【ライブレポート】luv、初の全国ツアー<Already Cruisin'>を完遂

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4月6日、luvが1st tour<Already Cruisin'>のファイナルとなる東京公演を渋谷WWWXで開催した。2月に発表したミニアルバム『Already』のリリースを受けた今回のツアーは、福岡・名古屋・札幌・大阪・東京の5都市が全てソールドアウト。リード曲「Send To You」はアジアの各地域でバイラルヒットを記録するなど、上昇曲線を描くバンドの熱量がステージ上からも、そしてフロアからも確かに伝わってくる一夜となった。





開演時間を過ぎると、まずはRosa(Key)、Ofeen(DJ)、Zum(B)、Sho(Dr)の4人がステージに登場。最後にHiyn(Vo, G)が姿を現すと、「東京おひさしぶり!luvと申します」と挨拶をして、「柔軟剤DOPE」からライブがスタートした。シャープなカッティング、シンセやスクラッチをフィーチャーしたダンスチューンで早速場の空気を掴み、「かかってこい!」とオーディエンスを煽って「Lee Un Vile」へ。バンドの自己紹介ソングでもあるこの曲では、ベース、キーボード、DJ、ドラムの順でソロを回し、Hiynが歪みを効かせたギターソロを聴かせ、Zumとともにステージ前方に出ていって、フロアはさらなる盛り上がりを見せる。













Rosaによるエレピのソロが温かみを感じさせるネオソウルチューン「Gum i」から、メジャーデビュー曲の「Fuwa Fuwa」では「1・2・3でみんな飛べる?」という呼びかけから、オーディエンスが一斉にジャンプをして、この曲がすでに愛されていることが伝わってくる。「みんなのボルテージもっとちょうだい。オゾン層まで届けられる?」と話して始まった「Ozone」は『A Funk Odyssey』期のジャミロクワイを意識したアシッドジャズで、多彩な音色を鳴らしながら再びソロ回しを披露していく。全員2003年生まれの若いバンドながら、度々織り交ぜられる各メンバーのソロからはプレイヤビリティの高さが感じられ、初のツアーを経験したことでどこかステージングに余裕が生まれているのも頼もしい。











Ofeenのトークボックス使いが印象的な「Cooen」、アル・グリーンをリファレンスにしたソウルのテイストと日常的な「食事」をモチーフにした歌詞の組み合わせが面白い「胃袋ラブストーリー」を続けると、次に披露されたのはluvのライブではお馴染みのJ-POP名曲カバー。3月に初のアメリカ公演として行われた<SXSW>でのライブでは「はじめてのチュウ」とスティーヴィー・ワンダーの「Sir Duke」をマッシュアップしていたが、この日カバーされたのはPUFFYの「愛のしるし」で、柔らかな4つ打ちによる往年のディスコヒットのようなカバーがとてもいい。海外のアシッドジャズやネオソウルへの愛情の一方で、J-POPを楽しみながらカバーする親しみやすさは彼らが憧れた2010年代のバンドとも異なる、2020年代のバンドならではと言えるだろう。









MCではHiynを中心にメンバー同士が関西弁で何気ない会話を交わし、その着飾らない雰囲気も魅力的。ライブ後半戦に突入すると、「Jamlady」や「R.wiseman」といったインディーズ時代の曲を続け、「Stevlay」でのバンドの屋台骨となるShoの力強いビートと、Zumのファンクベースも心地いい。「東京でのライブの手応えがきっかけになって、5人でバンドでご飯を食べられるように頑張ろうと思った」「一緒に盛り上げてくれる人たちに救われてきた」とHiynが少し照れた表情を浮かべながらも真面目に感謝を伝えると、ここで披露されたのは大文字のバンド名をタイトルに冠したバラードナンバー「LUV」。この曲で「小さいを知って 僕らでいて」と歌われているように、彼らは「東京ドームでライブをしたい」とか「グラミー賞を獲りたい」のように大きな夢を語るのではなく、「まずは5人でご飯が食べられるように」と、あくまで等身大の目標を掲げ、だからこそオーディエンスも同じ目線で、一緒になって彼らを応援したいと思えるのだ。







Ofeenが赤いタンバリンを鳴らした「好人紀行」のジャジーな小気味いいアウトロから、「東京大好きです!そんなみんなにluvからSend To You!のぼせない程度に踊ってください!」と言って届けられたのは、luvの新たな代表曲となった「Send To You」。耳馴染みのいいトークボックスを用いたこの曲では、ラストの<I wanna send to you>のリフレインでフロアから一斉に手が上がって、ライブのハイライトに。さらには音源以上の疾走感を感じさせるダンスチューンの「Spare」を畳み掛けて、熱狂的な盛り上がりの中で本編が終了した。



アンコールではZumがおもむろに「Happy Birthday to You」を弾き始めて、誕生日の近いOfeenとRosaをサプライズでお祝いする場面も。ここで披露されたのは、「Spotify on Playstation」のキャンペーンソングとして書き下ろされた最新曲「Rear」。「世界の誰かのもとへおくりたいの」と歌うこの曲は、国内外で活動の規模が広がるluvから世界へのラブレターであり、ゲームで遊ぶように音楽で遊んで、目一杯楽しもうというluvの新たな所信表明でもあって、そのポジティヴなバイブスはこの曲のコーラスからも、この日のライブ全体からも確かに感じられた。ラストに演奏されたのはluvとして最初に発表した「Motrr」。もう一度各メンバーが巧みなソロを回しを披露して、最後までluvらしく、初のツアーが締めくくられた。











luvは、Y2Kネオソウルやファンク、ジャズ、ヒップホップなどのブラックミュージックに影響を受けたサウンドと、Hiyn(Vo/Gt.)が生み出す独特なリリック、そしてメンバーの巧みでグルーヴィーな演奏でライブシーンやSNSで注目を集める新世代バンド。

若干結成1年でメジャーデビューを果たし、楽曲が日本のみならずアジア各国でバイラルチャートにランクイン、「Spotify on Playstation」の2025年のキャンペーンに抜擢されるなど注目を集めている。



文◎金子厚武
写真◎永峰拓也

<Already Cruisin'>

2025.4.6 @ SHIBUYA WWW X
1.柔軟剤DOPE
2.Lee Un Vile
3.Gum i
4.Fuwa Fuwa
5.Ozone
6.Cooen
7.胃袋ラブストーリー
8.愛のしるし(カバー)
9.Jamlady
10.R.Wiseman
11.Stevlay
12.LUV
13.好人紀行
14.Send To You
15.Spare
En1.Rear
En2 .Motrr

New Single「Rear」

https://luv.lnk.to/Rear


1st mini Album「Already」

発売中
https://luv.lnk.to/Already
1.Spare
2.Send To You
3.Fuwa Fuwa
4.Ozone
5.柔軟剤DOPE
6.LUV
7.好人紀行
8.胃袋ラブストーリー


<Already Movin'>

6月12日(木)
東京・SHIBUYA CLUB QUATTRO
開場 18:00 / 開演 19:00
[問]ディスクガレージ https://info.diskgarage.com/

7月13日(日)
大阪・UMEDA CLUB QUATTRO
開場 17:00 / 開演 18:00
[問]キョードーインフォメーション / 0570-200-888 / 11:00~18:00(日・祝以外)

チケット:前売 4,400円(税込)
※オールスタンディング / 整理番号付き/ 未就学児入場不可 / 全会場ドリンク代別途必要
ローソンチケット https://l-tike.com/luv/
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