■著者紹介 | 高桑 圭 比類なきオリジナリティとポップ・センスに溢れる3ピース・バンド、GREAT3のBass & Vo。最新作『climax』では作詞もバリバリこなし、片寄(Vo)とはまた違う詞世界でスパイスを効かせている。 | | 「climax e.p.」 TOCT-4456 1,100(tax in) 2003年2月26日発売 1. DAN DAN DAN ダン・ダン・ダン 2. Devil's Organ 悪魔のオルガン 3. Haiku 熊穴に入る 『climax』 TOCT-24982 3,059(tax in) 2003年3月26日発売 1. Superstar スーパースター 2. Dummy Oscar 誰かの唇 3. Television 裏切りの男 4. Honey 恋人よ 5. HAIKU 熊穴に入る 6. China Bowie チャイナ・ボーイ 7. Volvox ボルボックス 8. The Thorn 刺だらけの都市 9. DAN DAN DAN ダン・ダン・ダン 10. Al Capone アル・カポネ 11. Devil's Organ 悪魔のオルガン 12. Charm Against Evil 渦巻いた世界 | | 彼等の存在を知ったのは僕が小学校5年生の時でした。父親のレコード棚の中で妙にSFチックなジャケットのデザインが目にとまり(当時スターウォーズを筆頭にSFブーム)レコードに針を落としたところ、今までに聴いた事のないファンタジーがそこにありました。僕が子供の頃なんて、身体が自然にリズムを刻むなんていう難しい事は考えていないし、踊れる曲なんていうのはジャクソン・ファイブから始まりアース(Earth,Wind & Fire)、クール(Kool & The Gang) なんかが定番でした。 テレビの音楽番組などでアースを目にして、そのド派手な衣装に度胆を抜かれ、その痛快な印象を忘れる事がなかったから僕らの「soul glow」のビデオができたという気持ちはあります。改めて彼等のバイオグラフィ的な映像を観たら、物凄く深い意味のあるバンドなんだな~と思ったし…。少年だった僕の度胆を抜いた、「宇宙人はもしかしたらこんな服を着ているのか?」と思わされていたあの衣装も、'70年代の黒人バンドにとって人種差別を超えるための戦闘服だったようにも思えるし。サウンドに対しても、過去のブラックミュージック(ジャズやファンク)を活かしつつ独自のコンセプトに基づいた音を作り上げていくモーリス・ホワイト(彼がアース以前にやっていたラムゼイ・ルイス・トリオは必聴の価値あり)の成功を呼ぶプロデュース、それぞれのパートのテクニックやモチベーションも生真面目で前向き、上質な大人の遊び心もありで、あのアースならではの世界はこうして作られたのかということに真面目に感動が込み上げてきた。そういうバックステージあっての、あの絶頂期…東京のディスコや年上の人の車の中、自分の部屋でだってFEN を聴いていたら必ずかかっていたよ、「ファンタジー」や「レッツ・グルーヴ」が。'70年代後半から'80年代前半にディスコに通いつめた人たちは、誰もがノスタルジックに浸れる黄金青春音楽なんだろうと思う。そんな彼等は、誰にも真似できないファンタジーなグルーヴの世界を作り、ビッグになってしまった者達ゆえの悩みを抱え、人間としての生き方を追求したいと願う…本当の意味でとことん自分が自分を離れて偶像化された人にしか味わえない境地を見てきたんだろう。 まさに、音楽の波とともにそれぞれの人生も波があったと思う。普通の生活の中にこそ、音楽にもまつわる感情が流れているのだと教えてくれた以上、僕も自分のグルーヴを大切にロックンロールして波に乗らないとなっ! あの人達のあの音楽と演出の裏側には、あんなに真面目でまっすぐな気持ちがあるなんて本当に知らなかったけど、そういうところで苦しさを感じさせないから前とは違う感じで尊敬もしているし好きになった。一生懸命なことはかっこいいぜ! ビデオの一番最後のところで、モ-リス・ホワイトが「サンキュー! サンキュー! アイラブユー!」と叫んでいるけれど、僕だってサンキュー!サンキュー!アイラブユー! だ。
Great 3 高桑 圭 | |