エスキモー・ディスコ、際立つその個性の秘密
グラストンベリー・フェスティバルでライブ・デビューし、ファーストシングル「7-11(セブン・イレブン)」のPVが話題のエスキモー・ディスコ。
バンド名通りのディスコ・サウンドに80'sテイストなメロディ、そしてスタジアム・ロックにも通じるスケールのデカいポップ感。UKから発信されるロックとダンス・ミュージックのミクスチャー・サウンドの中でも、明らかに際立つその個性の秘密とは? 未知に溢れたその魅力の一端に触れる。
◆「7-11」
https://www.barks.jp/watch/?id=1000021215
◆「PICTURE PERFECT」
https://www.barks.jp/watch/?id=1000021216
◆「MISSION CONTROL」
https://www.barks.jp/watch/?id=1000021217
──まず、3人が知り合った時のことを教えてください。
エスキモー・ディスコ:2000年を過ぎた頃には僕らはみんなイギリスのインディー・ミュージック・シーンに辟易するようになってしまって、ダンス・ミュージックをよく聴くようになっていたんだ。ライブハウスより、クラブに行く人の方が全然多くなっていたし、それにカワイイ女の子もクラブに多いからね(笑)。
それぞれがロンドン東部のクラブやパーティーでDJをするようになっていた。三人はクラブ・ミュージックとロックをクロスオーバーさせたサウンドをつくろうと一緒にさまざまな試みをするようになってね。最初、ライブの会場ではオーディエンスからはDJがパーフォーマンスをしているように見られていたんだ。そこでアッパーなダンスビートに、ライブで即興的にいろいろなリフやボーカルをのせて40分のセットをやってみたらすごくうまくいったんだ。
──今回のアルバムを作るにあたっては、どういうヴィジョンがあったんでしょうか?
エスキモー・ディスコ:僕らの好きな音楽を全て盛り込んだ、自分たちにとっての“グレイテスト・ヒッツ”みたいなアルバムにしたかったんだ。70'sロック・サウンド、80'sニューウェイヴ・サウンド、そしてクラフトワークのようなサウンド。どの要素も個性が強かったんだけど、プロデューサーのハワード・グレイ(アポロ440)が、それぞれの良さを引き出しながらモダナイズしてくれたよ。」
──単にDJがフロアでかけて踊らせるためのダンス・ミュージックとは違い、ESKIMO DISCOの音楽にはファンタジックなテイストがありますよね。そういうものを作ろうという意図はどういうところから生まれたもの?
エスキモー・ディスコ:僕たちの音楽をそういうふうに言ってもらえるのは嬉しいよ、ありがとう。もともと僕たちの曲は、まずギターやピアノで旋律などの骨格をつくることで作品の精神的な部分を形作ってから、聴いたときに楽しめるようなダンス・フィーリングをそれに加えていくんだ。そういった過程が聴く人によってはファンタジックに受け止められる何かを生み出すのかもかもしれないね。
──楽曲の制作にあたっての3人の役割分担は?
エスキモー・ディスコ:リアムがボーカルとキーボード、トムがドラム、パーカッションとバック・コーラス、そして僕(スコット)がボーカルとベースという基本的な役割はあるんだけど、作曲は3人で一緒に行うんだ。3人でまずデモを作成してそれをライブでどうやって演奏するかを考えてゆく。3人ですべてのサウンドをコントロールしなくちゃいけないから、時々3人それぞれがどのサウンドを出すのかってことで苦労することもあるんだよ。だからツアーには細々した機材をたくさん持って行くことがあるんだ。
──グラストンベリー・フェスティバルへの出演や、アークティック・モンキーズをはじめとした数々のバンドのツアーサポートでライブ活動をやってきましたが、それによって得たものは? もっとも印象的なエピソードはどんなものがありますか?
エスキモー・ディスコ:ライブをやっていて素晴らしいと思う事は、自分たちの音楽に対してのオーディエンスの反応が直に感じられるという事。それから、いろんな行ったことの無い場所で新しい物事に出会えるということかな。グラストンベリーでは週末の間に3回別々のステージでライブをやったんだけど、最後のライブの一番最後の曲で、シザー・シスターズが飛び入りしてきて「Take Your Mama Out」を一緒に演奏したんだ。楽しかったね。
──デビュー・シングル「7-11」はピングーのミュージック・ビデオとともに大きな評判を集めましたけれど、その反響はどう捉えていました?
エスキモー・ディスコ:多くの人たちが僕らの曲とそのビデオを気に入ってくれたのは素直に嬉しかったよ。あれ程の反響を集めるとは思いもしていなかったけけどね。
──デビュー・アルバム『ROBOTS AND LAPTOP DANCERS』は、単にダンサブルでポップなだけじゃなく、コンセプチュアルな世界観のある一枚だと思います。1曲目の「Live On Mars part1」をはじめ“宇宙”をイメージさせる楽曲も多いですが、そういうアルバムを作ろうと思ったのは何故?
エスキモー・ディスコ:クラフトワークのようなバンドがエレクトロ・ミュージックをつくりはじめた頃、彼らも未来感を表現するメディアとして音楽をつくっていたと思うんだ。2000年頃には誰もがカプセルのような家に住んで、ロボットと暮らしているような未来感をね(笑)。実際、現在はそういう風にはなっていないんだけど、僕はそういったファンタジックなイメージが大好きで、僕らの世代においてのスペーシーなロボット・ミュージックをつくりたいと思っているんだ。2030年くらいにはみんながロボットとカプセルのような家に暮らしているかな?
──また、サウンドは80sのアリーナ・ロックのテイストとKRAFTWERK~DAFT PUNK~JUSTICEにいたるエレクトロのテイストが融合して、独特のポップに結実していると思います。こういうサウンドのアイディアはどういうところから生まれてきたもの?
エスキモー・ディスコ:それはプロデューサーのハワード・グレイの貢献もあると思うよ。僕らが最初デモの作成する段階では、楽曲はかなりエレクトロなテイストで、それをライブで演奏する時になると今度はロック/パンク色が強くなる。だからアルバムのレコーディングにあたっては、その二つの要素をうまくまとめていく必要があったんだ。それで僕らはハワードにプロデュースを依頼したんだよ。彼は1980年代からプロデューサーとして有名だった。U2やシンプル・マインズ、UB40といったアーティストと仕事をしてきていて、1990年代にはアポロ440を結成して活動していた。彼だったら僕らの意図しているサウンドを明確に理解して、さらに新しい何かをもたらしてくれると思ったんだ。
──自分たちが曲を作るうえで心がけているもの、守ってるルールみたいなものはある?
エスキモー・ディスコ:ただ一つの決め事といえば僕らみんなが曲が完成した時、その曲について盛り上がっている事くらいかな。過程は重要じゃない。1日で1曲が完成する事もあれば、6ヶ月かけて1曲をつくり上げることもあるんだ。
──ここ数年UKではニューレイヴのムーヴメントが吹き荒れましたよね。僕自身はESKIMO DISCOのサウンドはある意味それとは関係ないものだとは思うんですが、3人はブームをどう見ていた?
エスキモー・ディスコ:ニューレイヴなんて、レコード会社が本当の曲をつくることが出来ないバンドの曲を売るためにつくりあげたジャンルだよ。長続きはしないよね。
──将来的にはESKIMO DISCOをどういうバンドにしていきたいと思っている?
エスキモー・ディスコ:まずは出来るだけ多くの場所で、たくさんのオーディエンスの前で演奏して、多くの人達に会って、アルバムを買ってくれた人達と一杯飲んでありがとうって言いたいね。その後はスタジオに戻って次のアルバムに向けての作業だ。次作についてはまだ秘密なんだけど、ひとつだけ言えるのは、僕たちは映画『トロン』を題材にした32分の曲に着手しているってことだね。
interview & text by tomonori shiba
バンド名通りのディスコ・サウンドに80'sテイストなメロディ、そしてスタジアム・ロックにも通じるスケールのデカいポップ感。UKから発信されるロックとダンス・ミュージックのミクスチャー・サウンドの中でも、明らかに際立つその個性の秘密とは? 未知に溢れたその魅力の一端に触れる。
◆「7-11」
https://www.barks.jp/watch/?id=1000021215
◆「PICTURE PERFECT」
https://www.barks.jp/watch/?id=1000021216
◆「MISSION CONTROL」
https://www.barks.jp/watch/?id=1000021217
──まず、3人が知り合った時のことを教えてください。
エスキモー・ディスコ:2000年を過ぎた頃には僕らはみんなイギリスのインディー・ミュージック・シーンに辟易するようになってしまって、ダンス・ミュージックをよく聴くようになっていたんだ。ライブハウスより、クラブに行く人の方が全然多くなっていたし、それにカワイイ女の子もクラブに多いからね(笑)。
それぞれがロンドン東部のクラブやパーティーでDJをするようになっていた。三人はクラブ・ミュージックとロックをクロスオーバーさせたサウンドをつくろうと一緒にさまざまな試みをするようになってね。最初、ライブの会場ではオーディエンスからはDJがパーフォーマンスをしているように見られていたんだ。そこでアッパーなダンスビートに、ライブで即興的にいろいろなリフやボーカルをのせて40分のセットをやってみたらすごくうまくいったんだ。
──今回のアルバムを作るにあたっては、どういうヴィジョンがあったんでしょうか?
エスキモー・ディスコ:僕らの好きな音楽を全て盛り込んだ、自分たちにとっての“グレイテスト・ヒッツ”みたいなアルバムにしたかったんだ。70'sロック・サウンド、80'sニューウェイヴ・サウンド、そしてクラフトワークのようなサウンド。どの要素も個性が強かったんだけど、プロデューサーのハワード・グレイ(アポロ440)が、それぞれの良さを引き出しながらモダナイズしてくれたよ。」
──単にDJがフロアでかけて踊らせるためのダンス・ミュージックとは違い、ESKIMO DISCOの音楽にはファンタジックなテイストがありますよね。そういうものを作ろうという意図はどういうところから生まれたもの?
エスキモー・ディスコ:僕たちの音楽をそういうふうに言ってもらえるのは嬉しいよ、ありがとう。もともと僕たちの曲は、まずギターやピアノで旋律などの骨格をつくることで作品の精神的な部分を形作ってから、聴いたときに楽しめるようなダンス・フィーリングをそれに加えていくんだ。そういった過程が聴く人によってはファンタジックに受け止められる何かを生み出すのかもかもしれないね。
──楽曲の制作にあたっての3人の役割分担は?
エスキモー・ディスコ:リアムがボーカルとキーボード、トムがドラム、パーカッションとバック・コーラス、そして僕(スコット)がボーカルとベースという基本的な役割はあるんだけど、作曲は3人で一緒に行うんだ。3人でまずデモを作成してそれをライブでどうやって演奏するかを考えてゆく。3人ですべてのサウンドをコントロールしなくちゃいけないから、時々3人それぞれがどのサウンドを出すのかってことで苦労することもあるんだよ。だからツアーには細々した機材をたくさん持って行くことがあるんだ。
──グラストンベリー・フェスティバルへの出演や、アークティック・モンキーズをはじめとした数々のバンドのツアーサポートでライブ活動をやってきましたが、それによって得たものは? もっとも印象的なエピソードはどんなものがありますか?
エスキモー・ディスコ:ライブをやっていて素晴らしいと思う事は、自分たちの音楽に対してのオーディエンスの反応が直に感じられるという事。それから、いろんな行ったことの無い場所で新しい物事に出会えるということかな。グラストンベリーでは週末の間に3回別々のステージでライブをやったんだけど、最後のライブの一番最後の曲で、シザー・シスターズが飛び入りしてきて「Take Your Mama Out」を一緒に演奏したんだ。楽しかったね。
(C)The Pygos Group 2006 |
エスキモー・ディスコ:多くの人たちが僕らの曲とそのビデオを気に入ってくれたのは素直に嬉しかったよ。あれ程の反響を集めるとは思いもしていなかったけけどね。
──デビュー・アルバム『ROBOTS AND LAPTOP DANCERS』は、単にダンサブルでポップなだけじゃなく、コンセプチュアルな世界観のある一枚だと思います。1曲目の「Live On Mars part1」をはじめ“宇宙”をイメージさせる楽曲も多いですが、そういうアルバムを作ろうと思ったのは何故?
エスキモー・ディスコ:クラフトワークのようなバンドがエレクトロ・ミュージックをつくりはじめた頃、彼らも未来感を表現するメディアとして音楽をつくっていたと思うんだ。2000年頃には誰もがカプセルのような家に住んで、ロボットと暮らしているような未来感をね(笑)。実際、現在はそういう風にはなっていないんだけど、僕はそういったファンタジックなイメージが大好きで、僕らの世代においてのスペーシーなロボット・ミュージックをつくりたいと思っているんだ。2030年くらいにはみんながロボットとカプセルのような家に暮らしているかな?
──また、サウンドは80sのアリーナ・ロックのテイストとKRAFTWERK~DAFT PUNK~JUSTICEにいたるエレクトロのテイストが融合して、独特のポップに結実していると思います。こういうサウンドのアイディアはどういうところから生まれてきたもの?
エスキモー・ディスコ:それはプロデューサーのハワード・グレイの貢献もあると思うよ。僕らが最初デモの作成する段階では、楽曲はかなりエレクトロなテイストで、それをライブで演奏する時になると今度はロック/パンク色が強くなる。だからアルバムのレコーディングにあたっては、その二つの要素をうまくまとめていく必要があったんだ。それで僕らはハワードにプロデュースを依頼したんだよ。彼は1980年代からプロデューサーとして有名だった。U2やシンプル・マインズ、UB40といったアーティストと仕事をしてきていて、1990年代にはアポロ440を結成して活動していた。彼だったら僕らの意図しているサウンドを明確に理解して、さらに新しい何かをもたらしてくれると思ったんだ。
──自分たちが曲を作るうえで心がけているもの、守ってるルールみたいなものはある?
エスキモー・ディスコ:ただ一つの決め事といえば僕らみんなが曲が完成した時、その曲について盛り上がっている事くらいかな。過程は重要じゃない。1日で1曲が完成する事もあれば、6ヶ月かけて1曲をつくり上げることもあるんだ。
──ここ数年UKではニューレイヴのムーヴメントが吹き荒れましたよね。僕自身はESKIMO DISCOのサウンドはある意味それとは関係ないものだとは思うんですが、3人はブームをどう見ていた?
エスキモー・ディスコ:ニューレイヴなんて、レコード会社が本当の曲をつくることが出来ないバンドの曲を売るためにつくりあげたジャンルだよ。長続きはしないよね。
──将来的にはESKIMO DISCOをどういうバンドにしていきたいと思っている?
エスキモー・ディスコ:まずは出来るだけ多くの場所で、たくさんのオーディエンスの前で演奏して、多くの人達に会って、アルバムを買ってくれた人達と一杯飲んでありがとうって言いたいね。その後はスタジオに戻って次のアルバムに向けての作業だ。次作についてはまだ秘密なんだけど、ひとつだけ言えるのは、僕たちは映画『トロン』を題材にした32分の曲に着手しているってことだね。
interview & text by tomonori shiba
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