“ブリストル系”サウンドを彷彿させる期待のUKダブバンド
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2000年10月に東京と大阪で行われたダブのパーティー“ECHOMANIACS”で、 初めて日本のファンの前に姿を現した3HEAD。 UKダブ特有の湿ったサウンドとメランコリックなメロディーを上手くマッチさせた音楽性は、 演奏テクニックが確かなこともあって、観客に強烈に印象づけることができたようだ。 12月発売予定の1stアルバム『3HEAD』では、 彼らのサウンドに惚れ込んだAdrian Sherwoodがミックスを買って出ており、 アブストラクトな残響の世界を構築している |
3HEAD are ・Ruth Rogers Wright(vo) ・Simon Bogle(rap) ・Al Macaulay(drums) ・Dave Woolfson(guitar) ・Colina De La Mar(Violin) ※最近ベーシストが正式加入し6人編成になった模様 ![]() Simon Bogle(rap) ![]() Al Macaulay(drums) ![]() | ──子供の頃はどんな音楽を聴いていたんですか? Simon Bogle(以下Simon):小さい頃からクラシックでヘビーなレゲエが好きだった。Augustus PabloやGregory Isaacsとかね。姉が2人いたんで、その影響でMarvin Gayeやモータウンもよく聴いたな。出身がブリクストンだったんで、カリビアン・ミュージックが常に周りにあった。 Al Macauley(以下Al):僕もブリクストン生まれだよ。子供の頃に好きだったのはKing Tubby、Talking Heads、Miles Davis、それからさまざまな種類の環境音楽。ドラムは12歳の頃から叩き始めた。でも小さい頃はまだドラム・セットが買えなかったから、キッチンで鍋や洗濯桶を叩いたりしてたね(笑)。 ──メンバーが出会った経緯は? Al:最初は10年くらい前にDaveとRuthが同じバンドをやっていたんだけど、Ruthがオーストラリアに移住してしまってそれっきりになっていたんだ。その後、僕とDaveは2人でブリクストンのスタジオに入ってセッションしていた。その頃から3HEADという名前を使い始めてたけど。 ──その頃の3HEADはどんなスタイルだったんですか? Al:アンビエントなサウンドだったんだけど、今よりもギターがフィーチャーされていた。Durutti Column、New Order、A Certein Ratioといったマンチェスターのギター・バンドが昔から好きだったんで、その辺に影響されていたんだと思う。 Simon:同じスタジオの2階で、僕はレゲエのサウンド・システムの要素を取り入れたバンドの練習をしていた。そしたら下のスタジオから彼らの音が聴こえてくるんだよ。それが少し変わっていて面白い音だったんで、僕も参加させてもらうことにしたんだ。 Al:それでやっぱりRuthもメンバーに誘おうと思ったんだけど、何しろ彼女はオーストラリアにいるし、名前も忘れてしまっていた(笑)。彼女のボーイフレンドの名前だけはなぜか憶えてたんで、オーストラリアの電話局に訊いてみたら同じ名前のやつが200人いるって(笑)。仕方ないから片っ端から電話してみることにしたら、偶然最初にかけたところで彼女がつかまったんだ! 神の導きだね。バイオリンのColinaとは僕が別のセッションで働いているときに知り合って参加してもらうことにした。ダブにバイオリンのサウンドをミックスするというアイディアに興味があったんだ。 ──Adrian Sherwoodとはどうやって知り合ったんですか? Al:彼が僕らの最初のシングルをどこかで手に入れて気に入ってくれていたみたい。Radio 1で演ってる自分のショウでもかけてくれたりしていた。彼から一緒にやりたいって連絡をもらったんだけど、彼はダブの世界では偉大な存在なのでやはり嬉しかった。 Simon:今後も彼とは一緒にやっていきたい。彼のスタジオ・テクニックを見ているととても得るところが多いしね。 ──そう言えば、Simonがステージでたまに横を向いて操作していたディバイスは何だったんですか? Simon:あれはディレイやエフェクトをいじっていたんだ。リアルタイムなダブ・ミックス。 Al:僕らの音楽には時として15本のギターを重ねたようなサウンドが必要なんだ。だから細かいサウンド処理は不可欠なんだよ。 ──曲作りのプロセスを教えてください。 Al:僕とDaveとSimonの3人がスタジオで基本的なバッキングを作る。それにRuthがボーカル・ラインを重ねるんだ。彼女は今でも基本的にオーストラリアに住んでいるんで、彼女の元にテープを送ってそれに彼女が歌を重ねてって感じで、テープをやり取りしながら作業しているんだよ。曲のモチーフはコードやメロディよりも、ギターのエフェクトやドラムのサウンドといった断片的なサウンドが多い。3HEADのサウンドは、あくまで音にインスパイアされてできるんだよ。 ──Alのバックグラウンドにあるようなニュー・ウェーブっぽい要素が、ダブと上手くミックスされているのが、サウンドの魅力になっていると思うんですが。 Al:その通りなんだけど、さらにいろいろな要素が混ざってくることもあるよ。それは例えばジャズだったり、古いブルースだったり、ドラムンベースだったり。あとジャンベの音などアフリカン・ミュージックの要素も取り入れてるし、Colinaのバイオリンはクラシックの要素も醸し出していると思うんだ。 ──なるほど。では、最後に今後の予定をきかせてください。 Simon:12月にブリクストンでAdrianの主催する大規模なサウンド・システムがあるんで、それに出演する予定。あとFrancois K.(NYで活躍するDJ/プロデューサー。http://www.wavemusic.com/を主宰している)がプロデュースしたいって電話をくれたんで、NYでレコーディングする予定もある。実は2ndアルバムの制作にも既に取り組んでいるんで、来年の早いうちにはリリースしたいと思っています。 文●巽英俊 |