MUSIC LIFE+ Vol.5 LED ZEPPELIN特集「スワン・ソングの伝説」
iPhone、iPad用の無料アプリとして好評配信中の「MUSIC LIFE+(ミュージック・ライフ・プラス)」。洋楽ロック雑誌の草分けである「ミュージック・ライフ(1951-1998)」のデジタル版として貴重な写真・記事の宝庫であるとともに新たなコンテンツもプラスした音楽ファン必見の内容だ。そのVol.03はLED ZEPPELINの徹底特集。その記事の中ではバンドにまつわる気になる噂についても迫っている。
『「He Said She Said」ペイジは、本当にケチなのか?』
しかし発信源はMLではなく、当時のレッド・ツェッペリン関係者の中でも多く取り上げられている話題だった。たとえば、ボーナムのドラムを初めて聞いてそのプレイに驚いたペイジがマネージャーのグラントに電話した時、グラントは「ジミー・ペイジが? アメリカまで国際電話をしてきた? それはよっぽどのことが起こったんだとわかったよ」(クリス・ウェルチ『ピーター・グラント 5人目のレッド・ツェッペリン』)と驚いたという。バンド内では、こんな風に日頃からジミーのケチぶりはジョークの種だったのだ。最初から売れているバンド時代を経ず、セッション・ミュージシャンとしての地道な活動を積んできたペイジだからこその、ジョーク・ネタだったのかもしれない。
『ブラック・マジック、悪魔礼讃の黒い噂』
ペイジといえば、ブラック・マジックとの関係を取り沙汰されることが多い。これは、ペイジがイギリスの有名な黒魔術師アレイスター・グロウリーの邸宅を購入したこと、クロウリーの言葉をアルバムに掲載したこと、4枚目のアルバムにタロット・カードの図柄を入れたことなどによるもの。ただし、グロウリーは、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のジャケットの中にも刻まれているほどの有名人でもあり、当時の文化と結びついた流行的なものであったともいえるかもしれない。
ただ、のちにこのことが、後年レッド・ツェッペリンが見舞われた相次ぐ事故やトラブル、メンバーの死と絡まって、数々の不幸がブラック・マジックの呪いだとして伝説化していった要因のひとつでもある。
また、アメリカでは82年に有名なテレビ伝道師ポール・クランチが、ロック音楽糾弾のために述べた説話において、「天国への階段」を逆再生方式でかけると、「悪魔のために歌います」や「666(悪魔の番号)」といった悪魔礼讃のメッセージが折り込まれていると発言。これを受けてカリフォルニア州議会の委員会までが、悪魔信仰のメッセージが含まれているかどうかの審議を行った。こうした馬鹿らしい騒ぎに対して、スワンソング・レコードは「我々のレコードは、前方の一方向にしか回転しません」と発表。中世の魔女狩りを思わせるような出来事が、解散後の1982年にも起こっていたのだから驚かされる。
古くは、伝説的なアメリカのブルース歌手ロバート・ジョンソンが十字路で悪魔に魂を売り渡してギター・テクニックを得たという噂のように、社会規範からはみ出した驚異的なものや異質なものには、悪魔というひとつのレッテルを貼ることで社会の安心を得ようとする、いわば魔女狩り的な心理が働く。青少年がこぞって聞くレッド・ツェッペリンにもまた、こうした社会的な心理が働いたのだともいえるだろう。
『2007年ロンドンThe O2アリーナでの再結成ライブ』
解散後も、1985年<ライブ・エイド>でフィル・コリンズがドラムに入った3人のパフォーマンスの他、ボーナムの息子ジェイソン・ボーナムが参加してのレッド・ツェッペリン名義のパフォーマンスは何度か行われていた。しかし、特筆すべきは2007年に行われた再結成ライブであろう。これはアトランティック・レコード創始者アーメット・アーティガンへのトリビュート・ライブで、一夜だけレッド・ツェッペリンが再結成するというものだった。
ドラマーには、もちろんジェイソン・ボーナム。全世界のファンが熱望した再結成ライブの一夜に、2,500万人の応募者が殺到、抽選で2万人の幸運なファンだけがこのライブを見ることができた。しかも当選者がチケットを購入する手続きが非常に面倒であったため、日本人でもこの再結成ライブを見ることができた人は相当少ないはずだ。当選ナンバーを入手すると、web上でチケット決済の手続きを行い、コンサート前日に会場のO2アリーナへ本人が出向き、身分証明書と購入時のクレジットカードを提示後初めて、チケットを受け取ることができ、リストバンドを腕につけられる。チケットを持っていてもリストバンドを外すとそこでチケットも無効となる。このようにダフ屋排除の徹底した複雑なチケット管理を行われた。
肝心のライブは、数週間に及ぶ入念なリハーサルが行われた用意周到なものだっただけに、誰もがこのまま再結成するのかと思ったほどの大好評であった。特に、若くエネルギッシュなジェイソンの活躍ぶりに評価が高く、映画『狂熱のライヴ』で見た子どもの彼の姿を知っている往年のファンには、感極まるものがあったようだ。実際、この年齢になったメンバーがいまプレイする演奏は、往年とはまったく異なった渋みや味わいが深く滲み出ており、1曲1曲が実に深い表現力へと昇華していた。プラントは、「天国への階段」を歌い終わると、「Hey! Ahmet, We did it !」と叫んだという。
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