【インタビュー】HAWAIIAN6、dustbox、locofrankによるメロディックアルバム10000字対談「本当の意味で潰し合いみたいな感じですね(笑)」

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■コンセプトがないゆえに面白いものができるというコンセプト──木下正行(locofrank)
■それぞれ1枚のEPとして完成されているような流れなんですよ──YUTA(HAWAIIAN6)
■ふざけた30秒の曲とか誰か入れてくるかなと思ったら誰もやってない──SUGA(dustbox)

──では、いざスプリットアルバムを作ろうということになって、その際にテーマや縛りを設けるようなことは?

木下:それがまったくなかったので、すげぇ探りを入れました、俺は(笑)。結局、コンセプトがないゆえに面白いものができる、ということがコンセプトだと思うので。そういった面では、自分たちらしさを出すことが一番かなと……それがまた難しいんですけどね。

YUTA:相手の出方を見て、奇をてらってみようとかも頭をよぎるんですけど。それだと結局負けちまうんじゃないかと。自分たちのベストなものを作ることが一番いいんだなと、みんなが思ったんですよね。で、3バンドが4曲ずつ書いてきたんですけど、それがそれぞれ、1枚のEPとして完成されているような流れなんですよ、起承転結があって。結構ガチでベストなものを作ってきた。本当の意味で、つぶし合いみたいな感じですね、言ってしまえば。

──共作曲とかないんですね?

YUTA:ああ、たしかに。そんなこと考えなかったね、つぶし合いですから(笑)。

SUGA:お互いの曲を聴くとき怖かったもんな(笑)。

木下:ドキドキしたよね。

──どんな状況で3バンドの曲を聴いたんですか?

YUTA:それも個々に違いましたね。うちの場合は、レコーディングが終わってる状態で2バンドの曲を聴かされたんですけど、dustboxは?

SUGA:俺らはミックス中で、まずHAWAIIAN6の曲を聴いて。

YUTA:locofrankはレコーディング中だったんだよね(笑)。

木下:これから俺が歌いますっていうときに、スタッフから「10分ちょうだい」と言われ、2バンドの音を聴かされるという(笑)。すんげぇイヤでしたね。

YUTA:歌録る前の状況としては、悲惨だよね(笑)。

木下:しかも2バンドの4曲ずつだから、10分で終わんねえし(笑)。聴いたときは、もう2バンドで出しゃいいのにって思った(笑)。俺たちも4曲の曲作りができたときにはすげえ自信があって、よっしゃー!って思ってたんですけど、あれを聴いたあとは少し動揺しましたね。これでいいのか?って。

SUGA:いや、俺らも動揺したから(笑)。初めてかもしれないな、あんなメンバーの顔見たの。

木下:ホントにそうなるよね。

SUGA:3人でヘッドフォンして聴いたんですけど、聴き終わってヘッドフォン置いて顔見合わせて、「どうする?」って(笑)。

YUTA:うちも、最初にdustboxの音を渡されたときには全部聴けなかったですもん。最初に聴いたのが、これは絶対アルバムでもリードチューンになる曲だなっていうものだったので。いきなりこのクラスがくるってことは、もうほかは聴きたくないなと。「もういいです」って(笑)。

──それぞれが“勝負をしにきたな”と感じたわけですね。

YUTA:みんなぶっこんできたな、っていう感じはありましたね。

木下:あ、ほんとに手ぇ抜かねえんだっていうね(笑)。

SUGA:1バンド4曲だし、そのうち1曲くらいは、ふざけた30秒くらいの曲とかを誰かが入れてくるんじゃないかなと思ったら、誰もやってない。

──アルバム1曲目に収録されたHAWAIIAN6の「In The Deep Forest」で作品のモードが決まったという感じはありますよね。スプリットということで、結構ライトに楽しめるものになるのかと思いきや、ガツンと思い切りやられる本気度で。

木下:何回も聴きましたもん、この曲。

SUGA:「In The Deep Forest」がアルバムの1曲目だというのは、決まるのが早かったよね。

木下:もうテッパンっていう感じはあった。で、次にdustboxの1曲目「Betty」がくる、この温度差がね(笑)。

SUGA:はははは(笑)。

木下:この温度差がこのスプリットの面白さじゃねえ?っていう話になって。

SUGA:最初笑ったもんね(笑)。明るっ!っていう。でも、みんなが「それがいい」って言ってくれて。

──その次にlocofrankのエモーショナルな曲がグッと入ってくるという、1枚のアルバム作品としてすごくいい流れですね。その冒頭を飾るHAWAIIAN6の「In The Deep Forest」は、このスプリットのために作ったナンバーですか?

YUTA:実は、このスプリット以前から曲は作っていて、そのなかの1曲だったんですよ。だから、特になんの気負いもなく作った曲で。ただほかに収録される2バンドが2バンドなだけに、一瞬でも気を抜いたらつぶされると思ってたので、とにかくその中でも叩きつぶせるような曲は選びましたね、マジで(笑)。

木下:「In The Deep Forest」はHAWAIIAN6としての芯は全然ブレてないけど、懐かしくて新しいみたいな感じがあるんですよね。それが、もしこの3バンドでスプリットを作ることによって、dustboxとlocofrankが引き出したものだとしたら、ちょっと俺らに感謝してもらいたいなと思っていたんです。

YUTA:はははは(笑)。

木下:ただ、今話を聞いたところ、以前からあった曲だったようなので、そうじゃなかったみたいで(笑)。

YUTA:本当に曲を作ってるときは、なにも考えてなかったからね。

SUGA:俺らもそうですね。曲はずっと作っていたので、そこから選ぶカタチになって。パッと聴いてどれが一番すぐに俺らだとわかるかっていうのは、結構考えて選んだかな。

──locofrankはこのスプリットのために4曲を作ったんですか?

木下:もうこのために全曲作りました。しかもツアー中に。

SUGA:locofrankはちょうど作品出したばっかりだったもんね。

木下:そのツアー<locofrank TOUR 2012-2013 "ONE" >へdustboxに出てもらったんですけど、曲作りの調子はどう?って探りを入れてみたら「もう結構録ってる曲があるから」と。こいつー!と思ったよね(笑)。

SUGA:たぶん、「いや、曲ができなくてさぁ」ってう言葉を待ってたんだと思うんだけど(笑)。

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