まろやかで円熟したダンディズム、ブライアン・フェリーのパフォーマンス

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ボブ・ディランのカヴァーを集めた『Dylanesque』(2007年)以来3年ぶり、オリジナル・アルバムとしては2002年の『Frantic』以来8年ぶりとなる新作『Olympia』をリリースしたブライアン・フェリーが、10月26日、ロンドンのギャラリーでスペシャル・パフォーマンスを行なった。

◆ブライアン・フェリー画像

ウェアハウスのように広く、ギャラリーというよりちょっとした美術館のような会場。オーディエンスもスーツ姿の男性やモデルばりの美女が多く、フェリーにピッタリなアーティでゴージャス、落ち着いた雰囲気の中、アルバムのジャケ写となったケイト・モスの写真に囲まれた一角にステージが設置された。

6曲30分弱という短いセットではあったが、フェリーはフルバンド、バック・ヴォーカリスト、2人の女性ダンサーを従えて登場。『Olympia』のオープニング・トラックでもある、大人のダンス・ソング「You Can Dance」でパフォーマンスがスタートした。

ピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモア、ユーリズミックスのデイヴ・スチュワート、レディオヘッドのジョニー・グリーンウッド、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリー、ストーン・ローゼズ/プライマル・スクリームのマニほか、ロキシー・ミュージックのフィル・マンザネラ、アンディ・マッケイ、さらにはブライアン・イーノまでが参加した『Olympia』は、「豪華絢爛なサウンド、物憂げでセクシーなバラード、マスター・オブ・ダンディズム」など高い評価を受けている。

観客の中にはリッチでダンディな御仁の姿も少なくなかったが、やはりダンディという点でこの人にかなう人はいない。そして65歳にして、これだけセクシーで気だるく甘いダンス・ミュージックを作れるのも、彼をおいていないだろう。

ラストには34年前にリリースされたアルバム『Let's Stick Together』に収録されたタイトル・トラック(ウィルバート・ハリソンのカヴァー)がプレイされたが、こちらも寝かせたワインのようにまろやかで円熟したテイストになっていた。

この夜のセットリストは以下の通り。

・You Can Dance
・Alphaville
・Heartache By Numbers
・BF Bass (Ode To Olympia)
・Shameless
・Let's Stick Together

Ako Suzuki, London
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