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▲特集のトップ・ページに戻る | BACK TO BASIC…ロックンロールを楽しむということは、その基盤となるスタイルを、まずはしっかり自身の身体へ植えつけていくことから始めねばならない…。ふた昔前くらいは、それが当たり前の世界だったが。今やロックンロールを模倣したバンドを、さらに模倣したバンドから影響を受けている人達が大半という世の中だけに、"BACK TO BASIC"という意識を、果してどれだけの人達が持っているのか、甚だ疑問に感じることも多い。と同時に、種々雑多に音楽がまみれている現在だからこそ、その根本となる姿勢へ最初から目を向けてゆく連中も、最近になりけっこう増え始めてもいる。この日のライヴに出た連中も、そんな"BACK TO BASIC" の意識を、強く強く抱いた連中だ。ただし、その基盤を踏まえた上での表現方法は種々様々だが……。
▲カスタムズ | タイトスーツに身を包み、強烈なマシンガン・ビートを「これでもか!」と言わんばかりに叩きつけてくるカスタムズ。そのスタイルや、激しく楽器を掻き鳴らしてゆく姿勢から、一見、パンク寄りのパブ・ロック系バンドという印象も見受けられるが。彼らもまたサウンドの基盤へと据えているのは、オーソドックスなロックンロール・スタイル。激しい演奏の中へ、しっかりブギーの要素やベーシックなロックンロール進行を加えてゆく。ルーツに根ざした…でも、いまどきの連中らしく、硬派な姿勢でアップライドなナンバーをたたみかけてゆく。それはまさに、マシンガンの如く強烈なビートの波動をガンガンに突きつけてくるようで、場内じゅうが最初から揺れまくっていたのも、あの強烈なロックンロール・ビートを感じれば当然だろう!
▲スイッチトラウト | 続いて登場は、SWITCH TROUT。いわゆるインスト系ガレージ・バンドという捉えられ方をしている連中だ。やはりSWITCH TROUTもまた、楽曲の基盤を成しているのはベーシックなロックンロール・スタイル。その基本姿勢を踏まえた上で、ガレージ系やGS風、時にはサイコティックやパンキッシュに迫ったりもしながら、その激烈に歪んだギター・サウンドを豪快に叩きつけてくる。時には、往年のロックンロール・ナンバーのカヴァー曲も、かなりイカれたスタイルへアレンジして演奏。その表現力の豊かさ、かつサイケ/サイコティック/GSガレージ系と、多彩さに彩った表現姿勢は、マジにブッ飛びものの衝撃だ。
▲“下北のドン”ことスマイリー原島 | そして大トリを飾ったのは、下北沢界隈の重鎮、スマイリー原島率いるSMILEY&THE DOCTORS。メンバーは、ヴォーカルのスマイリー原島を筆頭に、中島芳生(G)、工藤和彦(B)、大島治彦(Dr)、伊藤ミキオ(Key)、松藤雷蔵(Sax)という、二癖も三癖もある連中。いきなりニューオリンズ系の匂い漂わせる、R&B/ホンキートンク・テイストの強いロックンロール・ナンバーから幕を開けた。ロックンロールの発祥自体が黒人音楽から始まっているという歴史的事実を踏まえて考えるならば、SMILEY&THE DOCTORSこそ、まさに“BACK TO BASIC” の姿勢を何よりも一番大切にしつつ、いまだその初期衝動を体現させている連中じゃないかという気がする。
▲SMILEY & THE DOCTORS | この日も、往年のホンキートンクなロックンロール・ナンバー達をいぶし銀の演奏へと乗せ次々と奏でていく。そのファンキー&ライドなロックンロールのグルーヴは、自然と場内中の観客達の身体も心地よく揺らす。スマイリー原島のブラックジョークの効いたMCも冴え渡り…と思いきや、この日の観客達には、その絶妙なトークもスベリまくっていたが(笑)。そんなチョット冷めた空気さえ逆にパワーの反動へと変え、ゴキゲンなロックンロール・ナンバーを、軽快かつファンキーに奏でまくっていた。''80年代には、日本にもこんな恰好いいロックンロールを奏でるバンドが数多く存在していた。今やその姿がなかなか見えにくくなっている時代だけに、こうやってロックンロールのあるべき姿の見本を……日本のロックンロールのベーシックな姿勢を体現させられ得るバンドは、こういう世の中だからこそ必要なのかもしれない。
BACK TO BASIC 。でもこの日出演した連中は、進化し続けるBACK TO BASIC なロックンローラー達だった。 |
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