【速報】対米同時多発テロにまつわる音楽情報 Vol.13

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【速報】同時多発テロにまつわる音楽情報 Vol.13

大変、痛ましい事件が起こりました。それに伴い、現在アメリカでのコンサート・イベント等のほとんどは、中止、あるいは延期となっています。日本来日公演などに関しましても、情報が入り次第、掲載いたします。

ニュースが入り次第、リアルタイムに更新いたします

●リンプ・ビズキットのFred Durstが“What's Going On”のロック・ヴァージョンを制作中
U2のBonoが企画したチャリティ・レコードで、多くのアーティストが参加したMarvin Gayeの名曲“What's Going On”のカヴァーが10月23日に米国発売されるが、Limp Bizkitのヴォーカリスト、Fred Durstが同曲のロック・ヴァージョンを制作していることを明らかにした。

Limp Bizkitの公式ウェブサイトの日記にDurstが書き込んでいる。
“What's Going On”のJD(Jermaine Dupri)ヴァージョンはみんなもう聴いたと思うけど、実は今、Limp(Bizkit)のJohn(Otto)とSam(Rivers)、Stone Temple PilotsのScott Weiland、KornのHead、U2のEdgeとBono、Jane's AddictionのPerry Farrellとロック・ヴァージョンを作ってるんだ

すげえタイト!! おまけにヘヴィ! 全体的にすごい生々しい感じだ。感想を聞かせてくれよ

彼はレコードの収益が世界貿易センター救済とエイズ・チャリティに充てられることも記している。

またDurstは9月21日(金)に出演して、Pink Floydの“Wish You Were Here”をカヴァーしたテレソンの成功にも喜んでいる。同番組には米国の同時多発テロの被害者と遺族のために約1億5000万ドルの寄付が集まった。
俺は今まで個人的な問題でいろいろと悩んで時間を費やし過ぎてた。でも、世界の状況がどれほど大きなことか気づいてきたんだ
1日1日、呼吸していること、ひとつ1つの感情や、そういったすべてのことをありがたいと思っている。俺たちの新しい世界はわからないことだらけだけど、ひとつだけ確かなことは、俺たちにはお互いがいるってこと。俺は人生っていうものを絶対に信じてる。俺は最近、自分の人生というものへの考えや感覚にすごく敏感になっている。すべての人類がこれを乗り切れると思ってる。少し冷静になって、俺たちにとって人生とは一体なんなのかをもう一度考え直してみるべきじゃないだろうか

●オノ・ヨーコ、ジョン・レノンの平和メッセージを伝える
John Lennonのメッセージ“Imagine all the people living life in peace”がシンプルに記載された1ページ広告が、The New York Times紙の日曜版(9月23日)に掲載された。この広告は匿名で掲載され、写真や企業名は一切記載されておらず、8つの単語のみが記されている。しかしスポークスマンによると今回の広告は、オノ・ヨーコが9月11日に世界貿易センターで起きたテロ事件を受けて、ニューヨーカーに向けて掲載したものであることを認めている。ヨーコが広告に署名をしなかった理由として「名前が載らないほうがより効果的であると彼女が考えたため」だとしている。

またヨーコは、Lennonの曲「Give Peace A Chance」からのメッセージを載せた看板を、Times Squareに立てることも計画しているという。

John Lennonとオノ・ヨーコは、Lennonが'80年12月に彼らのマンションの前で銃で撃たれて殺害された際、ニューヨーク市に居住していた。ヨーコは現在もマンハッタンに居住している。

●デイヴ・コズ、癒しの国歌をサイトで公開
サキソフォニストのDave Kozが9月11日の米テロ攻撃に反応し、“The Star Spangled Banner”のソロヴァージョンをレコーディングした。同曲は彼のサイト、davekoz.comからMP3で無料ダウンロードできる。

サイトには次のように記され、米赤十字社のリンクが張られている。
Dave Kozは先週アメリカを襲ったテロ攻撃で犠牲となった人々と、その遺族に深く哀悼の意を表します。Daveは皆さんのために米国歌のソロパフォーマンスを行ないたいと思います。音楽の癒しの力を信じて……。神が米国を見守ってくれますように

一方、David Benoit、Peter White、Brenda Russellをフィーチャーした『Dave Koz & Friends: A Smooth Jazz Christmas』ツアーの追加日程が発表された。新たに変更された日程は以下の通り(*は新日程)

11月23日 - カリフォルニア州レイクタホー - Hyatt Regency Incline Village
11月24日 - カリフォルニア州エルカホン - East County Performing Arts Center
11月25日 - アリゾナ州テンペ - Red River Music Hall
*11月26日 - カリフォルニア州モンテレー - Hyatt Hotel Regency Ballroom
*11月28日 - テキサス州サンアントニオ -Lila Cockrell Theatre
*11月29日 - カリフォルニア州ウェストレイク - Civic Arts Center
11月30日、12月 1日 - カリフォルニア州セリトス - Cerritos Center For The Performing Arts

12月 2日 - カリフォルニア州ストックトン - The Fox Theatre
12月 4日 - オハイオ州クリーヴランド - Playhouse Square Center/Palace
12月 5日 - インディアナ州インディアナポリス - Murat Center
12月 6日 - オハイオ州コロンバス - Mershon Auditorium
12月 7日 - イリノイ州シカゴ - Chicago Theatre
12月 8、9日 - ジョージア州アトランタ - Robert Ferst Center For The Arts
12月11日 - フロリダ州フォートローダーデル - Broward Center For The Performing Arts
12月12日 - フロリダ州クリアウォーター - Ruth Eckerd Hall
12月13日 - フロリダ州ネイプルス - Philharmonic Center For The Arts
12月14日 - フロリダ州サラソタ - Van Wezel Performing Arts Center
12月15日 - ニューヨーク州ニューヨーク - Beacon Theatre
12月16日 - ペンシルバニア州レディング - Sovereign Center For The Performing Arts
12月18日 - ペンシルバニア州グレンサイド - Keswick Theatre
12月19日 - メリーランド州ボルティモア - Morris A. Mechanic Theatre
12月21日 - ワシントン州シアトル - 5th Avenue Theatre
12月22日 - カリフォルニア州サンフランシスコ - Nob Hill Masonic Center
12月23日 - カリフォルニア州フレズノ - Saroyan Theatre


●ザ・コーリングの“Wherever You Will Go”がテロ事件の影響で人気
The Callingの『Camino Palmero』からの1stシングル“Wherever You Will Go”が先日のテロ攻撃の影響を受け、NYとワシントンD.C.のリスナーの間で反響を呼んでいる。同曲は事件前にすでに何度もエアプレイされていた。ギタリスト/ソングライターのAaron KaminとシンガーソングライターのAlex Bandは、当初の曲の意味が変わっていった様子を次のように語っている。
いとこが死んだんだ。彼は50数年間、彼の妻と一緒に結婚生活を続けていた。それで、彼の身になって考えてみたんだ。50年経って、人を失うってことをさ」とKaminは言う。

Bandはこう付け加える。
……ある意味、彼らと共に行きたいっていう感じかな
それが曲の言おうとしていることなんだ。そういうことだよ

Kaminが続ける。
先日、世界が変わってしまったので、この曲がちょうど現在の状況に適したものになった。今は誰にとってもそういった思いがより強く再燃焼していると思う

Bandは、“Wherever You Will Go”はCHRとModern ACラジオで9月25日(火)にオンエアされるとLAUNCHに語った。Callingは9月25日(火)、Lifehouseと共にNYのIrving Plazaでライヴを行なう。日程は10月1日のペンシルバニア州ウィリアムズポートまで続く。


●スティング、ワイクリフ・ジョン、B.スプリングスティーンらが『America: A Tribute To Heroes』でコメントを述べる
StingWyclef JeanBruce Springsteenらが9月21日(金)に開催された特別イベント『America: A Tribute To Heroes』の出演時にカメラの前で短いメッセージを述べた。

Stingは9月11日のテロ攻撃で亡くなった友人に彼の曲“Fragile”を捧げた。
この曲を火曜日に起きた恐ろしい惨劇の犠牲者のひとり、Herman Sandler氏に捧げます。彼は僕と僕の妻の良き友で、優しい人でした。彼はおそらく彼の生き様と同じように死んでいったと思います。勇敢にも、ほかの人を助けながら……」と彼は語った。

一方、Springsteenは“My City In Ruins”を力強く歌い、生放送の2時間テレソンをスタートさせた。同曲は彼の故郷ニュージャージー州アズベリーパークのことを歌った未発表作で、ニューヨーク市の危機に完全にマッチしていた。Springsteenは「
これは亡くなった兄弟姉妹たちへの祈りです」と述べた。

Fugeesのメンバー、Wyclef Jeanは「
安らかに眠ってください。全ての人に神の祝福がありますように」とジェスチャーを交えた簡単なコメントを言い、Bob Marleyの“Redemption Song”を歌い終えた。

統計によると、約8900万人の米国人が『America: A Tribute To Heroes』を視聴。最初の集計では1億5000万ドル以上の資金が集まっている。


●アラニス・モリセットの“Utopia”が非公式にネットでリリースされる
先日のワシントンD.C.とニューヨークのテロ事件を受けて、Alanis Morissetteの新曲“Utopia”がリリースされた。同曲は現在、Maverick RecordingのAlanis Morissetteのサイトで入手可能。“Utopia”は次期アルバムに収録され、Morissetteは「私自身が体験した悲しみと共に、嘆き悲しんでいる人々に慰めを与えたいという気持ちを分かち合ったもの」とオンラインメッセージに書いている。

彼女はまた、次のように付け加えている。
私は自分を表現する最良の手段である音楽という形を通して、できるだけ多くの愛を与えたかったのです……。4分の曲で私が今、感じていることすべてを表現するのは不可能です。もちろん皆さんの気持ちという、もっと大きなものを表わすことだってできるはずはないのですが、現時点で、もしかしたら皆さんに4分の安らぎを提供できるかもしれないとの思いで、この曲を発表することにしました。私はこの曲が、信じられないような事態に直面したときに誰もが落ち着いて理解し、立ち上がるための情熱的な希望と自己のコントロール、また自尊心に光を与えてくると信じています

彼女はメッセージをこうまとめている。
このテロ攻撃によって自分自身がどうであるか知ることができるのです。テロ事件の反応について決定を下している人々に、人間としての意識と結びつきの力を持って、自己管理と同情を考慮してくれることを願っています

●PJ ハーヴェイがニューヨークをテーマにした新アルバムについての葛藤を語る
PJ Harveyは最新アルバム『Stories From The City, Stories From The Sea』を従えての北米ツアーを先日終えたばかりだが、同時多発テロ事件後のステージ再開は、彼女に複雑な思いをもたらした。高い評価を得ている最新アルバムに収録されている歌詞の多くは、ニューヨークのイメージに根差したもので、Harveyは、9月11日以降に初めてこれらの曲を歌ったときに、これらの歌詞が新たなインパクトを持ち始めたことに気づかされた。

例えば、アルバムの1曲目に収録されている“Big Exit”にはこんな歌詞がある。“I walk on concrete/I walk on sand/But I can't find/A safe place to stand/I'm scared baby/I wanna run/This world's crazy/Gimme' the gun(コンクリートの上を歩く/砂の上を歩く/でも見つからないの/留まっていられる安全な場所が/恐いのよ、ベイビー/走り出してしまいたい/この世界は狂ってる/銃をちょうだい)”。
また、“This Mess We're In”ではRadioheadのThom YorkeがHarveyの書いた歌詞を歌っている。
“Can You hear them?/The helicopters?/I'm in New York/No need for words now(聞こえるかい?/ヘリコプター?/僕はニューヨークにいる/言葉はもう必要ない)”。
そしてゾッとするタイトルの“Kamikaze”(神風)はこうだ。
“Beyond all reason/Beyond all my hopes/The call of duty/Another war zone(まったく理解もできず/すべての望みもむなしく/任務命令がくる/次の戦場へと)”。

Harveyはこう語る。
事件後の初めてのショウで、みんなが“なんてことだ。全部の歌詞が突然、新たに重要な意味を持ち始めてしまった”って言い出したの。まったくそのとおりだわ。何年も前に書いた曲でさえそうなの。だけど、特にニューヨークにいたときやアメリカ滞在中に書いた曲はそう。ニューヨークの特定の場所を思い起こさせるような名称や地名の入っているような曲は当然だしね

Harveyはこれらの曲を演奏しないことも考えたが、すぐに別の考え方をするようになったという。
まあ、これらの曲を本当に演っていていいものかどうか、しばらく真剣に考えたわ。その結果、演るほうを選んだの。なぜなら、ある意味でこういう感情を訴え続けることはすごく大切なことだと思うの。それに、これらの曲で描かれている場所は、私にとっても、その地域の人たちにとっても、今でもすごく大事なことに変わりはないと思うから

Harveyはアルバム『Stories From The City, Stories From The Sea』で、英国の音楽賞である'01年度“Mercury Music Prize”を9月初旬に受賞したばかりだ。この賞は英国内でも最も栄誉ある賞とされている。

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