男前な女性V系バンド、exist†traceが“女子としての夢”を語った
異端――女性だけのヴィジュアル・ロックバンド、exist†trace。ヴィジュアル・ロックに魅せられ、“なぜビジュアル・シーンには女性バンドがいないのか。ならば自分たちが先駆者になろう”という発想からスタートしたこの5人組は、男性バンド顔負けのヘヴィネスと男性には表現し得ない繊細さ、さらには確かな歌唱力・演奏力で、すでに国内外に幅広い支持を獲得。そんな彼女たちが満を持して、5TRACKS CD『TRUE』でメジャー・デビュー! 自らの存在証明を音に刻みながら、今“異端”がメインストリームに斬り込む。
取材・文●赤木まみ
◆メッセージ映像
――活動はもう結構長いんですよね?
ジョウ(Vo):そうですね。2004年に結成しているので、7年になります。
――メンバー全員、昔からヴィジュアル系が好きだったんですか?
ジョウ:もちろん他の音楽も聴いてましたけど、例えば私に関して言うなら、ヴィジュアル系は宝物みたいなものだったんです。というのも、私はそれまで何でも姉の影響を受けていたんですね。姉がJ-POPを聴けば私もJ-POPを聴く、みたいに。でもヴィジュアル系は初めて自分が見つけた音楽で。しかも、ヴィジュアル系って不思議な雰囲気とか音楽性を持ってるじゃないですか。だから宝物のように思えて、これをずっとやっていきたいなって。
miko(G):私にとってもヴィジュアル系は特別でしたね。私の場合は、しばらくアメリカに住んでいた時期があって、向こうでは英語のポップスを聴いてたんですよ。英語で“I love you”って歌われるのは別に気にならないんですが、日本語で“愛してる”とか歌ってる曲はどうも苦手で、日本の音楽ってあんまり馴染めなかったんです。でも日本に帰ってきて、たまたまテレビで流れていたLUNA SEAさんの曲を聴いた時に、他の日本の音楽とは違ったし、“あ、いいな”と思って。それがきっかけで他のヴィジュアル系バンドも聴いてみたら、退廃的な雰囲気があったり、綺麗だったり……そういうところからハマっていった感じですね。
――それで、自分もヴィジュアル系バンドをやりたいと?
ジョウ:はい。女性だけでやりたいなと。“女性だけで”っていうところにこだわりました。やっぱりヴィジュアル系って、男性ばかりの畑じゃないですか。だから、女性だけの方が絶対おもしろいなと思ったので。
――そう……ヴィジュアル系って女性ファンが多いから、その中から女性バンドが出現してきてもよさそうなのに、未だに男性バンドばかりで、それがむしろ不思議ですよね?
ジョウ:それは自分たちも思ってました。なんで女性のヴィジュアル系バンドはいないんだろう?って。J-POPには男性アーティストも女性アーティストもいるし、アイドルだって男女両方いるのに、この畑にはほぼ男性しかいない。でもだからこそ、じゃあ自分たちが先駆者になって変えていこう!と思ったんです。
miko:ただ、最初の頃は結構バッシングも受けましたけど。“なんで女がヴィジュアル系をやってるの?”みたいな。でも逆に、そう言われれば言われるほど、うちは5人とも燃えちゃうタイプなので(笑)。よしっ、どんどん大きくなってやろう!って。
――実際、どんどん支持層を増やしてきて、今じゃ国内はもちろん、海外にも熱狂的なファンが多いんですよね。
miko:おかげさまで、これまでにヨーロッパ・ツアーを2回やったり、今年の4月にアメリカへ行った時も“ずっと待ってた”とみんな言ってくれて、すごく嬉しかったですね。
――そうやって日本の女性が海外でも活躍してくれるのは、頼もしい限りです。でも……ぜひ聴いてみたかったのは、“女性だけのバンド”というところにこだわりつつ、外見はmikoちゃん以外、パッと見、皆さん男らしいですよね(笑)。それは何かこだわりがあって?
ジョウ:いやこれは、自分たちがカッコイイと思う格好を突き詰めていったらこうなった、っていうだけです。
miko:そう、単純にみんな自分の好みの格好をしてるだけなんですよ。だって私、他の4人がスカートはいてる姿とか見たことないですから。
ジョウ:うん、私、スカート持ってないし。
――スカートは1枚も持ってない?
ジョウ:冠婚葬祭の服ぐらい(笑)。
miko:だから意識してっていうよりは、これが自然なんです。逆に、全員がスカートっていう方が、無理することになると思う。
ジョウ:あ~、それは無理! 全員スカートとか、絶対無理!(笑)
――(笑)ちなみに普段の会話は? 会話もガールズ・トークみたいなものとは無縁?
ジョウ:たまにスイーツの話とかすると、“あ、自分たちもちゃんと女の子の部分を持ってるんだ。よかった”とか思いますけど(笑)。ガールズ・トークみたいなのは……何話すんだろう?みたいな(笑)。
miko:恋愛の話とかもしないしね。たいてい“あのバンド、カッコイイよね”とか、音楽の話をしてて。たぶん、一般女子の会話とは違うかも。
ジョウ:だいたい、一般女子がどういうものかもよくわからない(笑)。
――でも聴いたところによると、ジョウさんはキティちゃんが好きなんだとか。
ジョウ:あ、そういうギャップはそれぞれ持ってると思いますけど(照)。
――ちょっと照れてる感じが可愛いです(笑)。さてそんなexist†traceですけど、6月15日に遂にメジャー・デビューを果たしました。デビュー作の『TRUE』は男性バンド顔負けの力強さと女性ならではの繊細さ、そして1曲1曲に世界観がある、スタイリッシュで完成度の高い作品になってますよね。ここに収録されている5曲は書き下ろしですか?
miko:全部書き下ろしです。今回、このCDを作るために20曲ぐらい書いて、その中から今一番いいと思える5曲を厳選しました。
――タイトル・チューンでもある「TRUE」は、ヘヴィネスと疾走感がギュッと凝縮された男前な曲で。
miko:これは“メジャー第一弾”っていうことを意識して、自分たちがどういう気持ちでやっていこうとしているのかを書きました。自分たちは自分たちの意志を貫いていく、だから聴いてる人も自分の芯を貫いてほしい、という想いを込めてますね。
――2曲目の「本能」は間奏の歪んだ世界観もカッコイイし、3曲目の「常闇の夜明け」は人間の内面を見つめたずっしりしたメッセージが伝わってきます。
ジョウ:「常闇の夜明け」は乙魅(G)が震災の後に書いたんですけど。今はつらくて泣くしかない状態でも、この暗闇は必ず明けるからっていう想いを伝えたくて書いたみたいです。もちろん被災者の方だけじゃなく、心に傷や闇を抱えている人に伝えたいっていう想いがあって。私も1人1人に届けるようなつもりで歌いました。
――かと思えば、「KISS IN THE DARK」のようなシャッフル・ビートの華やかな曲もあり。この歌詞はなんと、女の子のピエロがお客の女性に恋をするという。
miko:女の子同士の恋だとか、そこはあんまり重要じゃないんです。曲ができた時、ピエロが身分の違う華やかな女性に恋をするっていう絵しか浮かばなかったんですよ。
ジョウ:最初に聴いた時はビックリしました。シャッフルの曲も今までにはなかったし、歌詞も“なんじゃこれ!?”と思って(笑)。でも、すごくいい曲だったのですぐ好きになって。で、この曲のコーラスはmikoがやってくれたんですけど、頑張って張り上げてる声がすごくイヤラシくて。
miko:やめて~!(笑)
ジョウ:そのエロいコーラスが入った時、この曲は大成功だなって確信しましたね(笑)。
――じゃあ、エロいコーラスも聴き逃すなと(笑)。そして「自由の空、地上の歌」は切なくも凛とした前向きさが伝わってくる曲で……5曲まったく違うタイプの曲がそろいましたね。
ジョウ:そうですね。本当に5曲5様。でも今のexist†traceが100%出せたし、ある意味自己紹介のような、名刺代わりの1枚になったと思います。初めて聴いた人にとってもヴィジュアル・ロックの見方が変わるような音楽になっているはずなので、ぜひ聴いてほしいですね。
――ここからまた新たな始まりですけど、バンドとしての夢や目標はありますか?
ジョウ:目標としては、世界中の老若男女に聴いてもらえる音楽を作っていきたいし、大きなことを言ってしまえば、イグ(=exist†trace)の音楽で世界が1つになったらいいなって。あと他には、イグを遊園地みたいなワクワクするバンドにもしたいと思ってます。いろんな乗り物があって、最後はパレードを見て帰るような、そんな一人一人が楽しめるようなバンドにしたいなと。
miko:私は、“exist†traceがロックの歴史を変えたよね”って言われるようになりたいです。私たちが死んだ後も誰かがexist†traceに憧れてバンドを始めたり、ロックの歴史を見た時に“ここにexist†traceがいたから流れが変わったよね”って言われるようなバンドになりたい。
ジョウ:それでこそexist†trace(=存在の痕跡)ですからね。
――おお、なるほど! では余談だけど、女子としての夢はある?
ジョウ:女子としては……いずれ子供を産みたい。それこそ自分の生きた痕跡になるじゃないですか。
miko:私も同じですね。人間として、いずれ子供を産みたい。祖先がいて、自分がいて、この先やらなきゃいけないのは、その跡を残していくことかなって思うんです。でも当分、そういう予定はないですけど(笑)。
メジャー・デビュー第一弾
5 TRACKS CD
『TRUE』
2011年6月15日発売
1. TRUE
2. 本能
3. 常闇の夜明け
4. KISS IN THE DARK
5. 自由の空、地上の歌
【初回限定盤】CD+DVD
TKCA-73640 ¥2,500(tax in)
[DVD]「TRUE」Video Clip+SPECIAL MOVIE
【通常版】CDのみ
TKCA-73644 ¥1,995(tax in)
<NEXT ONE MAN SHOW>
11月9日(水)代官山UNIT
open 18:30/start 19:00
前売¥3,000
9/24(土)~チケット一般発売開始
(問)ディスクガレージ:03-5436-9600(平日12:00-19:00)
DISK GARAGE『GET TICKET』チケット先行受付開始!
【受付期間】 6/18(土)21:00~6/30(木)23:00
【受付URL(PC・携帯共通)】 http://www.getticket.jp/g?t=psvsxiq
◆イベント出演スケジュール
<HMV presents「IRON ANGEL LIVE -Next Blaze-」>
●7月29日(金)名古屋ell.SIZE
チケットぴあ:0570-02-9999(P:142-490)
ローソンチケット:0570-084-004(L:43072)
(問)ell.SIZE:052-211-3997
●7月31日(日)大阪RUIDO
チケットぴあ:0570-02-9999(P:142-498)
ローソンチケット:0570-084-005(L:54294)
e+
(問)RUIDO:06-6252-8301
●8月5日(金)渋谷Starlounge
ローソンチケット:0570-084-003(L:72408)
e+
(問)Starlounge:03-6277-5373
●8月24日(水)仙台HooK
ローソンチケット:0570-084-002(L:22472)
e+
(問)HooK:022-716-8633
open 17:00/start 17:30
前売り¥2,500/当日¥3,000
※各会場にて「直筆サイン プレゼント会」実施
http://www.hmv.co.jp/news/article/1106030050
◆exist†traceオフィシャル・サイト
◆exist†traceマイスペース
◆BARKS ヴィジュアル系チャンネル
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