ついにファイナル間近!Dir en grey全米ツアーをレポ

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2月1日、フロリダ州フォートローダーデールで幕を開けたDir en grey史上初の全米ヘッドライン・ツアー、<TOUR07 INWARD SCREAM>もいよいよ終盤。2月23、24日にはロサンゼルス公演が行なわれた。

通算16本目のライヴとなる第一夜の会場は、昨年3月にショウケース・ツアーを行なった際と同じウィルターン劇場。約2,200人を収容する今回のツアー中でも最大規模の会場だが、チケットは前回と同様、早々に完売。24日、会場をハリウッドの“アヴァロン”に移してのライヴはそうした状況に迫られての追加公演でもあった。こちらも結果、ソールドアウトとなっていたことは言うまでもない。

バンド一行が同日午前中に会場入りする頃、すでに周辺は多数の徹夜組を含むファンの行列に取り囲まれていた。なんと先頭グループは3日前から並んでいるという。寝袋とテントがずらりと並ぶ会場前の歩道は、臨時キャンプ場のようなありさまだった。参考までに前日のロサンゼルスは、めずらしく大雨。そんななかで並び続けることは容易ではなかったはずだが、話を聞いてみると誰もが“雨なんか気にならないぐらいDir en greyが好き。何がなんでもいちばん前で観たい!”と元気いっぱい。

事前には地元の有力紙『ロサンゼルス・タイムズ』が丸々1ページを割いて“DIR EN GREYがアメリカの好奇心を直撃中”といったニュアンスの特集記事を展開。情報誌の”『L.A.WEEKLY』も“週末のおすすめライヴ”としてDir en greyを大きくとりあげていた。そうしたメディアからの反応の良さについては地元のプロモーターたちも“期待していた以上の成果”と表情をほころばせていた。

2本のライヴの内容については、あまりこの場では詳しく述べずにおきたい。実際、演奏楽曲のラインナップなどについては、サプライズ曲が飛び出すことや意外な構成が組まれることもあるにはあったが、基本的には昨年11~12月に行なわれた国内ツアーと重なる部分も大きかった。が、明らかに何かが違う。それが何なのかを具体的に言うことは難しいが、ツアーそのものが転がり続け、楽曲そのものが成長を遂げてきたからこその、きわめてポジティヴな兆候と成果が感じられることは間違いない。

3月10日には、幕張メッセ・イベントホールを皮切りにいよいよ国内ツアーが開始されることになるが、2月7日に発売された最新アルバム『THE MARROW OF A BONE』の楽曲たちのいくつかは、すでに次段階への進化の過程に進みつつある。

アルバム発売当月であり、蛇足ながらメンバーたちの誕生日も集中するこの2月。そのほぼ1ヵ月間を通じて彼らが日本に不在だったことは、日本のファンにとってはあまり歓迎したくない現実だったかもしれない。が、彼らがこのツアーで得た収穫の大きさを、誰よりも先に日本のファンが、これからの全国ツアーのなかで体感することになるのである。ことにツアー初日の幕張メッセ公演は、他の会場とは規模が違うこともあり、そこでしか味わうことのできない何かが間違いなく用意されているはず。これまでに彼らのライヴに足を運んだことのない人たちにも、Dir en greyを体感する絶好の機会になるはずだ。

ロサンゼルスでの2公演では、現地の熱心なファンのみならず、日本から駆けつけたファンの姿も見られた。終演後、自身も音楽の道を志しているという23歳の男性に感想を求めると、次のような答が返ってきた。

“いつか絶対に海外で彼らを観たいと思っていたし、しかもロサンゼルスなら音楽面で吸収できることもあるんじゃないかと思ったので、思い切って来てしまいました。ライヴはとにかくすごかった。何かが違うんですよね。普段から彼らのライヴを観られるわけじゃないこっちのオーディエンスの“熱さ”も感じましたし、モッシュとかが起こっちゃうのもアメリカっぽいですよね。改めてすごく刺激をもらったし、自分でもいつかDir en greyみたいな活動ができるようになりたい”

最後にひとつだけ付け加えておくと、“アヴァロン”での公演当日はShinyaの誕生日でもあり、終演後の楽屋はオープニング・アクト2組のメンバーたちや関係者、わざわざ駆けつけてくれた所縁深い地元ミュージシャンたちも交えながらのパーティーでにぎわった。そしてそれから数時間後、ふたたび彼らはツアー・バスに揺られ、今回のツアーの最終公演地であるサンフランシスコへと向かった。2月25日、“フィルモア”でのファイナル公演についても、可能な限り最速のタイミングでお伝えすることをお約束しておこう。

取材・文●増田勇一
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