R&B界の問題児
R&B界の問題児 |
「俺らは、古くてありきたりのR&Bから人々を卒業させようとしてるだけさ。『君を愛してる、君とアレしたいんだ』ってセリフだって、色んな言い方があるだろ?」 Somethin' For The People(Fuzzy、Sauce、Cat Daddyの3人組から成るL.A.出身のユニット)は無難なプレイを好まない。 いやむしろ、無難という言葉を笑いものにしている、と言えるだろう。 なにしろこの3人の悪名を一気に高めたのは、「My Love Is The Shhh!」という何とも巧妙なタイトルの曲なのである。口を慎むことが決して得意でないのは明らかだ。さらに、彼らの最新作『Issues』からの1stシングル(まぎれもないバラード)もまた、「Bitch With No Man」という、お得意の控えめだが意味深なタイトルが付けられている。しかも、それだけではない。TLCの「No Scrubs」やDestiny's Childの「Bills Bills Bills」といった性別批判のR&Bアンセムの後に続く作品を打ち出すことで、SFPは性別間のバランスを取り、同時に世間を騒がせようとしているのである。 グループのリードシンガーで、BrandyやWill Smith、Eric Benetらと共演した経歴を持つFuzzyが語る。 「俺らは人を怒らせたり、議論を巻き起こしたりするのを何とも思っちゃいないからね」 彼らはまさに、R&Bのスタイル変移に遅れずについていくことを自分たちの売りとしたのである。ファンキーな「Now U Wanna」(ラッパーのDiabloをフィーチャー)はDr. Dreを思わせるし、「Ooh Wee」(Trina &Tamaraをフィーチャー)はTimberlandとRodney Jerkinsに敬意をはらった作品だ。官能的なバラード「Can We Make Love」にはPrinceの影響が色濃く表われており、「I Apologize」はStevie Wonderを彷彿とさせる。 2人は制作の仕事を探してL.A.に移り、お互いの友人たちの助言もあってマルチ奏者のCat Daddyと手を組むこととなる。その後、アルバイトをしながら何とか生活していた彼らだったが、ある時、家賃を稼ぐにはフリーでデモ制作の仕事をした方が効率が良いことに気づく。アーティストたちの口コミで徐々に仕事を得られるようになったSFPだったが、そんな彼らの未来が決定的なものになったのは、ある14歳の女子学生が彼らのもとにやってきて、デモの制作を依頼した時だった。その初々しい女の子こそがBrandyだったのである。SPFの作品を収めた彼女のデビューアルバム『Brandy』は、数百万枚のセールスを記録した。 しかし、彼らのプロデュース業は全盛を極めていたものの、SFPとしてのキャリアは、同僚のEric Benetと同様、Waraner Bros.のブラックミュージック部門の屋台骨を支えるという重大な役割に押し潰されようとしているかに見えた。 「あの頃の俺らは、アーティストって仕事のことも、プロモーションのことも全然分かっちゃいなかったから、毎日が失敗の連続だったね。体験学習してたのさ」 「あいつらがアーティストをとっかえひっかえしてるから、誰も時間をかけて何かを達成するなんてことはできないんだ。この音楽業界じゃ、何か成し遂げたいと思ったら、必死でそれをやらなきゃいけない。近道なんてないし、賄賂だって使えねぇ。あそこの会社は基盤自体に全く安定性がないから、ブラックミュージック部門が成長できないのさ。俺たちがサインした後だって、3回も体制が変わってるんだぜ」 「奴らが飛び立てるように手伝いたいんだ」とSauceは彼らのレーベルについて語る。 「俺たちにとっちゃ家族みたいなもんだからな。皆がもっと満足できるように、もっとちゃんと機能させてやりたいのさ。そうすれば、周囲も俺たちのことを『あのレーベルを変えた奴らだ』って目で見るだろ? その時こそ、あいつらにはケツにキスしてもらうぜ!」 by Jeff Lorez |