【ライヴレポート】J、5年ぶり<放火魔大暴年会>が繋いだ仲間と未来「次は1月11日、忘年会から新年会へ」

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2024年12月30日、J(LUNA SEA)がオーガナイザーとなりゲストアーティストたちと共に年の瀬に暴れ尽くす恒例のライヴイベント<放火魔大暴年会>を行い、渋谷Spotify O-EASTを“燃え上がらせた”。

◆J 画像

2020年以降のコロナ禍の影響、また2023年末にはLUNA SEAのカウントダウン公演が大阪城ホールであったため、<放火魔大暴年会>開催は実に5年ぶり。アンコールセッションのパートでも後述するが、その瞬間ごとにフロアの熱量を高めるだけでなく、音楽に宿るスピリットという名の聖火を未来へと繋ごうとする、“継承者J”の心意気に感涙した夜だった。

▼MAYKIDZ

トップバッターのMAYKIDZは、J信奉者として知られるELLEGARDENの高田雄一(B)が、SAY MY NAME. / 超飛行少年の小林光一(Vo, G)、NICOTINEのBEAK(Dr)と結成し、アジアツアーも成し遂げた3ピースロックバンドだ。シンプルかつメロディアスなパンクナンバー「OVERTAKE」で沸かせたかと思えば、激しさの中でも弾き語りパートでしっかりと歌を印象付ける「Breed&Hands」を繰り出し、表現の振り幅と実力者揃いの凄みをすぐさま示した。

「さっきJさんが楽屋で言ってたよ。“5年待った今日の客はヤバい”って。俺たちとJさんを繋いでくれた曲!」と小林が語り、7月にリリースしたデジタルシングル「Thunders」を披露、エネルギーを放出し続けるかのような歌唱と演奏で圧倒した。青い光の中、「The Signs」を3人で声を揃えてエモーショナルに届けた後、「今日、すごく楽しみにしていました」とイベント出演への喜びを小林が語り出し、8月にJのレギュラーラジオ番組にゲスト出演したこと、食事を共にしたことなど、交流を明かした。ファン同士の垣根無く盛り上がっている様子のフロアを見て「懐深い。こんなクレイジーな人たちに愛されているのが分かった」ともコメント。疾走感に溢れ、華やかさの中に仄暗さを含んだ新曲「Lights」を渾身の歌声で届け、逆光の中でステージを去って行った。

転換の合間はゲストDJのhigo-viciousが時おりフロアに語り掛けながら音楽を繰り出し、各ゲストバンドが放った熱を次のバンドへと繋いでいった。


▲higo-vicious

▼Waive

2番目に登場したのはWaive。2005年の解散後、数度の再演を経て、2023年に正式な再結成および日本武道館ワンマンをもっての解散を同時発表。2026年1月4日へ向けた熱きラストランの真っ只中にある。そのテーマソングとも言える「火花」を1曲目に放つと、田澤孝介(Vo)、杉本善徳(G, Vo)、貮方孝司(G)、高井淳(B)が揃って一歩前へ。“燃やし尽くせ!”と歌い上げる田澤のロングトーンは、彼らの覚悟の象徴だと感じる。

前日に全出演者に宛てたXの連続ポストをしたJの優しさに田澤が触れ、「“#遠慮すんなよ”って書いてあって」とコメント。その言葉に忠実に、「Sad.」「ガーリッシュマインド」とバンド屈指の暴れ曲を畳み掛けると、掛け声や拳の突き上げをフロアに求め、煽りに煽っていく。最後に届けたのは、美しく晴れやかなメロディーを誇る代表曲「いつか」。“あぁ「いつか死ぬ僕たちは」”と突き刺さる歌詞を歌いながら、命を燃やす覚悟を刻むように胸を強く叩いた田澤。歌唱だけではない。メンバーが放つ音の一つ一つから、並々ならぬ気迫が伝わってくる。今回はWaive の持ち味の一つであるMCを封印したある意味貴重なライヴであり、彼らの音楽的魅力を凝縮した20分で爪痕を残した。

▼the telephones

ロックバンドのセッティングからステージ上の様相はガラリと変わり、Jとの対バンは14年ぶりとなるthe telephonesの登場だ。「渋谷、カモンエヴバディ! We are the telephones!」と石毛輝(Vo, G, Syn)が挨拶したのを皮切りに、「Monkey Discooooooo」「Disco Punk Night!!!」とエレクトロニックビートで貫くディスコナンバーを連打。岡本伸明(Syn)はほとんどの時間をシンセサイザーから離れ、踊り狂っている。

「大好きなJさんにリスペクトを込めて、1曲カバーをやります」と石毛が告げると大歓声が起き、エレポップ調のディスコアレンジを施した「Burn out」に観客は歓喜、ウェルカムムードは更に高まっていく。「そのまま踊ろうぜ、渋谷!」という石毛のシャウトから「Go Bananas!!!」へ。コール&レスポンスによってフロアと溶け合い一体となりながら、松本誠治(Dr)が刻む加速し強さも増していく一打一打に導かれ、興奮のピークへと駆け上がっていく。ラストの「Love&DISCO」では「歌え~!」と石毛が繰り返し煽り、熱狂の中で気付けば岡本は上裸に。「来年(2025年)は結成20周年でして、ライヴやスペシャルなことをやろうと思ってます!」(石毛)と抱負を述べ、ステージを去った3人。強烈な残像を焼き付けるライヴだった。

▼J

壮大なSEに乗せてmasasucks(G)、“ゴッチン”こと溝口和紀(G)、有松益男(Dr)が登場、最後にJ(Vo, B)が姿を現してフロアにハンドサインをすると、「イエーイ!」という歓声と手が挙がる。「渋谷、飛ばしていくぜ!」とJが叫び「break」の一音目が鳴った途端、迫力と強さに身震いした。それまでも充分な盛り上がりを見せているイベントだったのだが、フロアのムードが明らかに変貌した瞬間だった。

「会いたかったぜ、東京! 遂に、5年ぶりに<放火魔大暴年会>が復活しました」と挨拶したJは、出演バンドを順に丁寧に讃えていく。来場者への想いも語り、「オーガナイザーとして、みんなを楽しませて帰りたい。強制するのは好きじゃないけど、隣の人とも盛り上がっていこう!」と呼び掛けた。「Resist bullet」が始まるとフロアは揉みくちゃになる盛り上がりようで、更に追い打ちを掛けるように「Twisted dreams」を放つ。曲間でスッと静けさが訪れるとJはブルーのライトに照らされ、両手でマイクを握って歌った後、手を差し伸べて艶やかな低音ヴォイスを響かせた。「渋谷、やっちまえ!」と炊き付け、最後には再び轟音のカオスへ。心のタガを外させる魔力がJのロックンロールには宿っている。


「ここから見える景色は本当にとんでもないよ。まさに大“暴”年会だね!」とフロアを見渡すと、2024年にレコーディングしていた日々を振り返り、1月29日にリリースされる約3年3ヶ月ぶりのニューアルバム『BLAZING NOTES』からリードトラック「TIME BOMB」を披露。ゴージャスなギターリフで始まる明るく爽快なロックナンバーで、“運命に火をつけて”というフレーズが耳に残った。「今、この歳になって俺自身が、俺たちがやってカッコいいサウンドが、そこにはギューギューに詰まってる」と語っていたニューアルバム、全曲聴ける日が待ち遠しくてならない。

「みんなにとってどんな年だった?」とJが観客に2024年を問うと、「“いろいろあった”って人も、今日この場所で厄を落としていきましょう」と呼び掛けた。中指を立てて「I HATE YOU」とタイトルコールすると、同じジェスチャーをしてJの後に続くオーディエンス。ネガティヴな想いからも目を逸らさず、轟音で鳴らして昇華する、ある種のお焚き上げのような機能をライヴは担っているのかもしれない。“I HATE YOU”と最後に静けさの中、独唱したJの声色は悪魔的な妖艶さを湛えていた。

その後、フロアを見渡しながら笑顔で指さすなど、打って変わって朗らかにパフォーマンスした「RECKLESS」、ファンが一斉にライターで火を灯す壮観な眺めとなる「PYROMANIA」、清々しい真っ直ぐなロックアンセム「Feel Your Blaze」とJのライヴに不可欠な曲たちを畳み掛けて本編終了。アンコールを待つ手拍子とJコールがすぐに発生した。


再登場し、「5年ぶりにここに辿り着きましたね。音楽を大好きなみんなが守った証拠だね」と感慨深そうに語ったJ。「Jバンドは、次は1月11日、すぐだね。忘年会から新年会へ」と、迫り来る2025年の始まりに想いを馳せた。メンバー紹介に続いて、出演バンドを自ら呼び込んだJ。それぞれの出演バンドのTシャツやタオルなどオフィシャルグッズを身につけているファンに目を留め、「前へおいでよ」「こっちに来なよ」などと優しく声を掛け、手招きした。

更に、前日に行われたlynch.の名古屋ライヴから駆け付けたスペシャルゲストHAZUKI (lynch.)をステージに呼び込んで、豪華出演者全員が揃うと、「キラーチューンを用意してきたんだよ」とJ。別の曲を予定していたそうだが「“違う”と思って、2日前に曲を変えたんだよ。“普通の忘年会じゃなく、もっと盛り上がりたい”って。だからみんな、苦労したと思う(笑)」と、練習をやり直すこととなったゲストやメンバーたちに申し訳なさそうにしつつ、Jはベースを掛けてスタンバイ。ドラムはこの曲ではMAYKIDZのBEAKが担当、Jは「ギター弾いてくれる?」とWaiveの杉本善徳らギタリスト陣に声を掛け、「盛り上がるぞ! とことん行けるか? 渋谷!」と煽った。始まったのはアン・ルイスの「六本木心中」、思いがけない選曲である。Jは「道玄坂心中」と名付けて冒頭を歌い、ゲストヴォーカリストが順に歌い繋いで、サビはフロアのシンガロングも併せた大合唱となった。 


▲HAZUKI (lynch.)

「みんな飲んでるの? みんなと飲みたいなと思って、みんなに奢ろうかなと思って、さっきドリンクチケットを100枚買っちゃった」と発言。その後、チケット束をなんと紙吹雪のようにフロアに撒いたため、場内は騒然となった。「だからさっき“前へおいで”って言ったじゃん(笑)」と自身の発言を伏線回収し、場内は爆笑。

「もう1曲キラーチューンを用意してきたんだけど」と披露したのは、Jが大きな影響を受け、リスペクトし続けているBUCK-TICKの「JUST ONE MORE KISS」だった。舞台から溢れそうな大人数のバンドマン全員で、BUCK-TICKを世に知らしめた'80年代のヒット曲を歌い奏で、Jは「歌ってくれ!」とフロアにも呼び掛ける。この前夜にあたる12月29日、日本武道館では、4人体制となった“第二期BUCK-TICK”が新しい道を果敢に歩み始めていた。セッションを終えた後、「やっぱ、最高の曲はいつでも最高だね! 最高な暴年会になりました。みんな、ありがとうございます」とJは笑顔で挨拶した。選曲の理由はステージで一言も話さなかったが、歌唱中にJが何度も天を仰いだり指差したりしていたことが、捧げた想いとその深さを雄弁に物語っていた。


最後の曲に向かう中、Jのピックを拝借してポケットに入れようとする高田雄一(MAYKIDZ / ELLEGARDEN)の“J愛”溢れる行動に気付いたJは、「こうやってファンでいてくれて、同じステージで演奏できるなんて、最高だよな」と笑った。

「行きます!」とドラムセットで高らかに叫んだ松本誠治(the telephones)の声から始まったのは、LUNA SEAの「TONIGHT」。初めてカバーした曲はLUNA SEAの「BELIEVE」だという杉本善徳がギターを掻き鳴らしているを見て思わず胸が熱くなる。ゲストヴォーカリストたちが代わる代わる歌い、時にはハモって声を重ねながら、フロアからも「オイ!オイ!」の掛け声がひっきりなしに上がっていた。「サンキュー! みんな、良いお年をお迎えください」とJが叫び、くるりと後ろを向いて10度、全員で音を打ち鳴らした後、「どうもありがとう!」と感謝を述べると、出演者と代わる代わる握手、ハグを交わしていく。


「本当に、皆の来年がいい年になるように心から願っております。次会う時まで……いやいや、来年1年、何があっても、何があっても! くたばんなよ!」と言葉を区切りながら力強く絶叫。約4時間にわたる、末永く忘れられないであろう大暴年会は幕を閉じた。2025年、Jはツアー<BLAZING DAYZ>の初日ファンクラブ限定公演を“新年会”として1月11日から走り始める。

取材・文◎大前多恵
撮影・田辺佳子

■<J 2024「放火魔大暴年会」>12月30日(月)@東京・渋谷Spotify O-EAST セットリスト

【MAYKIDZ】
1. OVERTAKE
2. Breed & Hands
-Drum solo-
3. Thunders
4. The Signs
5. Lights
【Waive】
1. 火花
2. Sad.
3. ガーリッシュマインド
4. いつか
【the telephones】
1. Monkey Discooooooo
2. Disco Punk Night!!!
3. Burn out (J cover)
4. Mirror Ball Disco!!!!!!!
5. Go Bananas!!!
6. Love & DISCO
【J】
1. break
2. Resist bullet
3. Twisted dreams
4. TIME BOMB
5. I HATE YOU
6. RECKLESS
7. PYOMANIA
8. Feel Your Blaze
【ENCORE SESSION】
1. 六本木心中 (アン・ルイス)
2. JUST ONE MORE KISS(BUCK-TICK)
3. TONIGHT (LUNA SEA)


■アルバム『BLAZING NOTES』

2025年1月29日(水)発売
【初回生産限定スペシャルBOX (CD+Blu-ray+PHOTOBOOK)】
 CTCR-96101/B ¥13,200 (税込)
【CD+映像盤 (CD+Blu-ray)】
 CTCR-96102/B ¥9,350 (税込)
【通常盤 (CD only)】
 CTCR-96103 ¥3,410 (税込)
【ファンクラブF.C.Pyro.盤 (CD+Blu-ray+PHOTOBOOK+シリアルナンバープレート付)】
 ※初回生産限定スペシャルBOX
 CTC1-96104/B ¥13,200 (税込)
 F.C.Pyro.:https://fcpyro.jp

▲CD only盤/CD+Blu-ray盤 ジャケット画像

▼CD収録内容
01. Riot Girl
02. TIME BOMB
03. Walk On
04. Remember
05. BITE ME
06. Field of Roses
07. Free Fall
08. Runaway
09. Don’t Look Back
10. Let It Burn
▼Blu-ray収録内容
<CRAZY CRAZY Ⅵ>※2024.05.04@Ebisu LIQUIDROOMライヴ映像を中心とした密着ドキュメント作品
-DOCUMENT 1-
Twisted dreams
RECKLESS
-DOCUMENT 2-
Wake Up!
PYROMANIA
-DOCUMENT 3-
LIE-LIE-LIE
GO with the Devil
-DOCUMENT 4-
break
BUT YOU SAID I'M USELESS
Go Charge
go crazy
-DOCUMENT 5-
Feel Your Blaze
NOWHERE
-DOCUMENT 6-
・「TIME BOMB」Music Video※アルバムリード曲の最新ミュージックビデオ作品
▼PHOTOBOOK
完全撮り下ろしによるオリジナル写真集

◆<J LIVE TOUR 2025 -BLAZING DAYS->

1月11日(土) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
open17:15 / start18:00 ※FC限定公演
1月12日(日) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
open16:15 / start17:00
1月18日(土) 宮城・仙台Rensa
open17:15 / start18:00
1月26日(日) 千葉・柏PALOOZA
open16:30 / start17:00
2月01日(土) 埼玉・HEAVEN’S ROCKさいたま新都心
open17:30 / start18:00
2月09日(日) 神奈川・SUPERNOVA KAWASAKI
open16:15 / start17:00
2月15日(土) 福岡・DRUM Be-1
open17:30 / start18:00
3月01日(土) 石川・金沢AZ
open17:30 / start18:00
3月02日(日) 長野・CLUB JUNK BOX
open16:30 / start17:00
3月08日(土) 京都・KYOTO MUSE
open17:30 / start18:00
3月09日(日) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
open16:15 / start17:00
3月15日(土) 北海道・札幌cube garden
open17:30 / start18:00
▼追加公演
4月05日(土) 大阪 BIGCAT
open17:15 / start18:00
4月06日(日) 大阪 Yogibo META VALLEY
open16:15 / start17:00 ※FC限定公演
4月12日(土) 東京 LIQUIDROOM
open17:15 / start18:00
4月13日(日) 東京 LIQUIDROOM
open16:15 / start17:00 ※FC限定公演
【「F.C.Pyro」最速先行受付】
受付期間:2024年12月26日(木)18:00~2025年1月14日(火)23:59
https://fcpyro.jp/


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