【ライヴレポート】ν[NEU] × Waive、二つの“終わりを見据えた復活劇”に光り輝く功績「最高のファイナルに向けて」

ポスト
no_ad_aritcle

ν[NEU] × Waiveによるツーマンライヴ<-光跡->が12月12日、神奈川・SUPERNOVA KAWASAKIで開催された。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆ν[NEU] × Waive 画像

これは、二つの“終わりを見据えた復活劇”。最後の瞬間を悔いなく、いかにカッコいいエンディングとして迎えられるか。そのシナリオを今もなお推敲しつつ、覚悟をもって生きることで、生を全うしているという共通点を持ったバンドがいる。それが、ν[NEU]とWaiveだ。

ν[NEU]は2025年1月4日に渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)にて、Waiveは2026年1月4日に日本武道館にて、それぞれ解散を発表している。まさか、両バンドの最後の日が、1年越しの同日になるとは想像し得ずに驚いたが、先にも述べた共通点が多いことから、ν[NEU]にとって先輩にあたるWaiveを一連の復活の活動においてロールモデルとしていたことはBARKS対談で語られている。

そして、先にゴールを迎えるν[NEU]が最後の対バン相手に選んだのがWaiveである。今回のツーマンライヴのMCで、ν[NEU]のmitsu(Vo)が話した言葉を借りるならば、「(Waiveは)背中を追いかけてきたバンドでもある。それが今日交わって、先に僕らがラストライヴを迎えることで、初めて背中を見せられる瞬間がくるので、ワクワクしている」という意気込みをもって臨むライヴとなった。

▼Waive


ツーマンはWaiveの先攻でスタートした。「FAKE」のイントロに重ねるように田澤孝介(Vo)が声高らかに「ν[NEU]とのツーマンライヴ、思い残すことなく思いっきり楽しんでいきましょう!」と宣誓して圧巻の歌声を轟かせると、杉本善徳(G&Vo)に向き合う形で歌い始めた「バニラ」では、観客との一体感も相まって会場の熱量は瞬く間に最高潮へ到達した。

「今日はなんと言ってもね、ν[NEU]さんの最後の対バン相手に選んでいただきました。すべてをもってそれに応えたい。そしてなによりみんなに、今日一日が最高の夜だったと思っていただきたい。なので、全部置いて帰りますので、いつも来てくれているアナタたち、そして今日初めてWaiveを観るよっていうみなさんの心にもぶっ刺さるように全力でまいりますので、しっかりついてきてください!」──田澤孝介

直前の言葉に込められたパッションを画にした「火花」のハードな一面に続き、高井淳(B)が雰囲気たっぷりにベースで先導した「ASIAN「noir」GENERATION」では田澤と杉本がツインボーカルを響かせる。



中盤に存在感をもったバラードセクションを用意し、貮方孝司(G)のアコースティックギターの音色も映えた「C.」や、ギターアンサンブルからのマイルドなバンドサウンドと、熱を帯びた歌声に酔いしれた「そっと...」を披露。バラード特有の儚さはありつつも、どこか熱や意思といった強さを帯びているからこそ高い没入感で浸ることができたこのセクションは、田澤孝介が前置きしていた「作品にこもっている、表現されているものに没頭する、それがなにより作品を楽しむということ」を痛感させるものだった。

Waiveが持つ音楽における凄味の総力戦といった中で、“これもまた”というお楽しみの一つが杉本がマイクを取ってからのMCタイムだ。「言い忘れてはいけないこと」と切り出し、「ν[NEU]がもうすぐ解散ライヴですね。Waive観に来た人? はい(今手を挙げた人は)、1月4日、LINE CUBE(SHIBUYA)集合! ν[NEU]を観に来た人? はい(今手を挙げた人は)、2026年1月4日、日本武道館集合!」と発言。チケット代について触れたり、「俺、mitsuの先輩、わかる!?」とやんわり先輩風を吹かせたりしながらも、このツーマンをきっかけに双方のラストライヴへ繋げるように、笑いを交えながらMCを展開したところはさすがの一言である。

こうして、「後半戦、ガッツリ飛ばしてまいります!」とソリッドなギターソフが際立つ「Sad.」からラストスパートへ突入し、「ネガポジ (Negative & Positive)」や「ガーリッシュマインド」といった、衝動性を持った楽曲を畳みかけながら爆発的にオーディエンスが高揚していく様子も痛快だった。が、ゴールを彷彿とさせる「いつか」をこの日のラストに据えたのは、いつも以上に意味のある選択だったように感じられた。自分たち自身のためであったことはもちろん、先にも述べたように共通項を多く持つν[NEU]へ向けたメッセージでもあるかのよう。晴れやかに響き渡る一音一音にWaiveの粋な計らいを感じながら、やはりその背中は大きかったと再確認するステージでもあった。

▼ν[NEU]

続いてν[NEU]が登場、幕開けを飾ったのは希望をテーマに掲げる彼らにとってアンセムともいえる「RED EMOTION~希望~」だ。じっくりと情熱がほとばしる曲の中でメンバーが放ったピリッとした空気感は、mitsuの第一声を耳にした瞬間にそれは“気合い”だと即座に伝わるもの。先攻のWaiveへの敬意ゆえのものであったかもしれないし、もともとν[NEU]に根強く存在する対バンという環境下でこそ惜しみなく発揮される相手への闘志の表れだったかもしれない。続いた「スプラッシュ!」では、「とにかく楽しむ気持ちだけ!」とmitsuが大切にしているマインドを強調した通り、メンバー同士で目配せする場面もあり。まずはステージ上からあらゆる感情を惜しみなく放出していく。

ここで、先の杉本のMCに次いでmitsuが「まずは言わなきゃいけない。1月4日、チケット確約ありがとうございます(笑)!。「そっと...」で泣きそうになってたのに、急にチケット代の話をし出してビックリした」と同じ話題に触れる場面もあった。

そして「恋模様」をはじめとしたライヴ映えするν[NEU]らしさを活かした展開の中で、「APOLLON」のようにエモーショナルな歌声やタクミ(G)が抜群なコンディションで聴かせたギターソロを堪能できる表情もはさみながら、「YES≒NO」の一体感や、「妄想する? / する!」のコールアンドレスポンス、ЯeI(Dr)のキメ台詞でも歓声が上がった「妄想接吻」といったキラーチューンを並べていく。



改めてWaiveとの関係性やツーマンライヴ実現までの経緯を話す中、ヒィロ(B)は「Waiveは“揺れる”という言葉を一つのテーマにしてるということですが、さっき観たWaiveのライヴの余韻で自分自身もすごく揺らされている」としながら、リーダーという立場からν[NEU]というバンド名の由来にも触れていた。「ν[NEU]は、“変わる”を語源としたバンド名で、変わらない大切なものを守り続けるために変わっていく。最後の最後まで変わり続けたい」と話した。mitsuも「悲しさをWaiveが変えてくれたと思うし、終わる覚悟をもって終わらせられることは嬉しいこと。今日も、僕らがWaiveを揺らすことができればいいという気持ちでステージに立ってる」と、ラストライヴの直前になってもWaiveから受けた影響の大きさを物語っていた。

終盤に差し掛かるもそこに物憂げな空気はなく、むしろ「明日から頑張れる力を得るための場所」と全力を尽くして楽しむことを強調して突入した「cube」ではメンバー自ら縦横無尽にステージを動きながら勢いを増していく。タオルが旋回した「The 25th Century Love」や、ダンサブルな「ピンクマーブル」でもオーディエンスを扇動してパワーを漲らせていく。そして、「終わりを目の前にすると余計なことが言えなくなる」と、まさに楽曲に思いを詰め込むようにラストを飾ったのが、ソウルフルに届けた「エンドロール」と一際力を込めた「everlasting light」だった。“君と出逢えた あの日からすべて変わったんだ”──あらゆる出逢いを光源とし、始まりは今へ、そして永遠に続いていく。今回のツーマンライヴに<-光跡->と名付けた意味が、見事に集約されたエンディングだったように思う。



「たくさんの時間をありがとうございました。今日初めて会った人も、何度も何度も会いに来てくれた人も、全部がν[NEU]というバンドを通して出会えた一本の道のようなものです。全部引き連れて、最高のファイナルに向けて向かって行きます。今日会えてよかった、ありがとうございました!」──mitsu

「everlasting light」のアウトロ中、こう伝えたmitsuは満足気な笑みを浮かべていた。バンドが築いてきた数々の“光跡”(功績)。光は、時間を越えていく。今回のν[NEU]とWaiveが繰り広げたツーマンライヴで見た光も、確実にこの先へと受け継がれるものとなる。その架け橋の中で、なによりも大切なのはν[NEU]とWaiveのそれぞれのゴールだ。この光のリレーは、最後の瞬間に放たれる閃光へと繋がっていく。

■ν[NEU] × Waiveツーマンライブ<-光跡->2024年12月12日(木)@神奈川・SUPERNOVA KAWASAKI セットリスト

【Waive】
01. FAKE
02. バニラ
03. 火花
04. ASIAN「noir」GENERATION.
05. C.
06. そっと...
07. Sad.
08. ネガポジ (Negative & Positive)
09. ガーリッシュマインド
10. いつか
【ν[NEU]】
01. RED EMOTION 希望
02. スプラッシュ!
03. 恋模様
04. APOLLON
05. YES≒NO
06. 妄想接吻
07. cube
08. The 25th Century Love
09. ピンクマーブル
10. エンドロール
11. everlasting light


■ν[NEU]<since2009〜2025 ν[NEU] FINAL LIVE『エンドロール〜誰よりも大事な君へ〜』>

2025年1月4日(土) 東京・渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)
open17:15 / start18:00
▼チケット
前売¥5,800
※全指定席
詳細:https://l-tike.com/neu/


■<J 2024『放火魔大暴年会>

2024年12月30日(月) 渋谷Spotify O-EAST
ゲスト出演:MAYKIDZ / the telephones / Waive / and more...

■<Waive最終公演>

2026年1月4日(日) 東京・日本武道館
※詳細は順次発表


この記事をポスト

この記事の関連情報