Dirty Old Men、未来へとつながるものを求め辿り着いた入魂の最新作『doors』大特集

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Dirty Old Men、未来へとつながるものを求め辿り着いた入魂の最新作『doors』大特集

INTERVIEW

──SHIBUYA wwwのライヴは、言葉にならない想いがステージから溢れているようでしたね。すごい熱量でした。

高津戸信幸(以下、高津戸):バクバクの緊張だったんですけど、ステージに立ったら、その緊張を越えて楽しくなってきまして……(笑)。お客さんが温かかったですよね。

──Dirty Old Menのことを待っていたのが伝わったよね。

高津戸:はい。ただただ楽しかったです。終わったあとバンドのみんなで初めてハイタッチをしました。「やろう!」って感じじゃなくて、「ヨッシャ!」って体が勝手に動いたという感じで。もう日が経ってるので、反省すべき点もあったなと凹むこともあるんですけど、その時は「最高のライヴをやってやったぜ!」みたいな気持ちだったし、嬉しかった。

──その嬉しい気持ちは伝わってきました。特に本編の最後のほうの「スターチス」の前のMC。

高津戸:一応、何を話そうか考えてましたが、実は準備したのとまったく違ってて(笑)。せっかくオープニングにもカッコ良い映像を作ってもらったから、スマートにオシャレに行こうかなと思ったのに。今、録音したものを聴き直すと、「言い過ぎだろ!」ってツッコミ入れたくなりますね(笑)。

──でも、それくらい思いが溢れていたということですよね。

高津戸:本当にまたステージに立てることが嬉しかったから。MCでも言ったけど、その日を迎えられたことが、目が醒めたそのときから感動だったんです。メンバーが決まってから、いろんなスタッフさんがすぐに動いてくれて、個人的に引っ越しをしたりして新生活もはじまり、本当にめまぐるしかった。14日の朝、「うわぁっ、今日が来たんだ。しかも間に合わないと思ってたけど間に合ったゼ!」みたいな。ステージに立ったら、急に決まったライヴだったのにお客さんもたくさん来てくれて、スタッフさんもみんないるし、バンド仲間も来てくれて。もう最高に幸せで、ありきたりな言葉だけど「あきらめなくて良かった。続けて良かった」って思いました。辛い日々が走馬灯のように頭をめぐって、「拓実、ありがとな!」って感じで。彼だけでなく、色んな人へのありがとうが凄かったです。

──こんなに嬉しそうな人はいるだろうかっていうくらいの高津戸くんを見ることができて、本当に見に行って良かったなぁと思いました(笑)。

高津戸:良かったぁ(笑)。俺らが辛かったことなんて、ファンの人は知らなくてもいいことじゃないですか。でも、思いを共有したくて話さなくてもいいことまで話しちゃいましたけどね。それを言っても、今は幸せだから、暗くならないかなと思って「話しちゃえ!」ってなったんです。それくらいテンション上がってて。今までで一番テンションが高かったかもしれないですね。だから今、バンドを始めた頃のような気持ちで音楽をやれてます。

──リズム隊がチェンジしたからバンドのグルーヴも新しくなったしね。

高津戸:そうですね。二人とも経験を積んだメンバーだから、もちろん上手いんですけど、色んなバンドを経験しているから、バンドを楽しくやるコツみたいなのも知ってるんですよ。だからスタジオ内でもすごく楽しいんですよ。そんなに時間もかからず、僕らのグルーヴがもう出来ていっている感じなんです。

──岡田くんのドラムはただリズムを刻むのではなく、リズムが唄っているよね。

高津戸:そうなんです。翔ちゃんは本当に歌ゴコロがあるんです。

──実際に歌もうまいですよね。コーラスがすごくいい。

高津戸:はい。声も良くて。ドラムはパワフルなんだけど、ラップもできるんです。もともと、歌や歌詞を大切にするバンドをやりたいと言ってた人だったので、俺の歌に合わせるドラムを叩ける人ですね。

──渡辺くんはメロコア出身のベーシストなんですよね。

高津戸:はい。だからデスボイスとかもやってたから、Dirty Old Menにもデスボイス入れられるかなぁって(笑)。もともとは拓実とバンドを組んでたんです。その時は俺らよりも静かなメロディのある日本語の曲とかやってて、ハードコアも好きで、いろんなバンドを転々としてて。実は(渡辺)雄司とは9年、10年来の付き合いなんです。拓実が入った頃からDirtyに入りたいって言ってくれてたみたいで。その後、雄司と翔ちゃん(岡田)がメロコアバンドを組んでたこともあるから、最初は俺だけ仲間に入れなくて(笑)。今は凄い仲良いですよ。翔ちゃんはムードメーカーで大人で気ぃ使いで。さっきも「取材行ってくるね」ってメールをしたら、「信好き、大好き!信、のぶ~」って返事が来てましたからね(笑)。

──なんなんですか、その付き合ったばかりのカップルのようなメールは!(笑)

高津戸:ホントにそれくらい仲良しなんです(笑)。

──アルバム『doors』では新旧のメンバーがレコーディングしたものが混ざってるんですよね。今後のDirty Old Menは、この作品無しには語れないんでしょうね。辛かったことも嬉しかったこともすべて詰まってるから。

高津戸:そうですね。メンバーが辞める雰囲気というのは9月くらいからあったから、そういう歌詞も多いですよね。前はちょっとファンタジーとして伝えていたことも、震災があったぶん、人とか愛のこともちゃんと自分の言葉で伝えたいという気持ちもありましたし。でも書くと暗くなってしまうんですよね。この気持ちはなんだろうって9月、10月を過ごして。メンバーから辞めたいと言われたときは、まるで恋人にフラれたようになったんです。

──どんな風になったんですか?

高津戸:音楽が嫌いになりそうだったし、自暴自棄になりそうだった。長年共に歩んだメンバーだから、ちゃんと送り出してあげたかったけど、内心は辞めてほしくないという気持ちのほうが強かったんですよね。でも、二人の人生を考えると自分の想いだけを通せない。だから、その葛藤を乗り越えて、雄司と翔ちゃんに出会えたときはすごく嬉しかった。自分の心が大きくなったような気がして、みんな幸せになってほしいと思ったんです。あいつらのおかげで今があるって考えられるようになって、「doors」と「a heart of difference」という曲ができて。あぁ、こういうことを書きたかったんだなって。もちろん、今までのものがダメということじゃなくて、なんか引っかかるものがなかった。それまで感じていた辛い感情も、この曲を書くためのものだったのかなぁって思って、拓実ともそんな話を最近したところなんですけどね。

──アルバムには今に至るまでの心境がポイントポイントでわかるような曲が収録されていますよね。「ふたり」には、拓実くんと二人になった心境がよく出ているし。

高津戸:はい。この曲はメンバーが抜ける頃に書いたんですよ。恋愛の歌詞になってるんですけど、一人じゃ何もできないじゃないですか。拓実がいてくれて「ありがとう」ということをすごい感じたんですよ。

──「言葉探し病」とかもそうですよね。さっき、恋人にフラれたみたいだったって言ってたけど、まさしくそういう心境だったことが歌詞を読んだら本当によくわかります。

高津戸:本当にそうなんですよ。バンドって恋人同士と同じですよね。バンドを抜けるときもそうですけど、「入って」ってお願いしたときも。だから、翔ちゃんも好き好き言ってくれますけど、俺も言うんです(笑)。ハタから見たら気持ち悪いですけど、今は好きなことを言い合って、怒るときは怒るし、気持ちをどんどんぶつけ合ってます。それがこの一ヶ月の間でできているんです。前までのメンバーとはすごく長いだけに、恥ずかしくてなかなか思ったことを言えなかったんですね。変なプライドが邪魔していたというか。そういうこともあったから、今回は思いっきりぶつかろうって思ったんです。好きという気持ちもそう思ったら素直に伝え合う。本当に感謝してるんで。

──距離が近いと言葉にしなくても伝わるんじゃないかという甘えも出て来ちゃうけど、実際は言葉にしないと伝わらないもんね。

高津戸:そうなんです。本当に恋愛と同じですよね。

──アルバムを通して聴くと、高津戸くんは何かを探してますね。

高津戸:一番探しているのは「変わらないもの」ですね。出会いと別れが世の中には多いですよね。出会いと別れによって、どんどん自分の周りの環境が変わって行く。だから、気付くと変わらないものを探しているんですよ。このままで変わらない方法はないのかなって。たぶん、ずーっと探していくんでしょうね。それを使命感にのようにも感じています。歌詞って、空っぽなことだったり、怒りから生まれて来ることも多いから、満たされたらもう曲は生まれないのかなって。だからこそ、そのポッカリ空いた心の中の隙間に少しの幸せが入るから、より幸せを感じて、幸せな曲ができたりしますしね。きっと、みんな辛くて幸せを探してると思うんですよ。俺は雄司と翔ちゃんに出会って幸せを感じて、変わることは悪いことだけじゃないって思えたし。

──ライヴのMCでも言ってましたね。

高津戸:はい。二人が入って、変わろうとしたときは見えない明日にワクワクしてたし、むしろ変わることは楽しいことだって感じたんですよ。探しているうちに、自分の考えと逆の考えが良かったりもして。だからこれからも探し続けていきたいと思っています!

※ライヴの模様は、<ライヴレポート>のページに掲載しています。

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