ネットでバンド・セッション!「Roland MYTRACKs」公開 知らない人とも遠くの友達ともマルチ・トラック・レコーディング

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ローランドは、インターネット上で自由にバンド・セッションやレコーディングが楽しめるサイト「Roland MYTRACKs(ローランド・マイトラックス)を4月25日から公開した。

「Roland MYTRACKs」は、イデアリスタ社が提供している「MYTRACKs(マイトラックス)」のローランド版。オリジナルの「MYTRACKs」は、誰かがアップロードしたパートの演奏に合わせてセッションしたり、その演奏をレコーディングしてほかの人の演奏とミックスしたりといった楽しみ方ができるサービス。そのローランド版となる「Roland MYTRACKs」は、同社製品ユーザーの音楽活動を支援するためにイデアリスタ社と協同で公開されている。

オリジナルの「MYTRACKs」と比較すると、再生音質が128kbps(オリジナル版は64kbps)と高音質になっているのがポイント。これは、ローランド製品のクオリティの高さを十分に楽しめるようにとのうれしい配慮だ。会員登録すれば、インターネット上に演奏データをレコーディングすることが可能。さらにローランドの製品登録ユーザーは、パソコン本体にデータを保存できる専用アプリケーション・ソフトを無償ダウンロードでき、セッションがより快適になるだけでなく、自分の演奏を「SONAR(ソナー)」などのDAWソフトと連携して活用することが可能になるという。楽器プレーヤーには非常に魅力的に思える「Roland MYTRACKs」。さっそく試してみた。

■ブラウザでアクセス、有名曲でセッション!

「Roland MYTRACKs」を楽しむために必要なのは最低限パソコンとウェブブラウザソフト(要Flash)。特別なアプリケーションをインストールすることなく、会員によりアップロードされた楽曲を聴くことができる。アップロードされた楽曲は、再生数や新着順などでリストアップできるのだが、そこにはDEEP PURPLEやアジカン、AKB48、YMOなど、J-POPから洋楽、アニソンまで新旧さまざまなジャンルの曲が並ぶ。幅広い年代層に受け入れられそうなラインナップが揃っているのだ。ここで気づく人も多いだろうが、「Roland MYTRACKs」はJASRAC管理楽曲を使ったセッション、レコーディングが可能(逆に現時点ではオリジナル楽曲での利用はできない)。インターネットでコピーバンドができるというわけだ。



アップロードされた楽曲は、ギター、ベース、ドラムなど各パートごとに録音されており(トラックと呼ばれる)、同じ楽曲のものであればそれらパートを好きに選択、組み合わせていっしょにセッションできる。こうして自分が演奏したパートを自由に加えられるのが、本サービスの醍醐味。たとえば、自分がお気に入りの楽曲を使ったトラックを見つけたとしよう。そこには、すでにドラムとベースのパートがある。「じゃあいっちょギターで参加してみるか」といったことが気軽にできるのだ。バンドのメンバーが揃わない、スタジオを押さえるのが面倒、といったコピーバンドにありがちな問題も、「Roland MYTRACKs」なら無縁というわけだ。

演奏したい曲を使ったトラックがアップロードされていない場合も大丈夫。自分が1番目のトラックをアップすればいい。アーティスト名から楽曲を検索して、一からレコーディングを行うことも可能だ。登録アーティストはかなり豊富で、「えっ!こんなアーティストも?」と、驚くはず。


■自分のパートを録音して聴いてもらおう!

録音はパート単位で行う。リアルタイムのセッションではないので、失敗しても他人に気兼ねすることなく、気楽に楽しめるのもメリットだ。ギターなどの録音にはオーディオインターフェースが必要となるが、ローランド製品についてのカンタンなセットアップガイドが用意されているのも「Roland MYTRACKs」ならではだ。ちなみにオーディオインターフェースはローランド製品以外でも使用可能(パソコンの内蔵マイクでもOK)。ただしASIO専用製品は不可のようだ。

なお、DAWソフトのようにソフトウェアによるエフェクターは用意されているわけではないので、必要なら入力段階で別途ハードウェアを利用することになる。ギター録音なら、USBオーディオインターフェース機能搭載のエフェクターやレコーダーといったローランド製品ユーザーであればクリアできるところだろう。


Drums、Bass、Guitar、Vocal、Keyboard、Othersから録音するパートを選択、入力デバイスを選択して、入力デバイスレベルを確認しつつインターフェースを調整すればスタンバイOKだ。ほかにトラックがない状態で、最初のトラックを録音する際に注意が必要なのは、RECボタンを押してから実際に録音が始まるまで数秒かかること。すぐ演奏を開始しても頭が切れてしまうことになる。

録音後は、ほかのトラックといっしょにミックスした状態で再生することになるのだが、これが合わない。自分が録音したトラックが既存のトラックより遅れて聞こえるのだ。これは専用アプリケーションではなく、ブラウザを利用するという仕様によるものと思われる。そこで、設定するのが「タイミング調整」。10ms単位で再生タイミングを前後させることで、ずれを解消できるようになっている。パソコンや使用するインターフェイスなどの環境によって異なるので、最初は試行錯誤が必要になる。そこさえクリアすれば、あとは公開して多くの人に聴いてもらえるようになる。

録音したトラックは公開・非公開が選べるほか、公開時にツイッターでつぶやくこともできる。聴いてもらう機会を増やせるのはもちろん、メンバー間でのやりとりにも重宝しそうだ。

■時間がない社会人こそ注目!

レコーディング中心の短時間での使用で、ファーストインプレッションをお届けすることになったが、ブラウザでのレコーディング自体は思いのほか楽に行えたのが印象的だった。また、まったく知らない人とセッションができるというのも新鮮に感じられたし、多彩なジャンルの曲が著作権を気にすることなく扱えるというのも魅力に思えた。さらに、これまで友人との共同作業でDAWのデータをやり取りしていた人も、この手軽さには驚くはずだ(もちろん、ぜひオリジナル曲の使用も対応してほしいところ)。そして、前述のリアルタイムではないという利点は、忙しい社会人にはとてもうれしいポイントだろう。遠方の友人と「Roland MYTRACKs」バンド活動を再開するなんてシチュエーションも多くなりそうだ。

サービス開始直後とあってか、まだ情報が少なく問題の解決に時間がかかることもあるかもしれないが、自分のスケジュールで作業が進められるのも本サービスのメリット。ぜひ、ゴールデンウィークは、「Roland MYTRACKs」にチャレンジしてほしい。

◆Roland MYTRACKs
開始日:2012年4月25日

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