【Hotwire Music Business Column】大手レコード会社YouTubeで“儲かる”?

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Warner Music GroupとUniversalの2社が今週発表した売上高によると、音楽業界の不安定で移り変わりの激しいビジネス環境に苦戦中にも関わらず、音楽部門は両社共に黒字となった。

CDの売り上げが緩やかな下落傾向にある中で、デジタルコンテンツ部門が確実な利益を生み出しているのが要因だ。この収益の一部はiTunes、NapsterやRhapsodyを介した楽曲や着メロ配信などのオンライン事業によるもので、その他の収益は訴訟から得たものとなる。

アメリカ人は時に「場合によっては、事前に許可を求めるよりも後で謝罪する方が簡単」というアプローチを取ることがあり、特にオンライン企業がこのビジネス戦略に徹している様に見える。

P2Pファイル交換サービスのKaZaA、動画サイトのYouTube、パーソナル・ネットワーキングサービスのMySpaceらは、他人の著作権付き作品を無断・無料で使用するビジネス・モデルに徹することで人気を拡大させた。紛れもなく違法であるが、ある意味賢いやり方とも言えるのかもしれない。

上で述べた企業や類似企業は、立ち上げ当初は国外に籍を置き(その結果、地元の法律と衝突したが)、わざわざ起訴しても見返りの乏しい赤字零細企業だったために訴訟を免れてきた。しかし最終的にKaZaAは裁判に敗訴、大手レーベルと著作権所有者に10億ドルの賠償金支払いを命じられた。

YouTubeはRIAJ(日本レコード協会)訴訟などを初めとする多くの訴訟を抱え、一時期はその対応のために100人余りのスタッフが法律部門に在籍していた。YouTubeとMySpaceはサイトへの膨大なアクセス量を利用して広告収入を得ようと試みたが、やはり最終的には著作権所有者の要求に応じることを余儀なくされた。

これによって抱えていた訴訟問題の多くは軽減されたが、原告であるレコード会社の側にとっては喜ばしい新たな収入源を与える結果となった。著作権所有者にとってさらにプラスとなるのは、デジタル・デバイスから生まれる新しい利益だ。

携帯音楽プレイヤーのZuneを発売したばかりのMicrosoft社は、Apple社のiPodとの競争力を高めるために、Zuneが1台販売される度に著作権所有者にロイヤリティ料金を支払うことに同意。現在までAppleはその様な方針はとっていないが、著作権所有者と短期間契約を結んでいるため、交渉に応じる必要性が出てくるのは時間の問題だろう。UniversalのCEOは、リリースを控えているエミネム、50セント、マライア・キャリーのニュー・アルバムに加え、携帯電話、Zune、MySpace、YouTubeから得る同社の2007年の売上高は過去最高になるとしている。

キース・カフーン(Hotwire
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