|
【インタヴュー後半】 ――ちなみに、それ以前っていうのは?
大石大石:もちろん前からお客さんとは向き合ってたんですけど。ただ、例えば泣いてるお客さんがいたとしたら、あぁ泣いてくれてはる、嬉しいなって。“嬉しい”で終わってた気がするんです。でも今回は、それを発見した時に「どうした?」って。そういう語りかけるような感じは、今回のツアーが初めてだったかなぁと。だからその辺はミュージシャンとしてちょっと成長できたかなっていうのもあるし、今後もっと深くみんなの中に入り込んでいきたい、みんなも入ってきてほしいなって。それがこれからの課題にもなりましたね。
――なるほど、収穫の大きいツアーでしたね。で、そんなツアーで初披露された「甘い夜」ですが。これは“夜”と言いつつ、夜の暗やみ感はなく、むしろ全体的にキラキラとした明るさがありますよね。
大石大石:そうですね。何かが始まる歌なので。だから、夜感というより、どっちかって言うとその先の、夜明け感とか朝焼け感の方が強いかもしれないですね。
――しかも、詞もすごく前向きでストレート。
大石大石:はい。僕は今まで詞を書く時って、ちょっとヒネった感じの書き方をすることが多かったんですけど、今回はメロディが呼んだ言葉をそのまま乗せていって。だからその分、わかりやすくて突き刺さりやすい感じになったかなと。
――そうやって書き方を変えたのは、何か心境の変化でもあって?
大石大石:大石:まぁこれまでいろんな曲を書いてきて、その中で見えてきたものも沢山あって。やっぱり素直に出てくる言葉が一番聴いてくれる人に響くんじゃないかと。その辺は川原くんともちょっと話したりして、今回はストレートに書いてみたんですけど。
――あと今回はサウンド的にも、プロデューサー佐久間正英さんと初めて組んで、共同作業をしてますよね。
川原:はい。それは多分“今”だから良かったんだろうなって。つまり、これがデビュー時の何もわかってない頃だったら、佐久間さんにオンブにダッコじゃないですけど、巨匠を前にしてウワ~ッとなってたと思うんですよ(笑)。でも今は……僕らも3、4年やってきて、ある程度いろんなこともわかるようになってきたし、その上で佐久間さんと一緒にできたので、一番いい方向にナビゲートしてもらえたんじゃないかなって。
――しかしそう考えると今はいろんな面で、サウスケにとって何かが変わりつつある時なんですかね? 「甘い夜」自体、新たな始まりを歌ってるし。ネクスト・ステージに突入というか。
大石大石:そうですね。ライヴ・ツアーで全部を見せて、さらに新しいステップへの新曲ということで「甘い夜」を出して、ある意味、節目っていうところはあるかもしれませんね。でもだからこそ、先を見据えると同時に、今まで構築してきたものを見つめ直してたりもしてて。本当に自分が歌いたいものはなんだろうとか、そういうことと向き合ってる真っ最中だったりもするんですけどね。
――ある意味、もう一度、原点に返ってる。
大石大石:そうですね。で最近改めて思うのは、自分達には伝えたい曲があって、伝えたい人がいるっていう。すごく当たり前のことなんですけど、その当たり前のことを心の真ん中に置いて、もっともっと素直な気持ちを出していきたいなって。
取材・文●赤木まみ |
|