| ――壮大で深遠で、神聖とも崇高とも言えるシガー・ロスの音楽は、他に類を見ないものですよね。自分たちの音楽にあえて名前を付けるとしたら、そういう言葉になりますか?
ゲオルグ(B):ヘヴィー・メタル(笑)。あまり自分たちの音楽をカテゴライズしたくないし、できないよ。ポップでもロックでもなんでもいいんだ。レコード屋のどこかに陳列されてればね。
キャータン(Key):カテゴライズするのは難しいね。ジャンル分けはできない。壮大とかそういうのは事実としてあると思うけど、ジャンルでくくるのって意味がないよ。“グッド・ミュージック”ってことでいいんじゃないかな。
――何か、すべての生命体が共鳴しているような、人間業を超えた特別な力が宿っているようにも思えるのですが……。
ゲオルグ:特別なものなんかないよ。サウンドには神秘的な要素もあるかもしれないけど、僕らに人間を超えるような力なんかないんだし。
キャータン:神の子? そんなことないって(笑)。僕らはアイスランドの普通の男たちだよ。
――前作は、ダーク・トーンの深く重い美しさでしたが、今回の新作は、そこに光が射したような明るい美しさを放っていますね。
キャータン:そうだね。前作を作ってた時期って、4人とも若くて、いろんなことがすごく怖かったんだ。レコード契約のこととかも。周りの人がみんな信じられないような感じで、誰を見ても疑ってた。でももう、全然そんなことはなくなった。そういうのが作品に反映されてるんだと思うよ。人間として大人になったことが大きいね。
――前作は無題でしたけど、今回はなぜこのタイトルに?
ゲオルグ:タイトルはいつも真剣に考えたことがないんだ。今回も思いつき。メンバーが“Takk”と紙に書いた時に“...”と付けるクセがあるから、それをそのままタイトルにしたんだけど、聴いてくれる人に対して、そして音楽に対して感謝してるっていう意味にも繋がるし、すごく気に入ってるよ。
――この作品で伝えたいのは、どんなフィーリングですか?
キャータン:自分たちが音楽に込めた感情は、決してひとつだけじゃないし、言葉で説明するのはとても難しい。だからリスナーにも、こんなふうに感じてほしいって望むことはできないよ。
ゲオルグ:それぞれが、それぞれに受け止めてくれれば。でも今回はハッピーな気持ちで作ることができたから、希望を与えることはできるんじゃないかな。
取材・文●鈴木宏和
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