【インタビュー】shallm、1stフルアルバムが描いた魔法と暴動と止まらぬ戰い「心が動いた瞬間を逃さない」

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19歳のlia (Vo)が自ら作詞作曲を手掛けるバンドプロジェクトshallmが10月9日、自身初のCDとなる1stフルアルバム『charme』をリリースする。同アルバムには2023年9月リリースのメジャーデビューシングル「センチメンタル☆ラッキーガール」をはじめ、2024年3月より6ヵ月連続リリースしてきた楽曲など既発曲10曲に加え、新曲3曲を追加した全13曲が収録される。

◆shallm 画像 / 動画

可憐で無垢な風貌が物語る鮮やかなメロディは彼女の持ち味のひとつだが、その音像は楽しくも物悲しく、怒りと喜びと哀愁に満ちた多重サウンド。多くのドラマを感じさせつつも、謎が深まるばかりの多面的な楽曲の数々が、実に表情豊かだ。空間を切り裂くようなオルタナティヴなギターソロも、楽曲を根底から支えながら主旋律と闘うようなベースフレーズも、shallmというバンドサウンドならでは。ポップでカラフルでありながら、生々しいグルーヴ感が心地よい。

アルバムに冠された『charme』(=魅力、魅了する、魔法をかける)は、shallmというバンドプロジェクトのセルフタイトルでもあり、ある意味では、デビュー以来1年間の集大成とも言える。『charme』に込められたサウンド&ヴィジョンについて、liaに訊いたロングインタビューをお届けしたい。


   ◆   ◆   ◆

■自分は常に戦っているんだなって
■アルバムを作って初めて気づいた


──1stフルアルバム『charme』、痛快なロックアルバムになりましたね。ベースが全曲カッコいいなと思いました。

lia:カッコいいですよね! 私も大好きで、「ベースもっと上げてください」とお願いしちゃいました。

──ベースラインがけっこう前面に出ていますよね。だけどメロディの個性も相まって、歌が全然埋もれることがない。素晴らしいです。

lia:そこは化学反応というか。私も“埋もれないぞ!”と燃えました。

──いいですね。では、アルバム完成後の率直な心境を聞かせてください。

lia:アルバムを出すことが決まる前から、心のどこかでずっとそのことを意識していたんですよ。制作が終わってホッとしています。


──『charme』というタイトルは、どういう思いでつけましたか?

lia:1stアルバムだからやはりセルフタイトルがいいなと思ったのですが、そのままのスペルじゃなく、同じ読み方で“魅了する” “魔法かける”という意味を持つ単語=charmeにしたいなと思って。実はcharmeという言葉が、バンド名shallmの語源なんです。charmeというタイトルにしたら、伏線回収みたいな感じで面白いかなと思って、決めました。

──アルバムには13曲収録されています。作詞作曲においてご自身のレベルアップを実感した曲を1曲選ぶとしたら?

lia:「閃光バード」ですね。けっこう悩みながら作った曲なんですよ。1曲でひとつの物語を描こうと思った時に、“1曲って意外と短い” “物語の終わりまでちゃんと描けるかな?”と苦戦しました。1曲で結末まで描くということは、サビまでに、世界観や設定が伝わるようにしなきゃいけない…と逆算して考えるのがすごく難しかったです。

──苦戦した甲斐があって、素晴らしい仕上がりですね。1番Aメロでしっかり情景を描けていますし、だからこそ1サビの“空を飛べないまま”というフレーズと2サビの“空を飛びたいから”というフレーズの対比も際立っている。

lia:嬉しいです。この曲の主人公は、自分のことを鳥だと思っている人なんです。今は夏休みだから学校がなくて、家の中にいるけど、家族ともちょっと上手くいっていない。そういう人が家の中から見た花火に憧れて、最後は飛んでしまうというお話です。

──ハッピーエンドとも、バッドエンドとも言えない結末ですね。

lia:そういう曲にしたかったんです。これが私の思う夏。



──では、歌唱においてレベルアップを実感した曲は?

lia:「まっさかさマジック!」ですかね。キーがすごく高くて、テンポも速くて、最初は歌えないんじゃないかと思っていたんですが、ライブをやっていくうちに、どんどん歌えるようになってきました。この曲に成長させてもらっているなと感じます。

──2024年3月から新曲の配信リリースが続いていましたが、振り返ればあれも、アルバムに向かっていくための動きだったんですかね。

lia:とても意識していました。“アルバムにはどんな曲を入れよう?”と考えながら、楽曲制作を続けていて、今年の春ぐらいからは、“そろそろひとつの作品としてまとめるにはどうすればいいだろうか?”と点と点を繋げて線にしていく作業が続きまして。アルバム初収録の新曲もそのタイミングで作りました。

──点を線にする作業は大変でしたか?

lia:大変でしたね。作る曲のテーマってその時々で変わっていくものじゃないですか。タイアップも担当させていただいて、アニメやドラマに対して曲を作るということも多かったので、曲たちの共通点や自分の気持ちが一番出ているポイントを探るのに苦戦しました。

──共通点を探る中で気づいたことはありましたか?

lia:自分は常に戦っているんだなと気づきました。自分や他人、社会に対して不満があるのかどうなのか分からないですが、なんか怒っている気がする。それは今回アルバムを作ってみて、初めて気づいたことでした。


──パッケージもファンシーでかわいいですね。パッケージや『charme』というアルバムタイトルが持つマジカルな雰囲気と“私は常に戦っている”という感覚は、liaさんの中でリンクするものなんでしょうか?

lia:“魅了するって何だろう?”と考えた時に、自分自身が感動した瞬間のことを思い出したんですよ。感動した瞬間って、自分の中の何かが変わったというか、壊してもらった瞬間だったなと思っていて。それが、私の中では戦いのイメージともリンクするというか。リード曲の「暴動」は、アルバムのタイトルを決めてから作った曲でした。魅了されて、壊してもらって、心の中で暴動が起こって、“カッコいい”と憧れた先で、今、音楽をやっている。そういうイメージです。

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