『スーパーヒッツ・ビデオ!』(DVD/VHS) Warner Reprise Video/Warner Music Japan 2001年11月21日発売 DVD: WPBR-90058 4,935(tax in) VHS: WPVR-90058 3,780(tax in) 1 Longview 2 Basket Case 3 When I Come Around 4 Geek Stink Breath 5 Stuck With Me 6 Brain Stew 7 Walking Contradiction 8 Hitchin' A Ride 9 Hitchin' A Ride 10 Redundant 11 Nice Guys Finish Last 12 Last Ride In 13 Minority 14 Warning 15 Waiting 16 Credits BGM:Time Of Your Life
<DVD>
<VHS> | | グリーン・デイという名は、パンク・ロックという、これまでとかくアンダーグラウンドのものとされていた存在を、全世界でミリオン・セラーを記録することを可能にさせたという“事件”をもってその名を永遠にロック史に刻むことはほぼ間違いない。 ましてや、シングル・ヒット曲だけでベスト盤が編纂できるパンクロック・バンドなど前代未聞も甚だしい。そういうことを本人たち自身もハッキリ意識してか、その記念すべきベスト盤に『インターナショナル・スーパーヒッツ』と堂々とつけてくれているのはなんとも心憎いのだが、連中の快挙はそれだけではない。 このアルバムに収録された全ての楽曲のPVを集めて、“目で楽しむベスト盤”までをサラリとリリースできてしまうのだから。そんなこともパンクバンドなら、ひと昔前なら絶対にありえないことだった。全くもって彼らの成し遂げることにはおそれいる。 その肝心の中味の方であるが、'94年発表の彼らにとっての記念すべきメジャー・デビュー作であり、全世界に“メロディック・パンク”の存在を知らしめた1000万枚ヒット作『ドウーキー』にはじまり、'95年の『インソムニア』、'97年の『ニムロッド』、そして2000年の『ウォーニング』という4作の大ヒット・アルバムからの代表的チューンを遍年体スタイルで紹介している。 こうやって歴史的に順次見て行くと、改めて多くの発見に気づかされる。まずはその音楽的な成長。初期の3コードのパワー・コードを基軸としたストレートなパンクロック・スタイルから、『ニムロッド』以降に見せるアコースティックやストリングスの導入や、ビートルズ風サウンドやロカビリー、アイリッシュ・トラッドなどへのアプローチへ。この辺りの移行を見ていると、このグリーン・デイというバンドが、“パンクロック”というものをあくまでも基軸としながらも、より普遍的な“ポップバンド”として卓越した説得力を持っていることが改めて痛感させられる。 そして、上の世代からはなにかと「幼稚だ」「子供だましだ」と批判されてきた初期の楽曲にしても、別にパンクでなく他の音楽ジャンルのシンガーとしての必ずや成功したであろうビリー・ジョーのなだからで表現力豊かな声の力や、旋律そのものに立派なドラマがある見事なメロディは、やはりそこいらのポッと出のアイドル・パンクバンドとは明らかに違う。そうでないと後年、あそこまでの音楽的進歩はありえなかったであろう。 そして、映像の場合これが重要なのだが、ビデオの作り方自体も、良い意味でお金がかかり洗練されてきた。シンプルなワン・ルームのセットの中でガムシャラにマイクに食らい付きながら歌う初期のビリー・ジョーの姿も初々しいが、これもやはり、彼らなりのユーモアやウィットのセンスが具体的に映像として反映されるようになった後半のものの方が断然良い。この調子だと、PVの方でも今後興味深い作品は多く生まれていくことになりそうだ。 そして最後は、メンバー自身の風貌の変化だが、こちらの方は…。う~ん、年々プクプクと増幅を続けているビリーのアゴのラインはどうも気になるなあ…。あのお、一応、元“パンク・アイドル”なんですから…。 …と、まあ何かと発見が多いこのビデオ、“生きるヒストリー”として充分楽しめるが、貫禄のついたビリーたちが狭義の“パンク”を飛び越えどこへ行ってしまうのか。
きっと7年から10年くらい先にきっと出るであろうこのベスト盤の続編に早くも期待したくなってきた。 文●沢田太陽(01/12/08) | |