サンディエゴ出身のルイ・ザ・フォーティーンス、妖しいグラム・ロックを大真面目に奏でる彼らを直撃!

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──ブライアンがジェイソン(Vo&G)とマーク(Dr)と以前やっていたバンド、コンヴォイは、今はもう存在しないんですか?

ブライアン:ああ。一言で言えば、メンバーそれぞれに別々の道を歩きはじめる時が来たってことだね。俺達3人はすごく真剣にバンドに取り組んでいたのに、他の2人はそれほどでもなかったんだ。それに俺達はそろそろコンヴォイとは違うことをやりたいと考えていた。そんな風に違うことをやり始めて、そのままずっと来てしまったんだよ。

──このバンドを始めるとき、グラム・ロックをやろうと考えていたんですか?

ブライアン:そういうつもりはなかったよ。って言うか、他人に好かれようが嫌われようが、とにかく自分達がやりたいことをやっていこうってこと以外、特に何も決めていなかったね。その結果、出てきたのが今の音楽なんだ。俺達はAC/DCとかローリング・ストーンズに近いと考えているんだけどね(笑)。

──ああ、今日の出囃子はAC/DCでしたね。

ブライアン:もちろん、デヴィッド・ボウイT・レックスは大好きだけど、自分達がグラム・ロックをやっていると考えたことは一度もない。ローリング・ストーン誌が俺達をグラム・ロックと言って以来、そんな風に言われるようになっちゃったんだ。

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──でも、『ベスト・リトル・シークレット』に収録されている「ペーパー・ドール」や「ア・レター・トゥ・ドミニク」を聴くと、それぞれにデヴィッド・ボウイの「ジーン・ジニー」とT・レックスの「メタル・グルー」の雰囲気を、意識的に狙っているように思えるんですけど。

ブライアン:確かに「ア・レター・トゥ・ドミニク」は、T・レックスの「メタル・グルー」っぽい曲を作ろうと意識したけど、「ペーパー・ドール」が「ジーン・ジニー」っぽいかどうかは分からないな。ただ、さっきも言ったようにT・レックスもデヴィッド・ボウイも大好きだからね。そういう影響はやっぱり、自然に出てきてしまうんだろうね(笑)。「ジーン・ジニー」はすごく大好きな曲だしね。

──『ベスト・リトル・シークレット』は、自分のことをルイ14世だと思いこんでいる誇大妄想狂の男を主人公にしたコンセプト・アルバムだそうですね。

ブライアン:えっと、世の中で言われているコンセプト・アルバムって、実は『ベスト・リトル・シークレット』の前に自主リリースした限定盤のことなんだよ。だから、『ベスト・リトル・シークレット』は、特にコンセプト・アルバムってわけではないんだ。

──あ、そうなんですか。ステージ上のジェイソンのアクションがちょっと芝居がかっているように見えたので、メンバーそれぞれにアルバムのコンセプトに合わせて、何かキャラクターを演じているんだと思っていました。

ブライアン:特にそういうことは考えていないよ。でも、音楽を表現するうえでボディ・ランゲージは欠かせないものだからね。どうしてもアクションが、ちょっと芝居風に大袈裟になるってことはあるかもしれないな。

──「ボール・オブ・トワイン」という曲では、“近頃ラジオから流れてくるくそったれどもは、どいつもこいつも同じ事ばかり歌いやがって”と歌っているんですけど、これは現在の音楽シーンに対する率直な意見なんでしょうか?

ブライアン:もちろん! 現在の音楽シーンは壁にぶつかっていると思うよ。だって、最近のバンドはどいつもこいつも誰かの物真似ばかりで、本当にユニークなバンドっていないと思わないかい?

──たとえば、ブライアンがクズだと思っているバンドって?

ブライアン:まぁ、別に誰だってことないんだけど、強いて言えば、エモやスクリーモの連中かな。自分の失恋ネタだけでアルバム1枚作るなよって言いたいね。誰もそんな他人の泣き言や愚痴を聴きたいなんて思ってないって。そんなの、どこがおもしろいんだよ! 俺はもっと気持ちよくなれる音楽を聴きたいんだ。

──でも、サンディエゴってけっこうエモ系のバンドが多いですよね。

ブライアン:ああ、いっぱいいるよ。お蔭でサンディエゴのミュージック・シーンでは、俺達はほとんど仲間外れにされてきた(笑)。でも、だからこそ、俺達はサンディエゴから出ることができたんだよ。

取材・文●山口智男

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