M1:群集 M2:ホワイトウェスタンブーツ M3:LOVE ME TWO TIMES M4:金色の砂漠 M5:ドライヴ M6:パ★ナ★マ M7:魂,すり減らせ!!
M1:This boring rock M2:RADIO STONE M3:We Know we gotta move M4:A"STAMP ON ME" M5:STARMAN M6:希望はわたすもんか M7:PUNK THE DISCO M8:Freedom
M1:be green M2:チャルメリィ M3:ドノクライ M4:MATSUMOTO
M1:房総スカイラインファントム M2:ゴッド・スピード・ユー!! M3:恋人 M4:One Night Carnival M5:國道127號線の白き稲妻
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| 実に音楽的共通項がほとんど見られない組み合わせによる<歌舞伎町。しかしこういうショーケースでこそ、バンド本来の醍醐味が堪能できると同時に、それぞれシノギを削る勝負の場として大切なんである。幸か不幸か、出演バンドについてさほど知識を有してなかったのだが、果たして、このイベントは楽しかった。
SPEC BE BOP、伊賀大介、谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ)のDJが合間に挟まる中、繰り広げられる演奏。ヘッドライナーは惑星。3ピースという編成は、必要最小限の楽器に加え、ライヴを行なう場の空気も、ひとつの音源として活用せねばならない。そういった意味では、オープニングから2曲ぐらいまでのPAトラブル(バスドラがほとんど聞こえなかった)は返す返すも残念。オールドスクールで不器用なロックは、己のカラダをえぐって晒すかのように生々しい。“うた”というものの意味を考えさせてくれるバンドだと思う。まさに「魂、すり減らせ!!」(彼らがラストで披露した曲)そのものの、エモーショナルさ。
続いては、THE JERRY LEE PHANTOM。彼らのサウンドを一言で表すと“跳ねてる”。そんな感じ。小井出永のギターも歌も、山浦大志のドラムも、中村太のベースも、そして細萱あゆ子のキーボードも。すべての音源がさまざまな方向にぴょんぴょん跳ねることで独特のグルーヴが生まれるのだ。こと細萱あゆ子のローズの音色は美しかった。海外ツアーの経験もある彼らだが、これなら言葉いらずで音を楽しませることができるだろう。
そしてOPQだ。「daydream」「ドノクライ」と2枚のマキシを出してはいるものの、いまだ正体不明。さらに、過去にインタビューした際、「音も映像もジャケットのデザインも、すべてひとつのものとしてOPQは出してゆく」とOPQ=スザキタカフミが宣言していた、その言葉に偽りはないかを確認できる貴重な場となった。ようやく、これでOPQの正体が把握できる。サックスとベースとドラムが横並びになった中、いよいよOPQのライヴ・アクトが披露される。
…と思いきや、いきなりスザキタカフミはフロアに背中を向けたままの演奏。シンセをいじったりギターを弾いたり。バックのスクリーンは、さながら自主映画のようなチープでシュールな映像が延々と映し出される。棒に吊ったニセUFO、ピエロとも何ともいえない奇妙な人間のアニメ、部屋の映像…。意味を汲み取ることができないものが次から次へと登場し、一瞬頭が混乱する。
しかし、やがてそこに、ミョーなポップさを体感するようになる。ポップってそもそも、意味を求めるものでもなく感覚的なもの。そういった部分で、OPQのアプローチは決して異端でも奇をてらったものでもなく、実はこれこそが21世紀型ポップの姿なのかもしれない、と不思議と納得した次第。しかし、MCまでビデオを使うとは…。しかもライヴ5日前に撮った映像(あくまでも自己申告)ってのも笑えるなぁ。しかし、大がかりではないとはいえ、ライヴの仕込みなどはけっこう大変そう(リハに映像撮影に編集まであるわけだし)。ならば、そんなにライヴを乱発するではなく練りに練って作りこんだものをぜひ観たいと思った。まぁ、この日は「be green」「チャルメリィ」「ドノクライ」「MATSUMOTO」のたった4曲しか演らなかったというところで若干の消化不良があったということもあるのだが。
トリを務めるは、東芝EMIのお偉いさんが「社運を賭けて」メジャー・デビューさせると豪語せしめた氣志團。房総(暴走)ヤンキーヴィジュアル系として、早くも異常人気を巻き起こし、この日も一番盛り上がった。
ヤンキー・カルチャー+'80年代ネタをさんざん乱発しつつも、実はMCも含め計算していると思われる綾小路“セロニアス”翔のパフォーマーとしての完成度は、ある種パフォーマンス的要素の高いライヴを行なうOPQと好対照。同じエンタメ志向でも、ここまでベクトルが違うものが共演すると、すごく興味深いものがある。OPQはオーディエンスに「?」を与えつつ結果としてポップさを伝え、一方の氣志團は普遍的なネタをフルに駆使しつつも実は確信犯というねじれた構造。どれもが、21世紀のショウというものとして確立されるのかもしれないと思った。ちなみにフロア後方では、サエキけんぞうさんが踊り狂っておりました(笑)。
綾小路翔と早乙女光のキスシーンなどもあり、とことんエンタメ空間を撒き散らして終了したこのイベント。音楽のジャンルが一緒のイベントもいいけど、こうまでバラバラだと、逆にアーティストの表現とは何かを、改めて考えさせてくれる。非常に勉強になった一日でありました。 |
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