【ライブレポート】0.1gの誤算、<爆弾狂気圧>ツアーファイナルで河村友雪の生誕を祝福「また来年、絶対に遊びに来てください」
福岡公演を皮切りに5月からスタートした0.1gの誤算のツアー<日本列島を喰い荒らせ!超大型!爆弾狂気庄>も遂にファイナル。8月2日、渋谷CLUB QUATTROにて河村友雪(G)の生誕祭<河村友雪Birthday「河村友雪があらわれた!」>が開催され、会場を埋め尽くす700人のファンによって盛大に祝われた。
新SEに合わせメンバーが登場すると、銀テープが発射される派手な演出から「2008年高田馬場AREA」。滑り出しがいつもより軽やかに感じられたのは、この日の主役である河村友雪をはじめ、会場全体に笑顔が咲いていたからだ。「利己的メルヘン症候群」でファンが一斉に座って頭を振り乱す瞬間ですら、刺々しさより温かさを感じる。続く「オオカミ男と月兎」では、河村友雪がゆっくりと首を横に振りながらリズムをとったり、舌を出して無邪気な表情でギターを掻き鳴らしたり。吸い込まれそうなほどキラキラした目も印象的だった。
「渋谷CLUB QUATTRO、はじめまして。河村友雪さん、誕生日おめでとう」と、緑川裕宇が先陣を切り、続けてファンから祝福の黄色い声が飛んだ。「最初は池袋BlackHoleで…ツアー中に名古屋でお祝いされたこともあったね。動員が全然いなくて悔しい思いをしことも。2年前の渋谷近未来会館ではその屈辱も晴らせることができて…」と、これまでの生誕祭を思い出しつつ、ファンに感謝を伝えた河村友雪。9回目の生誕祭となるこの日は既に大成功の兆しが見え始めている。
青春を感じる切ない恋愛ソング「Desire」を美しく歌い上げると、敬礼のポーズから「残飯パセリーナ」へ。曲の途中で緑川裕宇と河村友雪が歌詞に登場する男女役を演劇風に演じるシーンがあり、さらに盛り上がりを見せる。
全員が手拍子をする中、今度は緑川裕宇がギターを持ち、インストセッションを繰り広げた。上手で河村友雪が華麗にギターソロをきめる一方、下手では緑川裕宇と水田魔梨(G)が向かい合い演奏し、ハイタッチを交わすシーンも。0.1gの誤算はもともと自由奔放なライヴが特徴的だが、その自由度、遊び心の幅が年々広がっている。この日も後に緑川裕宇がフロアへ散歩に出掛け大暴れするなど、ハチャメチャなステージを展開していくのだが、演奏を通してメンバー各々のステージングやメンバー同士の絡みのレパートリーが増え、9年目のバンドとしての「余裕」が生まれていることを肌で感じるのだ。
さらにこの日は、コール&レスポンスやファン一人ひとりへの呼びかけるようなアクションがいつも以上に多く、メンバーとファンとの距離の近さも強く感じさせられるライヴだった。「希少種達の運命」では、眞崎大輔(B)がステージのセンターで楽しそうに躍動。自由な空気がステージから会場全体に広がり、何者にも邪魔されないこの空間に、とてつもなく居心地の良さを感じた。
2度目のMCで河村友雪が「今日はみんな仕事を一度退職して、学校を一度退学して、結婚している人は一度独身に戻ってきてるんだよね」と冗談を言っていたが、あながち間違っていなさそうなぐらいファンの気合も伝わってくる。メンバーが言葉を投げかける度に、割れんばかりの歓声が何度も場内に響き渡るのだった。
また、この日は緑川裕宇だけTシャツにチェックの学生スカート、キャラクターのポシェットという別の衣装で登場しており「今日は俺に似た服のファンがいないな。いつも3列目ぐらいにいるんだけど」と、残念がっていたが、相変わらずファンへの愛が凄まじい。「バンドの規模が大きくなっても、全員ちゃんと見てるからな。今日はあいつが来てないとか、いつも前のほうにいる奴が今日は後ろで見てるとか、全部わかってるから」と緑川裕宇。前述の通り、緑川裕宇はライヴ中にしばしばフロアの隅々まで散歩に出掛けては暴れまくる。その際、ファン一人ひとりの顔を見ながら話しかけているのを見ると、「一人たりとも絶対に離脱させない」という強い意志とファンに対する深い愛を感じるのだ。
メンバー各々がマイクを取ると、次のように語った。
「たくさんの方に集まってもらい、楽しんでもらえて嬉しいです」──水田魔梨
「こういう楽しいツアーをこれからもどんどんやっていきます」──眞崎大輔
「メンバー全員が怪我もなく無事に東京に帰ってこられて良かったです。君たちのことが大好きです」──河村友雪
「マイフレンド、友雪くん、誕生日おめでとう。こんなに長いツアーは初めてで、みなさんには感謝しかありません」──まさし(サポートDr)
「ボーカルとして試されることも多いツアーでした。反省もしつつ、さらに高めていかなきゃと思ってます。ツアーの日程が詰まっていて、中には無理してライヴに来てくれたファンもいたと思う。それは本当に嬉しいけど、全通せずとも自分のペースで来てほしい。頑張りすぎてすぐライブに来られなくなってしまうと寂しいから、どうか末永くよろしくお願いします」──緑川裕宇。
アンコールでは「人のお金で肉食べたい♪」と、河村友雪がリピートし、ファンも盛大に掛け合いをおこなうところから「しいたけ人生論」。そして、美しく歌い上げられた「プロミス・イブ」の後、銀テープが舞い、いよいよフィナーレか。
いや、そこから一転「【S】0723【終焉】」で白熱した演奏を届け、ラストの「21gの感傷」へ繋げていく。ステージで河村友雪がアクションを起こすたび、緑川裕宇がフロアで大暴れするたびに、フロアの勢いはどんどん加速していった。そして、2度目のアンコールでは、ノープランと言いつつも「ゴサンバ」でお祭り騒ぎ。「混沌的極悪暴曲-ヴィジュアロックパロディウス-」「男闘魂戦争卍燃えよ誤算光殺砲卍」と、楽しい3曲を続けて披露した。
約4ヶ月前、豊洲PITで開催された8周年記念ワンマンを成功に収め、9年目に突入した0.1gの誤算。その後、3カ月間にわたり25日程のツアーを巡り、この場所に辿り着いた。そして、メンバー自身も「バンドの成長を感じたライヴ」であると、この日のステージを評するほど、密度の高いステージに仕上げてきたのだ。
ステージのセンターで両手を横に大きく広げ、マイクを通さず「今日はありがとうございました。来年もまた絶対に遊びに来てください」と、額の汗を輝かせながら河村友雪が爽やかに告げたのは、本編ラストのこと。「来年も」という言葉をこうもあっさりと、ごく自然に言える河村友雪が、心から頼もしい。
次はSpotify O-EASTの浴衣ワンマンを経て、8月14日、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて行われる<緑川裕宇Birthday LIVEついにこの地に…!「絶対王者降臨GIG」>。その後も緑川裕宇Birthdayツアーが決定しており、休む間もなく0.1gの誤算は足り続けていく。
このバンドをこれからも「末永く」応援できると再認識させられた今夜、我々は大きな喜びを噛み締めながら帰路についた。
文◎藤代冬馬
写真◎上野宏幸(株式会社LINKSOLU-リンクソルウ-)
セットリスト
02.被告人Aの告白
03.利己的メルヘン症候群
04.オオカミ男と月兎
05.Desire
06.残飯パセリーナ
07.希少種達の運命
08.フルニトラゼパム
09.超旋律的疾走暴曲-ネオヴィジュアロックパロディウス-
10.救済バタフライ
11.睡蓮の華言葉
12.アルテミスの憂鬱~銃口とマリア~
(encore1)
13.しいたけ人生論
14.プロミス・イブ
15.【S】0723【終焉】
16.21gの感傷
(encore2)
17.ゴサンバ
18.混沌的極悪暴曲-ヴィジュアロックパロディウス-
19.男闘魂戦争卍燃えよ誤算光殺砲卍
<緑川裕宇Birthday LIVEついにこの地に…!「絶対王者降臨GIG」>
チケット
https://eplus.jp/sf/detail/2210800001-P0030022P021001?P1=1221
公演生中継 視聴チケット
https://sheeta-d05.com/live/sm5rdKfV3TxSuMA2dH76EABJ
◆0.1gの誤算 オフィシャルサイト
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