【ライヴレポート】Waive × MUCC、対バンシリーズ<VS GIGS>第三弾に睦まじいバトル「武道館行こうぜ!」
Waiveがセルフカバーアルバム『BLUE ALBUM』をリリースした11月27日、盟友MUCCを迎え、2マンライヴ第三弾<VS GIGS 「MUCC WAIVE ILLUSION ‘24」>を渋谷Spotify O-EASTで開催した。その前日にWaiveは日本武道館での解散ライヴの日程を2026年1月4日であると発表するなど、注目が高まるなかで互いに熱くぶつかり合ったライヴ本編と、ある意味では圧巻のアンコールセッションの模様をお届けしよう。
◆Waive × MUCC 画像
開演を待つ会場に流れるBGMは、Psycho le Cémuのナンバーであり、Waiveリーダーの杉本善徳による発案のこの趣向は何とも心にくい演出だった。Waive、MUCC、そしてPsycho le Cému、この3バンドは同時代を彩ってたびたびステージを共にし、そしてそれぞれの道をそれぞれに重ね、2018年にはイベント<MUD FRIENDS 2000〜2018>で3マンツアーを行った特別な仲だ。バンドマン仲間でありライバルであり、そしてきっと生涯の友だろう。
彼らの絆が会場を温めたところで、まずは先攻のMUCCが登場する。ギリギリまで高められた緊張感とともに「Invader」で幕を開けたライヴは、サイレンの音に導かれるように「サイレン」へ。一部の隙もないプレイに、数多のステージを重ねて来た歴戦の兵(つわもの)だけが持つ経験に裏打ちされた実力を感じる。
「愛の唄」では、ムーディなサウンドと逹瑯の甘い声が大人の色香漂う愛を描き出し、ギターソロでミヤが逹瑯に寄り添う姿は、曲の世界を体現するかのよう。「声ちょうだい!」という逹瑯の呼びかけに応え、オーディエンスの声とこぶしに力強さが増す中に放たれた「最終列車」は、生来MUCCが持つ武器とも言える哀愁を帯びたメロディや世界観といった個性を余すことなく伝える。勢いで押しまくるのではなく、ゆったりとしたスタートから確実に熱を高めて、会場中の集中力をステージへと集めていく。
「Waive、日本武道館決定したね~」と、本日の対バンであり旧友の大切な発表に触れた逹瑯のMCが始まった。彼らしいちょっとした毒舌を交えて笑いを誘いながらも、遂に決定したWaiveの最後の日までに、「またもう一度こんな機会を」という希望を口にすると、両バンドのファンから温かい拍手が沸き起こった。
続いて新曲「October」を届ける。丁寧に曲に臨む初々しいような姿勢が、曲の持つ淡いピュアな想いとどこか重なって、センチメンタルな感情が呼び起こされる。平易な言葉を用いた真っ直ぐな歌詞は新鮮で、彼らの新たな扉が開けたような印象も。そして、イントロから一気に壮大な世界を広げた「ニルヴァーナ」。高まった感情は転調とともにさらにギアが一段階入ったかのようで、そのまま心地よい境地へ運ばれていった。
「娼婦」から、いよいよ熱い戦いの火蓋が切られ、出番がきたとばかりに激しい動きを見せるオーディエンスが目に入る。曲が展開するに連れ、その熱気は頂点を超えたのか、清々しささえおぼえるほど。おなじみ「蘭鋳」では、オーディエンスを一度フロアへ座らせ、逹瑯の「全員、死刑!」の高らかな宣言とともにジャンプ! かと思うと、「Waiveの武道館行こうぜ!」という愛あふれる言葉も飛び出す。
最大の盛り上がりを見せ、これがラストと思わせたところで、「ところが、もう1曲あるんだよね」という、いたずらっ子のようなところがまたMUCCらしい。最後の最後は、「大嫌い」で締めくくる。“嫌い嫌い嫌い”、そんな攻撃的で負の感情に満ちた言葉の応酬が、なぜかどこか心地よく、逹瑯も中指を立てながら、殺伐とした空気を満喫しているように見えた。
新旧織り交ぜたセットリストで満足度の高いMUCCのライヴの後、後攻を担うのはもちろんWaiveだ。この日に発売されたセルフカバーアルバム『BLUE ALBUM』と同じく、1曲目を「TRUE×××」が飾った。結成当時に無料配布されたデモテープの収録曲であり、彼らのスタートを彩った曲は、2026年1月4日の解散へと進む現在の彼らを今も輝かせる。続く「FAKE」で、4人が申し合わせたかのようにステージの前へと歩み出て並んだのは、珍しい光景ではなかっただろうか。一方、揃った動きを見せるフロアはすでに熱気でいっぱいだ。
「さすがのステージ」と、足を止めることなく活動を続ける旧友MUCCを讃え、「どういう奴らがどういう音を鳴らしているか、できるだけたくさん届けたい」と意欲を燃やし、まずは「火花」へ。2023年、再始動とともに活動を発表した際に披露された新曲は、武道館へ向けて燃やし尽くすという彼らの意志表明でもある。さらに「Blood vessel」「ASIAN「noir」GENERATION」と続け、いい意味でつかみどころのない彼らの側面を見せつけた。
そこから、「バラード、いいんですよ」という田澤孝介の一言。冗談っぽく口にはしていたものの、おそらく本音だろう。それだけハードルを上げてもバラードで聴き手を魅了できるのが田澤であり、Waiveである。そこで始まった「C.」は、田澤と杉本の対照的なツインヴォーカルがドラマを描き出し、田澤の歌唱は、放たれる感情が空間を四方八方に広がっていくようなパワーに満ちていた。
そんな彼の表現に繊細さを加えたように感じられたのが、続く「そっと…」。丁寧にひとつずつ紡がれる言葉が、音が、心のうちにある穏やかな水面にしずくを落としていくかのように、文字通り“そっと”届けられた。静まり返り、ただひたすらに耳を傾けているオーディエンス。Waiveのバラードの魅力が存分に伝わったことだろう。
田澤と杉本による軽妙な掛け合いで、爆笑をかっさらうMCにも定評があるWaiveだが、この日ばかりはアルバム発売や日本武道館の日程発表と話すべきことが満載で、「絶対武道館にだけは来てください」と、スマホを取り出してカレンダーに登録することを迫ってフロアをザワつかせつつも、脱線することなくスムーズにMCが終了(それもこれも、アンコールのためだったのかも)。
「Sad.」から、転げ落ちるかのような勢いで「ネガポジ」に突入し、「おいおい!」と力強い掛け声で「ガーリッシュマインド」に突き進み、会場全員で声とこぶしを熱く交えていく。そのままCDサイズであっさりコール&レスポンスを終え(これはまさしくアンコールのため)、最後を飾ったのは「いつか」。
歌詞を口づさむ貮方孝司、表情を歪めてありったけの感情をぶつけようともがく杉本、穏やかな笑みを浮かべ後方から視線を送る高井淳、そして全身全霊を込めつつ確かなコントロールで歌を届ける田澤と、それぞれがこの瞬間を生きている。2026年1月4日に決まったWaiveの最後の日を思い、ただじっと耳を傾け、“いつか死ぬ僕たちは。”という人生の真実を歌う歌詞を心に刻んだ。
MUCCもWaiveもここまで互いに正々堂々と戦い終え、2マンライヴとしては大成功。この素晴らしいライヴの後で、あんなアンコールが繰り広げられるとは、さすがのファンも想像していなかったに違いない。再び登場したWaiveがMUCCを呼び込んだところで、耳に入ってきたのは、YUKKEが歌う「ハッピーバースデー」。逹瑯がケーキを手にしてMUCCが揃い、前日が誕生日だった杉本を祝うサプライズが始まる。喜びを冗談でくるみ、ひねくれた言葉が杉本の口をつく。素直にお礼が言えないのも彼らしい。
そのまま、とりとめのないMCが果てしなく(本当に果てしなく)続き、ようやく「ガーリッシュマインド」のセッションへ…というところから、なぜか貮方が「ミヤへカンチョーする」と前日のインストアイベントで発言していたことが判明。ステージ上の雲行きが怪しくなる。
喧々諤々、相談の結果、とうとうステージ中央に、カンチョーをする貮方とされるミヤが並び、照明を含め、イントロから手順を確認するという、真面目なんだかフザけているんだかよくわからない展開に。けれども、いい歳をしたバンドマンが、子どものようにバカ騒ぎをしている様子は、観ている者を無条件にハッピーにしてくれる。会場に集まったファンにとっては、ある種の癒しになったことだろう。
最後は全員で「ガーリッシュマインド」を全力でプレイ。MUCCとWaive、メンバーが入り乱れ、大混乱のうちにアンコールは終了。ここまでハチャメチャになると、それはそれで気持ちがいいもの。そして何より、バンドを続けるという険しい道が、それぞれの歩みを経てここでまた交わったという奇跡のような夜が、楽しくないわけがないのだ。Waiveの解散まであと402日(11月27日時点)、こんな奇跡をもう一度ぜひ味わいたい。二階席で2バンドを見つめていたPsycho le Cémuのseekも“次は自分たちも一緒に”と期待していることだろう。
取材・文◎村山幸
撮影◎旭里奈
■Waiveセルフカバーベストアルバム第1弾『BLUE ALBUM』
発売元:鉄ぱいぷレーベル 販売元:Daiki Sound
【初回限定盤(12曲入りCD)】
WVCD-20242 6,800円(税別) / 7,480円(税込)
・スリーヴケース
・アクリルスタンド
・Mカード:いつか~Piano instrumental~
【通常盤(12曲入りCD)】
WVCD-20241 3,200円(税別) / 3,520円(税込)
▲初回限定盤
▲通常盤
▼CD収録曲
01. TRUE×××
02. 銀河鉄道
03. ガーリッシュマインド
04. Blood vessel
05. そっと...
06. Dear
07. ASIAN「noir」GENERATION
08. infection
09. FAKE
10. ネガポジ (Negative & Positive)
11. いつか
12. C.
●アルバム購入特典
・タワーレコード(オンライン含む)オリジナル特典
映像特典A(DVD-R):ライブ定点映像1曲(A)+おまけ映像(A)
https://tower.jp/item/6608000
・HMV(オンライン含む)オリジナル特典
映像特典B(DVD-R):ライブ定点映像1曲(B)+おまけ映像(B)
https://www.hmv.co.jp/artist_Waive_000000000166273/item_BLUE-ALBUM_15351995
・anysee.jp オリジナル特典
映像特典C(DVD-R):ライブ定点映像1曲(C)+おまけ映像(C)
https://anysee.jp/ec/item/cd-item/19255/
詳細:https://www.waivewaive.com/?p=7920
■『BLUE ALBUM』発売記念インストアイベント
会場:名古屋・静かの海
内容:スペシャルトークイベント&サイン会
※サインはアルバム1枚購入につき私物1点にサイン
出演メンバー:杉本善徳
■ν[NEU] × Waiveツーマンライブ<-光跡->
2024年12月12日(木) 神奈川・SUPERNOVA KAWASAKI
open18:30 / start19:00
出演者: ν[NEU]/Waive
▼チケット
前売:¥6,800-(税込 / ドリンク代別)
詳細:https://l-tike.com/neu-waive/
(問)DISK GARAGE:https://info.diskgarage.com
■<J 2024『放火魔大暴年会>
ゲスト出演:MAYKIDZ / the telephones / Waive / and more...
■<Waive最終公演>
2026年1月4日(日) 東京・日本武道館
※詳細は順次発表
■MUCCデジタルEP『invader ep』
配信リンク:https://tjc.lnk.to/invader_ep
▼全7曲収録
01. invader
02. October
03. invader (Original KARAOKE)
04. October (Original KARAOKE)
05. 愛の唄 (2024.07.27 東京キネマ倶楽部)
06. Violet (2024.07.27 東京キネマ倶楽部)
07. サイレン (JaQwa Remix)
■MUCCライブ映像作品『バースデークロニクル45』
▼収録公演
2024.07.26 東京キネマ倶楽部<ミヤ BD 死御>
2024.08.21 目黒鹿鳴館<逹瑯爆誕祭>
2024.11.05 Zepp Shinjuku <YUKKE 45 BIRTHDAY LIVE 「今日だけは許してください Daydream」>
▼特典
各公演のドキュメンタリー映像 / 特製ブックレット
※本製品はFC会員のみ注文可能な受注生産品
※詳細:https://55-69.com/discography
※入会:https://fanicon.net/fancommunities/4122
■ライヴツアー<MUCC TOUR 2024「Daydream」>
11月05日(火) 東京・Zepp Shinjuku
open17:00 / start18:00
11月06日(水) 東京・Zepp Shinjuku
open13:00 / start14:00
11月23日(土) 愛知・名古屋ボトムライン
open16:15 / start17:00
11月24日(日) 愛知・名古屋ボトムライン
open13:15 / start14:00
11月30日(土) 大阪・大阪BIGCAT
open16:00 / start17:00
12月01日(日) 大阪・大阪BIGCAT
open13:00 / start14:00
12月22日(日) 茨城・水戸市民会館グロービスホール ※ツアーファイナル
open16:30 / start17:30
▼チケット
前売 8,500円(税込)
※スタンディング
※水戸公演は全席指定
※名古屋公演のみ2階指定席 9,500円(税込)
※入場時ドリンク代別途必要
・イープラス https://eplus.jp/mucctour2024/
・チケットぴあ https://w.pia.jp/t/mucctour2024/
・ローソンチケット https://l-tike.com/mucctour2024/
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