【ライブレポート】双子のネオミクスチャーロックデュオTyrkouaz、<SONICMANIA 2024>トップバッターで初登場

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双子の兄 S o ü t a (Vo/Gt) と弟 r e n t [Dr/Cho] による2ピースネオミクスチャーロックデュオTyrkouaz。ドラムンベースを基軸に、ブレイクコア・ハイパーポップ・ガバ・サーフロックに至るまで、様々なデジタルロックサウンドを融合し、本格派志向の音楽ファンから注目を集めている。そんな中、<SUMMER SONIC>への出演権を懸けたオーディション『出れんの!?サマソニ!?』において、応募総数約2000組の中から選出され、8月16日に開催された<SONICMANIA>(以下、ソニマニ)のトップバッターとして出演。当日集まった大勢の観客を熱狂の渦に巻き込んだ。当日のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆Tyrkouaz (ティルクアーズ) 画像 / 動画

2024年8月16日、台風の夜。日本のロック/ダンスミュージックシーンに新たな旋風を巻き起こすであろう新星が、<ソニマニ>の観客の前に登場した。ライブ後、NIA ARCHIVESで踊り狂っていたというこの双子の兄弟のサウンドは、ドラムンベース/ジャングルからの影響を強く感じさせながらもそこにとらわれることなく、自分たちが気持ちいいと感じた音を貪欲に取り込み、ロックバンド的なアプローチでアウトプットしていく。しかも、彼らは最初から狙いを定めていたわけではない。自分たちのやりたいことを詰め込んでみたらこうなった、みたいな印象。だからこそ、彼らのサウンドは非常にプリミティブに響くし、グッとくるのだ。




'90年代頃の音楽を愛するリスナーがTyrkouazの音楽を聴いて思い浮かべるのは、BOOM BOOM SATELLITES、THE MAD CAPSULE MARKETSといったアーティストだろうか。デジロックというワードも久しぶりに思い出した。しかし、繰り返しになるが、彼らはそこを狙って音作りをしてきたわけではない。ドラムンベースもロックも、彼らが気持ちいいと感じる音をすべて詰め込んだサウンドは、まだ荒削りではあるが、非常に新しい。今の時代を生きる彼らだからこそたどり着いた場所がここなのだ。自分は初めて彼らの音に触れたとき、“ああ、この音があったか!”と膝を打ったものだ。

普段はまだ小さな会場でライブをすることが多い彼らにとって、<ソニマニ>のステージはあまりに巨大。しかし、オープニングナンバーの「Windy Surf」から等身大のパフォーマンスを見せつけた。持ち時間は20分。少しの間も惜しむかのように、切れ目なく次々に曲を繰り出していった。



双子の兄 S o ü t aのディストーションとオートチューンがかかったボーカルは扇情的で、感情の赴くがままにギターをかき鳴らす。その姿はロックスター然としている。一方、弟 r e n tが刻むビートは正確でタイト。しかし、それは決して無機質ということではなく、兄が放つ熱量と呼応するようにエネルギーを放っていく。特に顔を合わせるでもなく、自然とお互いのテンションが溶け合っていくのは双子のなせる技なのかもしれない。

躍動するビートと肉体がうねりを生み出し、フロアへと伝播していく。初見だとかなんだとか、そんなものは関係ない。<ソニマニ>のオーディエンスは、気持ちのいい音に対して素直に反応する人たちだ。つまり、開場直後でまだすべての観客が入り切っていない状態だったとはいえ、Tyrkouazは確実に多くの人の心を掴んでいたのだ。




ラストの「Crush Core」を鳴らし終え、満足気にステージをあとにする2人に向けて、熱狂的な歓声が送られた。初見の観客がほとんどだったと思うが、耳の肥えたダンスミュージックラバーの耳はこの20分の間に新しい何かをキャッチし、彼らの未来を想い胸が高鳴ったのではないだろうか。だって、こんなに活きのいい新人ダンス/ロック系のアクトを日本で拝めるなんていつ以来だったか!

実は近年、日本のミュージックシーンにおいてロックとダンスミュージックをクロスオーバーさせた若手アーティストがアンダーグラウンドシーンにおいて徐々に台頭してきている。Tyrkouazはその先頭に立つ可能性を秘めた存在だ。この日、ステージで躍動する2人を見て、久しぶりに血が騒ぐのを感じた。Tyrkouaz、これはめちゃくちゃ期待してもいいんじゃないか。彼らを中心に新しい何かがはじまるんじゃないか。こんなにもワクワクできることがとてもうれしい。現在、メタルを中心としたヘヴィミュージックを鳴らす日本のバンドが世界規模で活躍しつつあるが、それとは別の流れで彼らのようなダンス/ロック系のアーティストもその流れに追随できるんじゃないか……いや、つい妄想が先走ってしまったが、来年以降、国内のフェスシーンを席巻する画は容易に思い浮かぶ。



この日は台風の影響もあって入場列がとんでもない長さになっており、惜しくも彼らのパフォーマンスを見逃したという人も多いはず。しかし、数年後に振り返ったとき、「すべてのはじまりはあの日でした」と2人が口を揃えて話している姿が目に浮かぶ。台風が接近している最中、多くの人が目撃しそびれたことも、何やら伝説めいてはいないか。Tyrkouazのサクセスストーリーのオープニングとしてはこれ以上なくドラマチック。もちろん、S o ü t aとr e n t の2人による快進撃がはじまるのはまだまだこれから。多くの人たちを巻き込んで、ティルクアーズは今まさに壮大な物語を世界規模で描こうとしている。

取材・文◎阿刀“DA”大志
撮影◎川島彩水 (SONICMANIA 2024)
courtesy of SUMMER SONIC 2024

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なお現在、Spotifyやapple musicではTyrkouazのSONICMANIA当日のセットリストが期間限定で公開中されている。まだTyrkouazの楽曲に触れたことがない人は、この機会に是非試聴してみてほしい。9月には<TOKYO CALLING 2024>、10月には<MEGA ROCKS 2024>などのサーキットイベントへの出演も決定している。

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■Tyrkouaz <SONICMANIA 2024>セットリスト/プレイリスト期間限定公開

▼Spotify
https://open.spotify.com/playlist/7g7aUj3J6qv7EwJbCK1Dbh?si=HK6rcoi4T62IhEk-YHnVoQ&pi=a-cRugznQhRHOd&nd=1&dlsi=7af0bf721f704f19
▼Apple Music
https://music.apple.com/jp/playlist/tyrkouaz-sonic-mania2024-set-list/pl.u-V9D7gBEiBKZBJ9X

■Tyrkouaz <SONICMANIA 2024>WOWOWオンデマンド配信

<SUMMER SONIC 2024>ハイライト:9/28(土)午後7:00
<SONICMANIA>:10月放送・配信予定
<SUMMER SONIC 2024>DAY-1、DAY-2:10月放送・配信予定
https://www.wowow.co.jp/music/summersonic/

■Tyrkouaz 最新ライブ情報

08月30日(金) 赤坂navey floor
09月14日(土) 新宿 ”TOKYO CALLING”
09月23日(月祝) 池袋Adm O.A.
09月20日(金) 下北沢近道 “Now2”
10月05日(土) Date fm “MEGA★ROCKS 2024”




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