤井:で、すぐアップしたものを、CDにまとめて、同人で売ろうと思ったってこと?
椎名:うーん、ツイッターを始めて、みんながどうやってるのかっていうのを、だいたい知り始めたんです。
藤井:ツイッターも始まったか(笑)。
椎名:はい(笑)。それで、ボーマス(THE VOC@LOiD M@STER)っていうイベント、同人即売会が。
藤井:“ボーマス”っていうの?
椎名:“ボーカロイドマスター”で、“ボーマス”って呼ばれてるイベントがあるんですよ。あるんだって知って、じゃあ自分も作ってみようかなっていう、ちょっとした出来心で作り始めて。まあ……初めて自分の自作の盤ができた時は感動しました(笑)。
藤井:それは、するよね(笑)。その、CDを作ったってのは、「ボーマス」の日にちが決まってるから、じゃあここまでに、作って持って行かなきゃみたいな事だったの?
椎名:はい。
藤井:もう締め切りあるのか(笑)。
全員:(笑)。
藤井:CDは、何枚ぐらい作って行ったんですか?
椎名:いちばん最初は300枚作って。
藤井:で、売れたの?
椎名:即完で。
全員:おぉ~(驚)。
椎名:まず1枚目が『セピアレコード』で、2枚目が『AWARD STROBE HELLO』が数千枚はけて。
藤井:へぇ~。それは、次の年ですか?
椎名:はい。『AWARD STROBE HELLO』は15歳の時で。で、次に『セピアレコード リモデル』っていう、『セピアレコード』が絶版になったから、ちょっとリメイクをおりまぜて、再販しようっていう盤が1000枚以上 売れて。次に、16の頃に『alpa』っていうミニアルバムみたいなのを出して。それも1000枚以上ぐらいで、だいたいそれぐらいです。
藤井:それは、1枚いくらぐらいで、売るんですか?
椎名:1枚1000円です。
藤井:1000円か!すごいお金入っちゃうでしょ、14才で。
椎名:あの、浪費癖があって(笑)。全部、機材と漫画に消えました(笑)。
藤井:あぁ、でも、それは活きるんじゃない? その後の創作に。いや、でも14才か…。
曽根原(椎名もた A&R/マネージャー):活きるからいいんですけど、でも、お金があるっていうのがニュートラルだから、お金がないっていうのが、大きな事になってしまうんです。
藤井:デフォルトは、「ある」なんだ(笑)。
曽根原:デフォルトは「ある」なんですよ(笑)。でも、当然、いつかお金はなくなるじゃないですか。じゃあ出しまくればいいだけの話なんですけど、同人で。使い切ったらすぐ出す、みたいな。でもそんなことやってたら、つぶれますよね。だから、お金のあるないで、精神のバランスがすごい崩れてたよね、一時期(笑)。
藤井:へぇ~。
曽根原:14、15、16の話です(笑)。
BARKS編集担当:早熟すぎる(笑)。
藤井:CDを作る時は、アレンジやエンジニアも、全部自分でやるの?
椎名:えっと、まずいちばん売れた『AWARD STROBE HELLO』っていうCDを、例に出して言うと、リミキサーが3人いて、リミキサーさんにギャラをいくらか払って。あとジャケットのイラストレーターとデザイン協力の人がいて、その人たちにもいくらかお礼して。あとは全部自分ひとりです。
藤井:演奏やアレンジは、全部自分っていうことだね?
椎名:はい。
藤井:今回の「アルターワー・セツナポップ」は、椎名もたバンド って書いてあったけど、少し、ドラムとギターとか人に入れてもらってるってこと?
椎名:はい。
曽根原:同人時代までは全部打ち込み、パソコンで完結してたんですよ。で、ファーストの『夢のまにまに』っていうアルバムの時に、「録ってみたい、生オケやってみたい」って言うから、じゃあやるかって。
藤井:早いね(笑)。
椎名:でも、別に生オケじゃなきゃいけないわけじゃないんですよ。「この曲は生を録る、この曲は録らない、この曲は○○だけ録りたい」って、リクエストを言ってみるんです。
藤井:プロデューサーなわけだ。
椎名:はい。
弘石(椎名もた レコード会社&マネジメント事務所/社長):藤井さんも、30年ぐらいプロデューサーを、やってらっしゃるじゃないですか。プロデューサーの仕事って、それは予算管理だったり、曲を誰に頼むとか、ですよね。彼はだから、動画は彼に頼むとか、イラストレーターは誰に頼むとか、予算管理も含めて、いわゆるプロデューサーをやってるわけですよね。それがいわゆる、今で言うボカロPという。
椎名:もともと『アイドルマスター』っていうゲームが発祥らしいですけど。
藤井:そうなんだ。あぁ~。『サカつく』みたいなもんですね。
曽根原:っていうゲームで(笑)。かわいい二次元の絵の女の子が出てきて、それをプレイヤーが好き勝手にプロデュースするっていうゲームです。それがニコニコ動画で人気になって、何何Pっていう名前が付けられて。
藤井:“P”ってつければいいんだっていう話になっていって。
曽根原:まぁ、愛称ですよね。
藤井:じゃあ、その時代はぽわぽわPって言ってたんですか?
椎名:その時代は、ぽわぽわした曲を作りましたって、動画の投稿文に書いたら、ぽわぽわPってついて、いいじゃん、これ、みたいな。タグロックしようって(笑)。
藤井:でも14歳で、すぐマーケットに身を投じるのが、おもしろいよね。
弘石:ちゃんとギャラも設定して払って。
インタビュー&文◎藤井丈司
◆ ◆ ◆
続きは次回。連載対談、椎名もた編Vol.5「同世代の絵師と出会う」をお届けいたします。
【椎名もた Information】
2nd Album
『アルターワー・セツナポップ』
2013年10月9日発売
[初回生産限定盤]
UMA-9026~9027 ¥3,000円(税込)
※商品仕様 CD+DVD
三方背スリーブ+ブリキ缶ケース
カード型リリック集 12枚封入
[通常盤]
UMA-1026 ¥2,700(税込)
※商品仕様CD
ジュエルケース
Tracklisting
1.ピッコーン!!
2.MOSAIC
3.パレットには君がいっぱい
4.Q
5.ウソナキツクリワライ
6.forgot me not
7.シティライツ
8.Halo
9.ツギハギ
10.嘘ップ
11.かげふみさんは言う
12.LIVEWELL
13.vanilla flavor piece
◆椎名もた オフィシャルサイト
◆椎名もた オフィシャルTwitter
◆椎名もた 『アルターワー・セツナポップ』特設サイト
◆藤井丈司プロフィール
◆藤井丈司Facebook
◆【月刊BARKS 藤井丈司連載対談『「これからの音楽」の「中の人」たち』】第1回 椎名もた編Vol.3「すべてが14才で始まる」
Vol.4「プロデュース」
藤井:で、すぐアップしたものを、CDにまとめて、同人で売ろうと思ったってこと?
椎名:うーん、ツイッターを始めて、みんながどうやってるのかっていうのを、だいたい知り始めたんです。
藤井:ツイッターも始まったか(笑)。
椎名:はい(笑)。それで、ボーマス(THE VOC@LOiD M@STER)っていうイベント、同人即売会が。
藤井:“ボーマス”っていうの?
椎名:“ボーカロイドマスター”で、“ボーマス”って呼ばれてるイベントがあるんですよ。あるんだって知って、じゃあ自分も作ってみようかなっていう、ちょっとした出来心で作り始めて。まあ……初めて自分の自作の盤ができた時は感動しました(笑)。
藤井:それは、するよね(笑)。その、CDを作ったってのは、「ボーマス」の日にちが決まってるから、じゃあここまでに、作って持って行かなきゃみたいな事だったの?
椎名:はい。
藤井:もう締め切りあるのか(笑)。
全員:(笑)。
藤井:CDは、何枚ぐらい作って行ったんですか?
椎名:いちばん最初は300枚作って。
藤井:で、売れたの?
椎名:即完で。
全員:おぉ~(驚)。
椎名:まず1枚目が『セピアレコード』で、2枚目が『AWARD STROBE HELLO』が数千枚はけて。
藤井:へぇ~。それは、次の年ですか?
椎名:はい。『AWARD STROBE HELLO』は15歳の時で。で、次に『セピアレコード リモデル』っていう、『セピアレコード』が絶版になったから、ちょっとリメイクをおりまぜて、再販しようっていう盤が1000枚以上 売れて。次に、16の頃に『alpa』っていうミニアルバムみたいなのを出して。それも1000枚以上ぐらいで、だいたいそれぐらいです。
藤井:それは、1枚いくらぐらいで、売るんですか?
椎名:1枚1000円です。
藤井:1000円か!すごいお金入っちゃうでしょ、14才で。
椎名:あの、浪費癖があって(笑)。全部、機材と漫画に消えました(笑)。
藤井:あぁ、でも、それは活きるんじゃない? その後の創作に。いや、でも14才か…。
曽根原(椎名もた A&R/マネージャー):活きるからいいんですけど、でも、お金があるっていうのがニュートラルだから、お金がないっていうのが、大きな事になってしまうんです。
藤井:デフォルトは、「ある」なんだ(笑)。
曽根原:デフォルトは「ある」なんですよ(笑)。でも、当然、いつかお金はなくなるじゃないですか。じゃあ出しまくればいいだけの話なんですけど、同人で。使い切ったらすぐ出す、みたいな。でもそんなことやってたら、つぶれますよね。だから、お金のあるないで、精神のバランスがすごい崩れてたよね、一時期(笑)。
藤井:へぇ~。
曽根原:14、15、16の話です(笑)。
BARKS編集担当:早熟すぎる(笑)。
藤井:CDを作る時は、アレンジやエンジニアも、全部自分でやるの?
椎名:えっと、まずいちばん売れた『AWARD STROBE HELLO』っていうCDを、例に出して言うと、リミキサーが3人いて、リミキサーさんにギャラをいくらか払って。あとジャケットのイラストレーターとデザイン協力の人がいて、その人たちにもいくらかお礼して。あとは全部自分ひとりです。
藤井:演奏やアレンジは、全部自分っていうことだね?
椎名:はい。
藤井:今回の「アルターワー・セツナポップ」は、椎名もたバンド って書いてあったけど、少し、ドラムとギターとか人に入れてもらってるってこと?
椎名:はい。
曽根原:同人時代までは全部打ち込み、パソコンで完結してたんですよ。で、ファーストの『夢のまにまに』っていうアルバムの時に、「録ってみたい、生オケやってみたい」って言うから、じゃあやるかって。
藤井:早いね(笑)。
椎名:でも、別に生オケじゃなきゃいけないわけじゃないんですよ。「この曲は生を録る、この曲は録らない、この曲は○○だけ録りたい」って、リクエストを言ってみるんです。
藤井:プロデューサーなわけだ。
椎名:はい。
弘石(椎名もた レコード会社&マネジメント事務所/社長):藤井さんも、30年ぐらいプロデューサーを、やってらっしゃるじゃないですか。プロデューサーの仕事って、それは予算管理だったり、曲を誰に頼むとか、ですよね。彼はだから、動画は彼に頼むとか、イラストレーターは誰に頼むとか、予算管理も含めて、いわゆるプロデューサーをやってるわけですよね。それがいわゆる、今で言うボカロPという。
椎名:もともと『アイドルマスター』っていうゲームが発祥らしいですけど。
藤井:そうなんだ。あぁ~。『サカつく』みたいなもんですね。
曽根原:っていうゲームで(笑)。かわいい二次元の絵の女の子が出てきて、それをプレイヤーが好き勝手にプロデュースするっていうゲームです。それがニコニコ動画で人気になって、何何Pっていう名前が付けられて。
藤井:“P”ってつければいいんだっていう話になっていって。
曽根原:まぁ、愛称ですよね。
藤井:じゃあ、その時代はぽわぽわPって言ってたんですか?
椎名:その時代は、ぽわぽわした曲を作りましたって、動画の投稿文に書いたら、ぽわぽわPってついて、いいじゃん、これ、みたいな。タグロックしようって(笑)。
藤井:でも14歳で、すぐマーケットに身を投じるのが、おもしろいよね。
弘石:ちゃんとギャラも設定して払って。
インタビュー&文◎藤井丈司
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続きは次回。連載対談、椎名もた編Vol.5「同世代の絵師と出会う」をお届けいたします。
【椎名もた Information】
2nd Album
『アルターワー・セツナポップ』
2013年10月9日発売
[初回生産限定盤]
UMA-9026~9027 ¥3,000円(税込)
※商品仕様 CD+DVD
三方背スリーブ+ブリキ缶ケース
カード型リリック集 12枚封入
[通常盤]
UMA-1026 ¥2,700(税込)
※商品仕様CD
ジュエルケース
Tracklisting
1.ピッコーン!!
2.MOSAIC
3.パレットには君がいっぱい
4.Q
5.ウソナキツクリワライ
6.forgot me not
7.シティライツ
8.Halo
9.ツギハギ
10.嘘ップ
11.かげふみさんは言う
12.LIVEWELL
13.vanilla flavor piece
◆椎名もた オフィシャルサイト
◆椎名もた オフィシャルTwitter
◆椎名もた 『アルターワー・セツナポップ』特設サイト
◆藤井丈司プロフィール
◆藤井丈司Facebook
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